現場が変わるきっかけが自分の意思だったことは、これまで一度もありません。契約終了や案件終了で今の現場を離れることが決まり、次の案件の面談があると営業から知らされる。

SESエンジニアとして5年ほど、4社の客先常駐を経験してきましたが、この順番はどの会社でも変わりませんでした。

ただ、この「選べなさ」の理由を調べてみると、会社の力が強いという話だけでは説明がつかず、契約形態と法律の建付けにまで行き着きます。今回は、SES面談で案件は選べるのかという問いに、4社で実際にあった面談の比較と、制度の両面からお答えします。

この記事で分かること

  • SESの面談が「面接」と呼ばれない、契約形態と法律上の理由
  • 2社目から4社目まで、実際にあった面談の形式・質問・結果連絡を比較した表
  • 面談のあとの流れと、辞退したくなったときにどう動くか
  • 選べないという前提を認めた上で、エンジニア側に実際に残っている選択肢
目次
  1. SES面談で案件は選べるのか、4社の現場を経験した実感
  2. 面談が「面接」と呼ばれない、契約形態と法律の理由
  3. 派遣なら「特定行為」にあたるが、それは禁止ではなく努力義務
  4. 準委任は26条6項の外側にあるが、厚労省の疑義応答集は事前面談そのものに触れている
  5. 線引きが崩れると偽装請負の問題になる
  6. SESの面談と、転職の採用面接は何がどう違うのか
  7. 2社目から4社目まで、面談は実際にどう違ったか
  8. 面談の場に着く前に、選別はほとんど終わっている
  9. それでもエンジニア側に残っている選択肢
  10. 断ることはできる。ただしコストの向き先が自分になる
  11. 面談で確認する項目を、自分の側で固定しておく
  12. 選ばれる材料をこちらで作っておく
  13. 面談のあとの流れと、辞退したくなったとき
  14. 「案件選択制」を掲げる会社をどう見るか
  15. まとめ

SES面談で案件は選べるのか、4社の現場を経験した実感

結論選べません。ただし、その理由は会社が不誠実だからというより、契約の形と面談のタイミングという構造の側にあります。

私が経験してきた範囲では、エンジニア側から案件を選んだ、と言える場面はありませんでした。選択の形をとっていたのは、あくまで「提示された案件を受けるか、受けないか」という一択だけです。

私の場合

これまで、二次請け・三次請けというSESの下流の立場で、4社の業務システム現場を渡り歩いてきました。ウォーターフォールの現場が多く、役割はいずれもリーダーではなく、手を動かすメンバーです。

現場を変えてきた一番の理由も、自分で見切りをつけて動いたというより、契約終了や案件終了によって次の現場に回された、という受動的なものでした。

その中で、単価も待遇も現場ごとに上がったり下がったりバラバラでしたし、当たりの現場を引けるかどうかも運次第でした。経験を積むほど当たりを引きやすくなる、という手応えは正直ありません。選べていないのだから、当たり外れが運任せになるのは当然だった、というのが今の受け止め方です。

この記事の書き分け

これから書く内容のうち、面談という場そのものの仕組みや業界全体の慣行にあたる部分は、私が現場のメンバーとして直接検証できた話ではありません。自分の実感として言えることと、制度や一般論として調べて分かったことは、はっきり区別して書いていきます。

面談が「面接」と呼ばれない、契約形態と法律の理由

結論準委任契約では、客先が個人を選んで指名する形が建前と噛み合いません。そのため選考の実態があっても、「面談」という呼び名が保たれている、というのが私の理解です。

SESの現場に入る前のあの場は、多くの会社で「面談」あるいは「顔合わせ」と呼ばれます。選考の実態があるのに面接と呼ばれないのは、単なる言葉の綾ではなく、契約の形と法律の建付けから来ています。

派遣なら「特定行為」にあたるが、それは禁止ではなく努力義務

まず前提として、労働者派遣であれば、派遣先が事前に派遣労働者を選ぶ行為は問題視されます。ただ、SES関連の解説記事では「事前面接は法律で禁止されている」と書かれていることが多いのですが、実際の条文はもう少し弱い書き方をしていて、ここは調べてみて認識を改めた部分でもあります。

労働者派遣法の第26条第6項は、労働者派遣の役務の提供を受けようとする者は、派遣労働者を特定することを目的とする行為を「しないように努めなければならない」と定めています(出典: 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律 第26条|e-Gov法令検索)。条文上は禁止規定ではなく、努力義務として書かれているというのが正確なところです。

とはいえ、努力義務だから何をしてもいいという話ではありません。厚生労働省の「派遣先が講ずべき措置に関する指針」は、禁止される行為の具体例として次のように書いています。

派遣先は、紹介予定派遣の場合を除き、(中略)労働者派遣に先立って面接すること、派遣先に対して当該労働者に係る履歴書を送付させることのほか、若年者に限ることとすること等派遣労働者を特定することを目的とする行為を行わないこと

派遣先が講ずべき措置に関する指針 第2の3(原文の一部)|出典: 派遣先が講ずべき措置に関する指針 第2の3|厚生労働省

「事前面接」「履歴書の送付」「若年者に限ること」が、名指しで禁止される行為として並んでいます。法律本体は努力義務にとどまり、指針の側でここまで具体的に書き込まれている、という二段構えです。ただ「法律で明確に禁止されている」と理解していると、条文だけを読んだときに肩透かしを食うはずで、実際に効いているのは指針の書きぶりのほうだと考えるほうが実態に近いと思います。

準委任は26条6項の外側にあるが、厚労省の疑義応答集は事前面談そのものに触れている

より重要なのは、そもそもSESの客先常駐が労働者派遣ではない、という点です。SESの契約形態は準委任契約が中心で、労働者派遣契約とは別のものです。派遣法の条文は労働者派遣に対して適用されるものなので、準委任で常駐しているエンジニアの面談に、先ほどの第26条第6項が直接かかるわけではありません。ここまでは、調べてみて確認できた事実です。

ただ、ここで話を終わらせると、「準委任だから面談は問題ない」という誤読につながります。実際には、話はもう一段先まで続きます。厚生労働省の「37号告示に関する疑義応答集(第2集)」は、冒頭で対象を「請負(委任及び準委任を含みます。以下同じ。)」と定義しています(出典: 37号告示に関する疑義応答集(第2集)|厚生労働省)。準委任も、この疑義応答集がそのまま対象にしている契約形態だということです。

そのうえで、問13は「請負事業主の業務遂行能力の確認のため、請負労働者に職務経歴書を求めたり事前面談を行ったりすることは可能ですか」という問いに、次のように答えています。

発注者が請負労働者の職務経歴書を求めたり事前面談を行ったりする場合は、一般的には当該行為が請負労働者の配置決定に影響を与えるので、労働者派遣事業又は労働者供給事業と判断されることがあります。特に、職務経歴書の提出や事前面談の結果、発注者が特定の者を指名して業務に従事させたり、特定の者について就業を拒否したりする場合は、発注者が請負労働者の配置等の決定及び変更に関与していると判断されることになります。

37号告示に関する疑義応答集(第2集)問13の回答(原文)|出典: 37号告示に関する疑義応答集(第2集)|厚生労働省

これを読んで受け止めが変わりました。「職務経歴書」はスキルシートそのもの、「事前面談」はこの記事で扱っている面談そのものです。準委任であっても、この2つを客先が求める行為自体が、労働者派遣と判断される要素になり得ると明記されています。

一方で、同じ疑義応答集の問12は、施設の保安上の理由などで従事予定労働者の氏名をあらかじめ提出すること自体は「そのことのみをもって直ちに労働者派遣事業又は労働者供給事業と判断されることはありません」ともしています。名前を伝えるだけの手続きと、配置決定に影響する選考とは、行政解釈の中でも区別されているということです。

ポイント: 「準委任だから26条6項は関係ない」というのは、条文の適用範囲としては正しい理解です。ただしそれは「だから面談をしても問題ない」という意味にはなりません。

疑義応答集は、事前面談やスキルシートの提出そのものが、配置決定への関与として労働者派遣事業や労働者供給事業と判断される要素になり得る、とはっきり書いています。呼び名を「面接」から「面談」に変えても、配置決定に影響する選考の中身がそこにあれば、問題の芽は別の告示から顔を出す、というのが正確な理解のはずです。

これは、私が入ってきた4社のどれかが違法だった、という話をしたいわけではありません。判定するだけの材料もなければ、その立場でもないからです。偽装請負の判断基準を扱った記事でも書いたとおり、実態を見て判断するのは行政の役割であって、現場のメンバーである私の役割ではありません。

関連記事SESの偽装請負と指揮命令の境界線|3つの現場の指示で検証SESの客先常駐で偽装請負を疑う指示を何度も受けてきました。厚労省の疑義応答集が示す指揮命令の判断基準に、3つの現場で受けた指示…

ここで書いておきたいのは、業界で「面談は選考ではなく相互理解の場」という建前が繰り返し強調される背景に、こうした行政解釈があるらしい、ということです。準委任契約では、客先はエンジニア個人に直接の指揮命令をしない建前になっています。個人を選別して指名する行為は、この建前とも、先ほどの疑義応答集の問題意識とも相性が悪い。

だから選考の実態があっても、選考とは呼ばない形式が保たれている、という理解です。面談は、建前の上では相互理解の場ということになっているので、こちらから条件を細かく詰めたり、はっきり比較検討したりする振る舞いが、その場の性質と噛み合いません。選べない構造は、力関係だけでなく契約の形にも埋め込まれています。

線引きが崩れると偽装請負の問題になる

準委任という建前が形だけになり、客先がエンジニア個人に直接の指揮命令をしている実態があれば、それは偽装請負として問題になります。厚生労働省は「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」、いわゆる37号告示で、この区分の判断基準を示しています。契約書の形式ではなく実態で判断される、というのがこの基準の考え方です。

この基準については疑義応答集が第3集まで公開されているほか、システム開発を請負業務とする場合の取扱いについて、都道府県労働局向けの事務連絡も別途出されています(出典: 37号告示関係疑義応答集|厚生労働省)。システム開発という業種が、この線引きの判断が難しい領域として個別に扱われていること自体が、SESという働き方の立ち位置を表しているように思います。

メンバーの立場では判定できません

自分の現場が偽装請負にあたるかどうかを、メンバーの立場で判定するのは現実的ではありません。指揮命令が誰から出ているのかは日々の業務の中で曖昧に混ざっていますし、契約書の中身を見られる立場でもない。ここは、そういう線引きが存在するという知識として持っておく程度が限界だと考えています。

SESの面談と、転職の採用面接は何がどう違うのか

面談という呼び名の理由を整理したところで、転職活動での採用面接と何がどう違うのかを並べてみます。似た場に見えて、当事者の構成そのものが違います。

SESの面談転職の採用面接
契約を結ぶ相手自社と客先(会社同士)自分と応募先の会社
自分の立場契約の当事者ではない契約の当事者
条件の交渉営業が代行し、本人は基本的に関与しない本人が直接行う
建前上の目的相互理解・顔合わせ選考
落ちた場合次の案件の面談を待つ別の会社に応募する

一番効いてくるのは、1行目と2行目です。契約を結ぶのは自社と客先であって、面談の席にいるエンジニア本人は、その契約の当事者ではありません。

転職の面接であれば、目の前の相手と自分が直接契約を結ぶので、条件について交渉する立場が最初から成立しています。SESの面談では、その立場自体がありません。

だから、採用面接と同じ感覚で臨むと噛み合わなくなります。交渉できる立場にない人が交渉の話を持ち出す形になるからです。

条件面の話が営業を経由して進むのは、営業が情報を握っているからというより、そもそも契約の当事者が営業側だからだ、と整理し直してからは、この場の性質が腑に落ちました。

私の場合

この違いを構造として理解したのは、この記事を書くために調べ直してからです。現場にいた当時は、単に「言いにくい雰囲気の場だ」としか感じていませんでした。

ただ、言いにくい理由が自分の性格や準備不足ではなく、契約の構成にあると分かるだけでも、面談への向き合い方は変わります。

2社目から4社目まで、面談は実際にどう違ったか

ここまでは制度側の話でした。ここからは、実際に自分が経験した面談を、記憶に残っている範囲で比較します。

1社目にも配属前の面談はありましたが、これは自社の中だけで完結する配属面接で、客先が同席する場ではありませんでした。新卒1年目の配属の流れに書いたとおり、あの場は今回の話とは性質が違います。

ここでは、客先が同席した2社目以降の3回を比較します。

2社目3社目4社目(今の現場)
商流三次請け二次請け二次請け
形式客先オフィスでの対面オンラインオンライン
同席者元請けの担当者1人、客先の担当者1人客先の窓口担当1人、客先PM1人客先のリーダー1人、プロパー社員1人
所要時間30分ほど25分ほど40分ほど
主に聞かれたこと言語の実務経験年数、残業への耐性担当する工程の範囲、稼働開始できる時期基本設計の担当範囲、リモートの可否
結果連絡までの日数1週間ほど4日ほど3日ほど
同時に提示された案件数1件1件1件

どの回にも共通しているのは、自社の営業が面談そのものには同席していない、という点です。日程調整までは営業が動き、当日は客先側の2人と自分だけで進みました。

もう一つの共通点は、提示が常に1件だったことです。3回とも、複数の案件から選ぶという場面はありませんでした。断ったことも、この3回を含めて一度もありません。

所要時間は現場によってばらつきましたが、聞かれる内容の軸はどこも似ていました。工程の範囲、技術の経験、稼働できるタイミング。この3点を組み合わせて聞かれる、という型は変わらないようです。

結果連絡までの日数が回を追うごとに短くなっているのは、たまたまの偶然だと思います。案件の緊急度や、その時点で他に候補がいたかどうかで、営業の動く速さは変わるはずです。

面談の場に着く前に、選別はほとんど終わっている

もう一つ、選べないと感じる大きな理由があります。面談は選考の入口ではなく、むしろ出口に近い位置にある、ということです。

SESで案件が決まるまでの流れは、おおまかに言えば次のとおりです。

  1. スキルシートの提出営業がエンジニアの経歴をまとめた資料を案件の募集元に送り、書面の段階で候補が絞られます。
  2. 営業同士のすり合わせ案件の背景や、その現場が何次請けなのか、なぜ今このタイミングで人を探しているのかといった前提は、このやり取りの中で共有されます。
  3. 面談書面を通った人だけが呼ばれます。エンジニア本人が登場するのは、この段階からです。

私自身、前半の2つの工程に立ち会ったことは一度もありません。どの案件に自分のスキルシートが出されたのか、いくつ出して何件落ちたのかを知らされないまま、通った案件の面談だけが予定として降りてくる、という形でした。

つまり、エンジニア本人が登場する時点で、候補はすでに絞り込まれた後です。選別が終わった後の席に呼ばれているのだから、その場で自分が主体的に選んでいる感覚が持てないのは、ある意味で当然でした。

面談の場は、前提を確認し直す場ではなく、確認済みの前提の上で人物を見る場として設定されている、というのが実感です。そして、面談で見えるものには限界があります。

炎上する現場に共通していたパターンを後から整理してみて分かったのは、要件定義の詰めの甘さもスケジュールの圧縮も、面談の時点では表に出てこないということでした。数十分の面談で判別できるのは、せいぜい業務内容と使用技術の大枠までです。当たり外れが運次第だと感じてきた理由の一つは、ここにもあります。

それでもエンジニア側に残っている選択肢

ここまで書いてきた通り、選ぶ主体はエンジニア側にありません。ただ、選択肢がゼロというわけでもありませんでした。残っているものを正直に並べると、次の3つです。

  • 提示された案件を断る(形式上は可能だが、待機というコストがついてくる)
  • 面談の場で確認する項目を、自分で決めておく
  • 次に出てくるスキルシートの中身を、日々の現場で作っておく

断ることはできる。ただしコストの向き先が自分になる

案件を断ること自体は、形式上できます。ただ、断った後に待っているのは待機です。次の面談がいつ設定されるかは営業の持っている案件次第で、自分でコントロールできる部分ではありません。

ここが、選択肢としては存在しているのに使いにくい理由です。断るという行為のコストが、断った本人にだけ返ってくる形になっています。契約終了で現場が変わるたびに感じてきた受動性と同じ構図が、案件を受ける側の場面でも繰り返されます。

正直に書くと、私自身は提示された案件を断ったことがありません。断れば単価が下がる可能性も、次が決まるまで時間がかかる可能性もある。

その天秤で、断らないほうを選び続けてきました。これを賢い立ち回りだったと言うつもりはなく、ただ選択肢として使わなかった、というだけの話です。

面談で確認する項目を、自分の側で固定しておく

面談が選考の出口である以上、こちらから条件を交渉する場にはなりません。それでも、確認するだけならできます。私が意識してきたのは、聞く内容をその場の流れに任せず、あらかじめ決めておくことでした。

具体的には、次の3点です。

面談で確認する3点

  • 担当する工程がどこからどこまでか
  • 使用する言語やフレームワークが何か
  • チームの中で自分がどの立場に置かれるのか

3点それぞれについて、面談で聞いた説明と、実際に入ってみてどうだったかを並べます。

確認項目面談での説明入ってみて分かったこと
工程の範囲(3社目)「詳細設計から結合テストまで、要員の状況によって前後する」金融系のWebサイトの現場で、前半約1年のデータ移行では手順書に沿った移行作業の実行、後半約1年半の保守改善では依頼ごとに担当が割り振られた。設計からテストまで一人で完結する依頼もあれば、チームで分担する依頼もあった
言語・フレームワーク(4社目)事前に希望していたとおり、Java・TypeScriptを使う案件説明どおりだったが、独自の社内フレームワークを使っている現場だという情報は面談で出てこなかった
チームでの立場(2社目)「若手中心のチームでメンバーとして入ってもらう」若手が多いのは説明どおりだが、40代くらいに見える協力会社のメンバーも複数いた。月40〜60時間ほど残業する時期がある現場でもあった

3社目は、答えが嘘だったわけではありませんが、面談の説明は幅のあるもので、実際の担当は移行期と保守期で性格がかなり違っていました。工程の範囲は、面談の一言だけでは読み切れないということです。4社目は、言語名を聞くだけでは、その現場固有の学習コストまでは見えないということでした。2社目は、残業の重さまでは面談の説明から読み取れませんでした。

答えが期待と違っていたとしても、それを理由に断ったことはありません。ただ、事前に知っているかどうかで、入った直後の立ち上がりの速さは変わります。一方で、残業時間や現場の雰囲気といった、本当に知りたいことほど面談では確認しきれませんでした。聞いても差し障りのない答えが返ってくるだけで、実態と一致するとは限らない。ここは面談の限界として割り切っています。

選ばれる材料をこちらで作っておく

選ぶ側に回れないなら、選ばれる材料のほうを厚くするしかありません。これはきれいごとに聞こえるかもしれませんが、実際に自分の側でコントロールできる数少ない部分です。

スキルシートに書けるのは、現場でやったことだけです。だから、今いる現場で担当範囲の外に少しでも手を伸ばしておくか、言われた範囲だけで終えるかが、次の案件の選択肢の幅に直結します。

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私は基本情報技術者を独学で取得しましたが、資格が案件獲得に直結した実感はありませんでした。効いてきたのは、資格よりも実際に触った技術と工程の記録のほうです。

どうしても案件を自分で選びたいなら、SESの面談とは別に、自分が契約の当事者になる採用面接の側へ回る道もあります。IT職種に特化した転職エージェント(@PRO人など)に、担当したい工程や使いたい技術を条件として伝えて相談してみる、という動き方です。エンジニアとして1年以上の実務経験があり、39歳以下で勤務地が一都三県か大阪なら、経験者向けのユニゾンキャリアでも、担当したい工程を条件にして相談できます。

面談のあとの流れと、辞退したくなったとき

面談を終えた後、結果はどう伝わってくるのか。ここも書いておきたいことの一つです。私の経験では、結果は必ず営業経由で、客先から直接連絡が来たことは一度もありません。結果連絡までの日数は、先ほどの表のとおり回によってばらつきました。1週間ほど待ったこともあれば、3日ほどで決まったこともあります。

目安が分からないまま待つのは落ち着かないので、待つ期間の見込みを聞いておくようにしています。これは催促ではなく、聞いておくと、連絡が来ない日が続いても、まだ範囲内だと思えて焦らずに済みます。

結果を待つときの聞き方

  • 面談の場か、その直後の営業とのやり取りで「結果はいつ頃分かりそうですか」と一言添える
  • 目安の日数を過ぎても連絡がなければ、催促ではなく「先日の件、進捗が分かれば教えてください」と聞く(決定を急かす言い方より、状況を確認する言い方のほうが、営業も動きやすいはずだと考えているからです)

同じ案件で面談が2回に分かれることがある、という話を営業から聞いたことがあります。元請けと客先の両方が別々に人物を確認したい場合に起きるそうです。私自身はまだこの形を経験したことがありませんが、商流が一段深い案件では起こり得る、という程度に理解しています。

ここまでは、結果を待つ側の話でした。もう一つ、面談を終えた後に辞退したくなったらどうするかも考えておきたいところです。正直に書くと、私自身はこれまで面談後に辞退したいと感じたことも、実際に辞退したこともありません。ここから先は、もし自分がそうなったらどう動くか、という想定の話として書きます。

  1. 結果連絡が届く前に、できるだけ早く営業に伝える決定の連絡が来てから断るより、その前に伝えるほうが、営業が客先への説明を組み立てやすいはずだからです。
  2. 理由は、感情的な言い方ではなく事実ベースで伝える「雰囲気が合わなかった」ではなく、「面談で聞いた工程の範囲が、今伸ばしたい経験と違った」のように、面談で確認した内容との相違点として説明する形です。

次の案件紹介にどう響くかは分かりません。ただ、理由を事実として伝えておけば、少なくとも営業が次に別の案件を提示するときの参考にはなるはずです。

「案件選択制」を掲げる会社をどう見るか

結論制度があるかどうかではなく、同時に何件提示されるかを聞くべきです。選択権があっても、提示が常に1件ずつなら、受けるか断るかの一択に戻ります。

最近は、エンジニアが案件を選べる制度を打ち出しているSES企業も増えています。この記事の内容と正面から矛盾する話なので、触れておきます。調べた範囲では、案件選択制は制度として存在していても、選べるだけの案件数を会社が保有していなければ機能しない、という指摘が複数のSES企業自身のメディアからも出ています。制度の有無より、選択肢が何件同時に提示されるかのほうが実質だ、ということです。

ここは私自身が案件選択制の会社で働いた経験がないので、実感として書けることはありません。ただ、この記事で整理してきた構造からは、確認すべき点がはっきりします。

まとめ

SES面談で案件は選べるのか。4社の現場を経験してきた実感としての答えは、選べません。ただし、その理由は会社が不誠実だからというより、構造の側にあります。

  • 契約の形 準委任契約で常駐する以上、客先が個人を指名して選ぶという形式そのものが建前と噛み合わず、選考の場は「面談」という名前で運用されます。疑義応答集を読む限り、準委任だから面談をしても構わない、という話にもなりません
  • タイミング スキルシートの段階で絞り込みは終わっていて、エンジニア本人が登場するのは、そのあとの席です。2社目から4社目まで、提示が常に1件だったことは変わりませんでした
  • 残っている選択肢 断ること、面談で確認する項目を自分で決めておくこと、次のスキルシートに書ける材料を今の現場で作っておくことの3つです。私が実際に使ってきたのは後ろの2つだけで、断るのは待機というコストが自分に返ってくるため、一度も使いませんでした

もし今、次の案件の面談を控えていて、自分で選べている気がしないと感じているなら、それは考えすぎでも準備不足でもありません。面談は、はじめから選ぶための場として設計されていないからです。

選べない前提を受け入れた上で、確認する項目を決めておくことと、次に出せる材料を今の現場で積んでおくこと。この2つは、営業の持っている案件数にも会社の制度にも左右されずに、自分の側で動かせます。面談を終えたら、結果がいつ頃分かりそうかを一言聞いておく。それだけでも、連絡を待つ数日間の落ち着かなさはだいぶ減ります。