エンジニア歴の中で、契約終了・案件終了による現場異動を、私はこれまで3回経験してきました。理由も次の配属先も、いつも会社同士の話し合いで先に決まっていました。

SESという働き方を続けて5年ほど、客先常駐で4社を経験してきました。この記事では、契約終了が決まってから次の現場に移るまでに何が起きるのかを、労働者派遣との制度上の違いも含めて書いておきたいと思います。

契約期間そのものの仕組みや、終了の前に現場に出る兆候については、契約期間と3か月ごとの更新を扱った記事にまとめています。

関連記事SESの契約期間は3か月更新が基本|更新されない兆候と対策SESの契約期間は3か月更新が基本です。更新の連絡のされ方、契約期間の途中で切られることはあるのか、更新されない兆候が現場に先に…

この記事で分かること

  • 契約終了の通知は何か月前に来るのか、待機期間中の給与はどうなるのか
  • SESで契約終了・案件終了による現場異動を3回経験して見えてきた傾向
  • SESの契約終了と労働者派遣の「雇用安定措置」が制度としてまったく違う理由
  • 契約終了が決まってから次が決まるまでに、私が実際にやってきた具体的な行動
  • 契約終了・案件終了が会社同士で決まる仕組みと、個人にできることの範囲
目次
  1. SESで契約終了のたびに現場が変わることを、3回経験してきました
  2. 契約終了はいつ知らされ、待機期間中の給与はどうなるのか
  3. SESの契約終了と、労働者派遣の「雇用安定措置」は別物です
  4. 現場異動を告げられるたびに感じる「割り切るが、不安は残る」という感覚
  5. 契約終了を告げられてから、私が実際にやってきたこと
  6. スキルシートの棚卸しで、何を書き足すか
  7. 営業担当に希望条件を伝えるときの粒度
  8. 1か月の猶予をどう使うか
  9. 案件終了が会社同士で決まる構造と、キャリアの「選べなさ」
  10. 同じように現場異動への不安を抱えている方へ
  11. まとめ

SESで契約終了のたびに現場が変わることを、3回経験してきました

エンジニアとしてSES企業に所属し、客先常駐で働き始めてから、現場を移ってきた回数は3回です。1社目から2社目、2社目から3社目、3社目から4社目という3回の異動を経てきました。

現場が変わった理由にはいくつかのパターンがあり得ると聞きます。客先都合の予算・体制縮小や、契約更新そのものが行われないケース、自社都合の異動なども一般論としてはあり得ます。

ただ、自分の実感として一番多かったのは、担当していたプロジェクトやフェーズが予定通り区切りを迎え、それに伴って契約が終了するというものでした。転職活動をして自分の意思で次の現場を選んだ、という経験はこれまでありません。次の現場が決まるのは、常に契約終了という区切りがあった後でした。

3回の異動を、在籍期間・商流・担当内容で並べてみると、傾向が見えてきます。

現場在籍期間商流担当内容
1社目約4か月—研修後、Javaの業務システム開発に参加
2社目約1年半三次請け業務システムの設計・実装・単体テスト
3社目約2年半二次請け金融系のWebサイトの案件。前半はデータ移行、後半は保守改善
4社目(現在)約9か月二次請け業務システムの保守・改修

在籍期間は4か月、1年半、2年半とばらばらです。この長さは自分の働きぶりの良し悪しとはあまり関係がなく、プロジェクトの区切りのタイミングで決まってきたというのが実感です。

商流も三次請けから二次請けに変わっていますが、これも自分で交渉して上げたわけではありません。たまたま次に決まった現場がそうだった、というだけです。

働き方の条件も現場ごとに少しずつ違いました。2社目と3社目は週1〜2日、VPNで自宅から接続してのリモートで、4社目は、もともと週1出社の予定でしたが、最近はほぼフル在宅です。いずれも自分が希望を出して決めたわけではなく、現場の方針にそのまま従った結果です。

この記事で書くのは、その一つ一つの出来事の細部ではなく、3回の異動を通じて自分の中に積み重なってきた実感です。

契約終了はいつ知らされ、待機期間中の給与はどうなるのか

結論私の場合、通知はだいたい1か月前後で、待機期間はほぼなく、給与も通常通り支給されてきました。

契約終了が決まったことを自分が知らされるタイミングは、だいたい1か月前後であることが多かったです。今日明日で現場を離れてほしいと突然告げられるような、切迫した知らされ方をした記憶はありません。3回の異動、いずれも通知のタイミングはこの感覚から大きくはずれませんでした。

契約終了が決まってから次の現場が決まるまでの「待機期間」についても、自分の場合はほぼ空白がありませんでした。前の現場での業務が終わるのとほぼ入れ替わりで、次の現場が決まっているという流れが続いています。この間の給与についても、待機による減額のようなものは特になく、通常通り支給されていたという理解です。

もし次の現場が決まるまでに空白期間が生じた場合、その間の給与がどう扱われるかについては、会社の責に帰すべき事由による休業であれば、労働基準法第26条の休業手当の対象になり得るという制度上の建てつけがあります(出典: 労働基準法 第26条|e-Gov法令検索)。

制度の話と、私の実感は別です

これはあくまで一般的な制度の話です。自分自身がこの休業手当の対象になった経験はなく、待機期間そのものがほぼ発生してこなかったので、この制度を実際に意識する場面はこれまでありませんでした。本人の実感と制度上の建てつけは、混同せずに分けて捉える必要があると思っています。

SESの契約終了と、労働者派遣の「雇用安定措置」は別物です

「SES 派遣切り」という言葉で検索して、この記事にたどり着いた方もいるかもしれません。ただ、SESという働き方と労働者派遣は、契約の中身がかなり違います。

労働者派遣では、派遣先の都合で契約期間の途中に労働者派遣契約を解除する場合、派遣先に雇用安定措置の義務があります。

労働者派遣の役務の提供を受ける者は、その者の都合による労働者派遣契約の解除に当たつては、当該労働者派遣に係る派遣労働者の新たな就業の機会の確保、労働者派遣をする事業主による当該派遣労働者に対する休業手当等の支払に要する費用を確保するための当該費用の負担その他の当該派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置を講じなければならない。

労働者派遣法 第29条の2(条文)|出典: 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律 第29条の2|e-Gov法令検索

条文だけだと抽象的なので、厚生労働省の指針で具体的に何が求められているのかも確認しておきます。

派遣先の都合による中途解除で、派遣先に求められる措置

  • 解除の事前申入れ:あらかじめ相当の猶予期間をもって派遣元に申し入れる
  • 新たな就業機会の確保:関連会社での就業をあっせんするなどして次の仕事を探す
  • 損害賠償等:新たな就業機会を確保できない場合、休業手当相当額以上(解雇予告をしない場合は30日分以上)の賠償を行う

(出典: 派遣先が講ずべき措置に関する指針(平成11年労働省告示第138号)第6項|厚生労働省)

一方、SESの客先常駐で使われる準委任契約には、これに相当する規定がありません。民法上、委任の規定が準用され、各当事者はいつでも解除できるのが原則です。

委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。

民法 第651条第1項(条文)|出典: 民法 第651条|e-Gov法令検索

ただし民法651条には第2項があり、相手に不利な時期に委任を解除した場合には、損害賠償の対象になり得るという例外があります。

前項の規定により委任の解除をした者は、次に掲げる場合には、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。一 相手方に不利な時期に委任を解除したとき。

民法 第651条第2項(条文)|出典: 民法 第651条|e-Gov法令検索

ただ、この賠償を請求できるのは契約の当事者、つまり自社と元請けの間だけです。現場に立つ本人が、この規定を使って何かを直接請求できるわけではありません。期間満了と途中解除の違いそのものは、冒頭で紹介した契約期間の記事で書いています。

両者を並べると、違いがはっきりします。

項目労働者派遣SES(準委任契約)
中途解除の事前申入れ相当の猶予期間をもって申し入れる義務あり法律上の義務なし
新たな就業機会の確保法律上の義務あり(指針で内容を具体化)法律上の規定なし
契約解除の原則期間途中の解除に上記の措置が必要各当事者がいつでも解除可能

もし今の契約が実際に労働者派遣なのであれば、中途解除に際してこれらの措置を求める権利があります。準委任契約のSESとは、法律上の立場がここまで違います。

現場に立つ本人を守るための規定は、SES側の条文にはどこにも出てきません。

私がこれまで経験してきた「1か月前後の猶予」「待機期間なし」という実感は、法律に守られた結果ではなく、業界の慣行としてそうなっていた、というだけだと今は理解しています。

SESには労働者派遣のような法定の雇用安定措置がないという構造は、この働き方を選ぶ上で知っておいたほうがいいと感じています。

現場異動を告げられるたびに感じる「割り切るが、不安は残る」という感覚

契約終了を告げられた時の心境を一言で表すなら、「その場では割り切るが、不安は残る」というのが一番近い実感です。3回この経験を繰り返してきた中で、回数を重ねるうちに完全に動じなくなったかというと、そういうわけではありません。かといって、毎回同じ強さでショックを受けているわけでもありません。

契約終了そのものは、自分の与り知らぬところで決まってしまう出来事だと、経験を重ねる中で理解はしています。それでも、次にどんな現場に配属されるのか、どんな仕事内容になるのか、どんな人たちと働くことになるのかが分からない状態で告げられる不安そのものは、何度経験しても消えることはありませんでした。

割り切りと不安は、両立するものだと今は感じています。 「もう慣れた」と言い切れるほど軽い出来事でもなければ、「毎回打ちのめされる」というほど重い出来事でもありません。その間のどこかに、自分の実感があります。

契約終了を告げられてから、私が実際にやってきたこと

契約終了・案件終了による異動そのものは、自分の意思で選んだものではありません。それでも、告げられてから次の現場が決まるまでの1か月ほどの間、何もせず待っていたわけではありません。

契約終了が決まってから、私が実際にやってきたこと

  • 自分のスキルシートを改めて見直す
  • 営業担当者に希望条件を伝える

スキルシートの棚卸しで、何を書き足すか

1つ目は、スキルシートの見直しです。前の現場が終わるタイミングで、担当した業務・技術・工程を一度棚卸しするようにしています。

棚卸しといっても、使った言語やフレームワークの名前を並べ直すだけでは意味が薄いと感じています。見るようにしているのは、自分がどこまでの範囲を任されたか、という粒度です。

スキルシートの棚卸しで確かめること

  • 「詳細設計を担当した」だけでなく、その中のどの部分の仕様を自分の判断で決めたかまで書けるか(判断を任された経験は、次の面談で深く答えられる材料になる)
  • 担当範囲が狭く、指示された作業をこなすだけだった期間は、そのまま書いても薄い実績にしかならない。その場合は、次の現場で何を意識して動くかを先に決めておく
  • 面談でよく聞かれる「得意な工程」への答えを、この棚卸しのタイミングで言葉にし直しておく(曖昧なまま面談に臨むと、聞かれてから考えることになり、うまく答えられない)

営業担当に希望条件を伝えるときの粒度

2つ目は、営業担当者に希望条件を伝えることです。

ただ「フルリモートがいい」「単価を上げてほしい」とだけ伝えても、営業側も動きようがないというのがこれまでの実感です。絞り込みすぎず、かといって漠然とさせすぎない粒度で伝えることを意識しています。

具体的には、希望を2〜3個に絞り、それぞれ「譲れない条件」か「できれば」かを分けて伝えるようにしています。全部を同じ強さで要望すると、営業側もどれを優先して探せばいいか分からなくなります。

希望が必ず通るとは限りません。それでも、案件終了が現場に先に出る兆候に気づいた段階、つまり正式な連絡より前から準備を始めておくと、動ける時間が数週間分変わってきます。

1か月の猶予をどう使うか

通知から次の現場が決まるまでのだいたい1か月という期間は、短いようで、何もしなければあっという間に終わります。自分の場合、この期間は次の順番で使うことが多いです。

  1. 前半:スキルシートの棚卸しを終える担当した業務・技術・工程を、任された範囲の粒度で見直します。
  2. 後半:営業とのやり取りに時間を使う棚卸しが終わってから、希望条件を営業担当に伝えます。

先に希望だけ伝えてしまうと、棚卸しが甘いまま次の話が進んでしまうことがありました。今はこの順番を崩さないようにしています。3回とも同じやり方を続けてきたので、スキルシートのフォーマット自体が棚卸しの型として定着しました。書き直すたびにゼロから考える必要がなく、更新点を追記するだけで済んでいます。

この2つは、契約終了そのものを止めたり、次の現場を自分で選んだりするための行動ではありません。契約更新の可否も、次にどの現場に配属されるかも、最終的には会社同士のやり取りで決まります。それでも、自分にできる範囲でこの2つだけは、毎回きちんとやってきたつもりです。

案件終了が会社同士で決まる構造と、キャリアの「選べなさ」

SESという働き方の中で一番驚いた慣習を挙げるとすれば、契約更新や案件終了が、本人の与り知らぬところ、つまり会社同士の話し合いで決まってしまうことです。この構造そのものは、今もなお納得しているわけではありませんが、抵抗するようなものでもない、という感覚に近いところに落ち着いています。

契約の当事者は自社と元請けであり、現場で作業をしている個人がその解除の意思決定に関与する余地は、制度上そもそも設計されていません。労働者派遣であれば、この解除に会社側の義務が伴います。SESの準委任契約にはそれがない分、この「選べなさ」を余計に強く感じてきたのだと、今回条文を調べ直して腑に落ちました。

キャリアは自分で選べないのか、という問いに正直に答えるなら、契約終了・案件終了という区切りそのものは、自分の意思で選べたことは一度もありません。3回の異動を経験して見えてきたのは、この「選べなさ」がたまたま自分だけに起きた特殊な事情ではなく、SESという働き方の構造そのものに組み込まれているものだ、という輪郭です。

ポイント: 契約終了・案件終了で現場が変わること自体は、個人の力で防げるものではありません。ただし、そのタイミングでスキルシートを見直す、希望条件を営業担当に伝えるといった、自分でコントロールできる範囲の行動は残されています。

選べない部分と選べる部分を切り分けて捉えることが、この構造の中で消耗しすぎないための一つの見方だと思います。

同じように現場異動への不安を抱えている方へ

もし今、契約終了・案件終了のタイミングが近づいていて不安を感じているなら、まず整理しておきたいのは、その不安の中に「自分でどうにかできる部分」がどれだけ含まれているかです。

区分中身
会社同士の話し合いで決まること契約が更新されるかどうか、次にどの現場に配属されるか。個人の交渉力や実力だけではどうにもならない部分が大きい
自分で手を動かせることスキルシートを見直す、営業担当に希望条件を伝える。契約終了という決定そのものには影響しなくても、次の現場が決まる過程には関わる

この2つを、契約終了が決まった直後からでも、待機期間の間にでも、淡々と続けておくことが、受け身の異動の中で自分にできる数少ない立ち回りだと考えています。もう一つ、自分が結んでいる契約が準委任なのか労働者派遣なのかを確認しておくことも勧めます。契約形態によって、会社側に求められる義務がまったく違うからです。

契約書自体は見せてもらえないことが多いですが、日々の運用から契約類型を推測する手がかりはあります。

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不安がゼロになることはありません。それでも、何も手をつけずに待つのと、スキルシートと希望条件だけは整えて待つのとでは、次の現場が決まった時の受け止め方が変わってくるはずです。

一方で、契約終了のたびに現場が変わる働き方そのものから離れたい、という気持ちが強いなら、自社のシステムを担当する社内SEへの転職も選択肢に入ります。社内SEなら、案件の区切りで現場が変わるという構造自体がありません。社内SEに絞った求人サイト(社内SE転職ナビなど)で求人の条件だけでも一度見ておくと、今の働き方と比べる材料になります。

まとめ

契約終了・案件終了による現場異動を、私はこれまで3回経験してきました。要点は次のとおりです。

  • 理由の多くはプロジェクトの区切りで、通知は1か月前後、待機期間はほぼ空白なく、給与も通常通り支給されてきた
  • 在籍期間は4か月、1年半、2年半とばらばらで、長さは働きぶりよりプロジェクトの区切りで決まってきた
  • SESの契約終了には、労働者派遣にあるような雇用安定措置の義務がない。1か月前後の猶予は、法律ではなく業界の慣行によるものだと理解している

それでも、契約終了を告げられるたびに感じてきたのは、「その場では割り切るが、不安は残る」という感覚です。この感覚は、経験を重ねても完全には消えませんでした。SESのキャリアは自分で選べないのか、という問いに対しては、少なくとも契約終了・案件終了という区切りそのものは選べない、というのが自分の答えです。

ただ、選べない中でも、スキルシートを見直し、希望条件を営業担当に伝えるという2つの行動だけは、毎回自分の意思で続けてきました。この記事を読んで同じような不安を抱えている人がいたら、まず選べない部分と選べる部分を切り分けて考えてみてください。

それだけで、受け身の異動を少しだけ違う実感で受け止められるようになるはずです。