客先のプロパー社員から「この画面を先に、これは明日でいい」と、その日の作業の順番を直接指示されたことが何度もあります。それが普通の業務連絡なのか、越えてはいけない指示なのか、当時の自分には判断がつきませんでした。

SESエンジニアとして5年ほど、業務システムの現場を4社渡り歩いてきましたが、この違和感は現場が変わっても消えませんでした。

今回は、偽装請負を判断する基準を厚生労働省の資料で確認したうえで、自分が受けてきた指示をその物差しに照らすとどう見えるかを、断定を避けながら整理します。

この記事で分かること

  • 厚労省の疑義応答集が示す、指揮命令にあたる指示とあたらない指示の境界線
  • 準委任契約の建前が、日々の現場でどう崩れていくか
  • 自分が受けてきた指示を、その境界線に照らすとどう見えるか(3つの現場から)
  • 多重下請けの中で、責任の所在が「客先」ではなく別の会社に乗るという見落としがちな点
  • 違法かどうかを自分では判定できないという前提で、状況を測るためのチェックリスト
目次
  1. SESで指揮命令を受けた実態は、現場によってかなり違いました
  2. 偽装請負の判断基準は「実態」で決まります
  3. 準委任契約の建前は、なぜ現場で崩れるのか
  4. 日常会話は指揮命令にあたらないとされています
  5. 作業の順序・方法まで指示すると、労働者派遣と判断されます
  6. 技術指導と緊急時の安全指示は例外として扱われます
  7. 3つの現場を、この物差しに当ててみます
  8. 3社目: 依頼元とのやりとりは、連絡窓口のリーダー経由だった
  9. 2社目: 三次請けの現場で、指示元は客先ではなく元請けだった
  10. 4社目(今の現場): チケット経由で、指示系統が一番整理されている
  11. 多重下請けの中で、責任の所在が変わるという見落としがちな点
  12. 「適用を免れる目的」が要件になっています
  13. 多重下請けでは、申込みの相手が「客先」ではないことがあります
  14. 違和感が消えないときに、自分でできること
  15. 自分の状況を測るためのチェックリスト
  16. まとめ

SESで指揮命令を受けた実態は、現場によってかなり違いました

先に断っておきます。この記事は、私の現場が偽装請負だったと主張するものではありません。判定できるだけの材料を、メンバーの立場では持っていないからです。

それでも、日々受けてきた指示の質感が現場ごとにまったく違っていたことは、はっきり言えます。ある現場では客先の担当者から作業の順番まで直接指定され、別の現場では技術的な使い方の説明を受けただけでした。同じ「客先から言われた」でも、中身は同じではありません。

私の立場

私はこれまで、二次請け・三次請けという下流の立場で、Javaや TypeScript を使う業務システムの現場を渡り歩いてきました。役割はいずれもリーダーではなく手を動かすメンバーです。

現場を変えてきた理由も自分の意思による転職ではなく、契約終了による受動的な移動がほとんどでした。この立場だからこそ、指示がどこから来ているかを意識せずにはいられなかった、という面もあります。

まず、指揮命令にあたるかどうかを判断するための、公的な物差しを確認するところから始めます。

偽装請負の判断基準は「実態」で決まります

結論契約書の文言ではなく、現場での実態で判断されます。その物差しが、厚生労働省の37号告示です。

SESの客先常駐は、契約の形としては準委任が中心です。準委任契約では、客先が個々のメンバーに直接指揮命令をしない建前になっています。この建前が崩れて、客先が実質的に個人へ指揮命令をしている状態になると、偽装請負として問題になります。

この線引きの基準になっているのが、厚生労働省の「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」、いわゆる37号告示です。

契約書の文言ではなく、現場での実態で判断するというのがこの基準の考え方で、この点は面談と契約形態を扱った記事でも触れました。

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今回はもう一段踏み込んで、この告示に関する疑義応答集の中身を見ていきます。

準委任契約の建前は、なぜ現場で崩れるのか

そもそも、この建前はどこから来ているのか。SESの客先常駐で使われる準委任契約は、民法第656条が準用する第643条の委任の規定がベースになっています(出典: 民法|e-Gov法令検索)。

委任・準委任の一般的な建て付けは、受任者が自らの裁量で事務を処理するというもので、発注者が細部の進め方まで指図する関係ではありません。

この建前に立てば、客先が自社に委託しているのは「業務の遂行」であって、個々のメンバーへの直接指示ではないはずです。ところが実際の現場では、タスクは会社ではなく個人に降りてきます。

建前が現場で崩れる2つの理由

  1. 担当者の名前を呼んだほうが自然に回る誰が担当するかは客先も把握していますし、担当者の名前を呼んで直接依頼するほうが、業務としては自然に成立してしまいます。
  2. 直接声をかけるほうが効率的悪意を持って建前を無視しているというより、日々の業務を回すうえで、個人に直接声をかけるほうが単純に効率的だという事情のほうが大きいはずです。

建前と実務の間にあるこのズレこそが、偽装請負というテーマがなくならない理由だと思っています。実際、私が経験した現場でも、作業の順序を直接指定されていた場面を振り返ると、相手に偽装請負をしている自覚があったとは思えません。ただ仕事を早く進めたかっただけだろう、というのが今の受け止め方です。

日常会話は指揮命令にあたらないとされています

疑義応答集の第1集には、具体的な設問と回答が並んでいます。

まず押さえておきたいのが、発注者と受注者側の労働者との間の日常的な会話は、指揮命令にはあたらないという整理です(出典: 労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(37号告示)に関するQ&A(第1集)|厚生労働省)。

これは安心材料になります。客先の担当者と雑談したり、廊下ですれ違って挨拶したりすること自体は、偽装請負の話とは無関係だということです。

私が現場で感じてきた違和感は、こうした日常のやり取りに対してではありませんでした。もっと具体的な、業務の中身に踏み込んだ指示に対してのものです。

作業の順序・方法まで指示すると、労働者派遣と判断されます

同じ疑義応答集の中に、より踏み込んだ設問があります。発注者が仕事の順序、方法について指示をしている場合は、労働者派遣事業と判断されるという趣旨の回答です。

つまり、何をどの順番で、どういうやり方で進めるかという部分に発注者が口を出している状態は、請負・準委任の建前とは相容れないとされています。この一文を読んだとき、自分が受けてきた指示のいくつかが、これに近い形をしていたことに気づきました。

技術指導と緊急時の安全指示は例外として扱われます

一方で、すべての具体的な指示が問題になるわけではありません。新しい設備や機械、専門的な知識・技術・経験を要する作業について、その使用方法や安全確保のために発注者が技術指導を行うことは、指揮命令にはあたらないとされています。

労働者の安全確保など緊急の必要がある場合の指示も同様です。

この2つの例外は、地味に見えて重要な線引きです。同じ「客先の担当者から具体的な説明を受けた」という出来事でも、それが新しい仕組みの使い方の説明なのか、日々の作業の割り振りなのかで、性質がまったく違うことになります。

発注者からの指示疑義応答集の整理
日常的な会話指揮命令にあたらない
新しい設備・専門的な知識を要する作業の、使用方法や安全確保のための技術指導指揮命令にあたらない
労働者の安全確保など緊急の必要がある場合の指示指揮命令にあたらない
仕事の順序、方法についての指示労働者派遣事業と判断される(趣旨)

ポイント: 疑義応答集が示している境界線を私なりにまとめると、「決まった仕様やツールの使い方を教わる」のはグレーではなく、「何をどの順番でやるかを日々指定される」のがグレーに近づく、という整理になります。

同じ現場でも、この2つが混ざって発生することが多く、当時の自分はその違いを意識していませんでした。

3つの現場を、この物差しに当ててみます

ここからは、実際に自分が経験してきた指示の受け方を、上で確認した基準に照らして振り返ります。繰り返しになりますが、これは判定ではなく、自分の記憶を整理する作業です。

単発の出来事としてではなく、現場を渡り歩く中で繰り返し目にしてきた傾向として並べます。

3社目: 依頼元とのやりとりは、連絡窓口のリーダー経由だった

3社目は二次請けで、金融系のWebサイトの案件でした。約2年半のうち、前半の約1年は旧システムのデータを新システムへ移すデータ移行、後半の約1年半は保守改善を担当しています。リモートは週1〜2日で、VPNで自宅から接続できました。

前半のデータ移行では、リハーサルも本番切り替えも手順書に沿って実行する作業でした。何をどの順番で進めるかは手順書に書かれていて、日々の作業の順序を誰かに口頭で指定される形ではありません。

後半の保守改善では、改修依頼ごとに担当が割り振られました。依頼元とのやりとりは、連絡窓口になっているリーダーを経由する形です。質問や課題は整理用のExcelにまとめる運用があり、チャットや口頭で聞くこともできました。

先ほどの基準に照らすと、この現場は、指示が個人に直接飛んでくる形ではなく、窓口を一本通る形でした。作業の割り振りも依頼単位で、日々の順序を客先が指定する形ではなかったと記憶しています。

ただ、窓口を通っていても、依頼の中身がどこまで細かく決まっていたかまでは、メンバーの立場では見えません。記録の面では、Excelという残る形があったことが、他の現場との大きな違いでした。

2社目: 三次請けの現場で、指示元は客先ではなく元請けだった

2社目は三次請けの立場で、月40〜60時間の残業がある忙しい案件でした。この現場の朝会では、自社のリーダーを介さず、間に立つ元請けの担当者が各自の名前を呼んで「今日中にここまで終わらせてほしい」と工数と締め切りを直接割り振ることがありました。

正直に書くと、この現場で客先のプロパー自身から直接指示を受けた記憶ははっきりしていません。指示は元請け経由が中心だったというのが実感です。

ここは今回振り返った3つの現場の中で、客先直接指示の色が一番薄い現場でした。ただし、指示元が客先本体でなくても、自社を経由せずに個人へ直接指示が飛んでいたという点で、経路の形としては気になる現場です。

この現場の納期がどこで決まっていたかは別の記事に書いたとおり、こちらの裁量が及ばないところで決まる話が多かったのも事実です。

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4社目(今の現場): チケット経由で、指示系統が一番整理されている

4社目では、客先が独自に持っている社内フレームワークを使っています。書き方に癖があり、なぜこの作りなのか分からない部分について、客先のプロパー社員から直接「このメソッドはこう呼び出さないと動かない、内部でこういう処理をしているから」という説明を受けたことが何度かあります。

これは、2社目で経験した「工数と締め切りの割り振り」とは質が違う指示でした。新しいツール・仕様の使い方についての説明という色合いが強く、疑義応答集でいう技術指導の例外に近い形に見えます。

改善の提案があるときも、客先に直接持ち込むのではなく、自社のリーダーを経由して課題票に起票する流れになっています。3社目でバリデーション処理の共通化を提案したときも、課題票に載るところまでは進みました。4社目は、その経路が日々の作業の割り振りにまで通っている印象です。

現場で判断や経験が積めるかどうかについては、別の記事で書いています。

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加えて、最近はほぼフル在宅で、タスクの多くは課題管理票、いわゆるチケットの形で降りてきます。口頭で客先のプロパーから直接指示されることは、これまでの現場に比べて明らかに少なくなりました。チケットの起票者は客先側であることもありますが、実際の作業の割り振りと優先順位づけは自社のリーダーが行っています。

指示の内容が記録として残ること、そして自社を経由する経路が保たれていることの2点で、4社目は2社目よりずっと整理されているというのが正直な実感です。振り返ってみると、指示の経路がはっきりしている現場のほうが、日々の違和感そのものも少なかったように思います。

3つの現場を並べると、指示の出所・内容・記録の有無がそれぞれ違っていたことがよく分かります。

現場指示の出所内容の性質記録の残り方
2社目(三次請け)元請けの担当者(客先本体ではない)工数・締め切りの直接割り振り朝会での口頭が中心
3社目(二次請け)手順書(データ移行期)、連絡窓口のリーダー(保守改善期)手順書の実行、依頼ごとの割り振り質問・課題を整理するExcelが残る。チャットや口頭でも確認できた
4社目(二次請け・現職)客先のプロパーと自社のリーダーフレームワークの技術指導と、チケットの内容・優先順位課題票・チケットとして記録が残る

こうして並べてみると、指示の中身が同じ「客先から直接」であっても、性質はまるで違うことが分かります。表の内容自体は自分の記憶をもとに整理したものなので、厳密な線引きの証拠にはなりません。

それでも、自分の現場を振り返るときの並べ方としては役に立つはずです。

多重下請けの中で、責任の所在が変わるという見落としがちな点

ここまでは指示の受け方を整理してきましたが、もう一つ、法律の建付けとして知っておいたほうがいい点があります。労働者派遣法には、労働契約申込みみなし制度という仕組みがあります。これは、労働者派遣を受け入れる側が一定の違法な行為をしていた場合、その時点でその会社が労働者に対して、それまでと同じ条件で直接雇用を申し込んだものとみなす、という制度です。

対象になる類型の一つに、偽装請負等が含まれています(出典: 労働契約申込みみなし制度の概要|厚生労働省)。

「適用を免れる目的」が要件になっています

この制度がすぐに発動するわけではありません。適用にあたっては、法律の規定の適用を免れる目的があったと客観的に認められることが要件とされています。

制度が適用されない場合

労働者派遣の役務の提供を受ける側が、その行為が違法な状態にあることを知らず、かつ知らなかったことに過失がない場合、つまり善意無過失の場合は、この制度は適用されないとされています。

要件のハードルが決して低くないことが分かります。日々の指示の中に基準へのグレーな当てはまりが見えたとしても、それだけで即座にこの制度の対象になるわけではない、ということです。

多重下請けでは、申込みの相手が「客先」ではないことがあります

ここが、私自身この制度を調べて一番意外だった点です。商流が何段にも重なっている場合、みなし申込みの主体になるのは、実際に指示を出していた最終的な発注者ではなく、労働者を雇用している会社と直接契約している「元請負人」だとされています。

つまり、仮にみなし制度が適用される場面があったとしても、その責任が乗るのは最終発注者である客先ではなく、自社のさらに一つ上、自社と直接契約を結んでいる会社になる、という整理です。

みなし申込みの主体になる会社

  1. エンド(客先)実際に指示を出していた最終的な発注者
  2. 元請負人自社と直接契約している会社。みなし申込みの主体とされる
  3. 自社=私労働者を雇用している会社
責任が乗るのは、指示を出していた客先ではなく、自社と直接契約している会社になります。

指示を実際に出していた相手と、法律上の責任が乗る相手が、多重下請けの中では一致しないことがあるという点です。これは検索していても、あまり触れられていない論点でした。

私が経験してきた現場は、いずれも二次請け・三次請けという多層構造の中にありました。指示を受けていた相手が誰であれ、その先にどういう会社の連なりがあり、法律上の位置づけがどう変わるのかまでは、現場のメンバーの立場では正直見通せません。

自分が何次請けかを調べる方法は以前まとめましたが、そこで書いたとおり、商流を知ったところで自分の行動が変わるわけではないというのが実感です。ただ、こういう仕組みがあると知っておくことには意味があると思っています。

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違和感が消えないときに、自分でできること

結論判定はできなくても、記録を残す、元の資料を読む、一人で抱え込まない、の3つはできます。

ここまで基準と自分の経験を並べてきましたが、判定できない以上、現場のメンバーにできることは限られています。それでも、まったく何もできないわけではないと考えています。

  1. 記録を残す習慣をつける誰から、いつ、どういう内容の指示を受けたかを、簡単なメモでいいので残しておきます。当時の私はこれをまったくやっていなかったので、今振り返って書いている内容も記憶頼りの部分があります。もし何かのタイミングで自分の状況を誰かに説明する必要が出てきたとき、記録がなければ「そういう指示を受けた気がする」としか言えません。
  2. 疑義応答集そのものを自分の目で読むこの記事で紹介した問1・問7・問10は第1集のごく一部で、他にも具体的な場面を扱った設問が並んでいます。第三者の解説記事を読むより、元の資料に目を通したほうが、自分の現場と照らし合わせたときの解像度が上がります。
  3. 違和感を一人で抱え込まない私自身は、この違和感について自社の営業や上司に相談したことがありません。相談したところで現場の指示のされ方がすぐ変わるとは思えなかったからですが、記録が積み上がっていれば、話を切り出すきっかけにはなり得たはずです。

疑義応答集は第2集・第3集まで公開されていて、会議への同席や、参画前に氏名を事前確認することの扱いなど、現場でありがちな場面を扱った設問もあるようです(出典: 37号告示関係疑義応答集|厚生労働省)。

確認できた範囲

この記事を書くにあたって私が実際に内容を確認できたのは第1集の範囲までなので、第2集・第3集の個別の回答をこの場で紹介することはしません。会議への同席が多い、氏名の事前確認を求められた、といった心当たりがある方は、上記のリンクから該当の疑義応答集を直接確認してみてください。

今からでも遅くはないので、次に同じような指示を受けたときは、まず書き留めることから始めようと考えています。

自分の状況を測るためのチェックリスト

ここまで整理してきた基準を、自分の現場に当てはめて考えるための問いとしてまとめます。繰り返しになりますが、これは診断ではありません。答えが偏っていたとしても、それだけで偽装請負だと断定できるものではないという前提で見てください。

自分の現場を測る5つの問い

  • 指示は誰から来ているか 客先のプロパーから直接か、自社の上司を経由しているか。経由していない指示がどれくらいの頻度で発生しているか
  • 指示の内容は何に踏み込んでいるか 作業の順序や進め方そのものか、それとも新しい仕様・ツールの使い方の説明か
  • 緊急性はあるか 安全確保など緊急の必要がある場面か、日常的に繰り返される業務指示か
  • 頻度はどのくらいか まれに起きる例外的な場面か、毎日のように発生している状態か
  • 記録は残っているか 口頭だけで消えていくか、チケットやメールなど後から確認できる形になっているか

私自身、この問いに沿って振り返ると、2社目の朝会での割り振りは「自社を経由しない・工数と締め切りに踏み込む・記録が口頭中心」という組み合わせで、グレーに近い側に寄っていたと感じます。

一方で3社目は連絡窓口のリーダーを通る形で、4社目は「客先から直接説明を受ける」場面があっても技術指導が中心でした。

この違いを意識できるようになったのは、基準を先に知ってから振り返ったからです。渦中にいるときは、指示の一つ一つを個別に判定する余裕なんてありません。だからこそ、後からでも経験を物差しに照らす価値があると思っています。

まとめ

SESで指揮命令を受けた実態を、3つの現場を通じて振り返ってきました。この境界線を知る前と後とでは、同じ出来事の見え方がまるで変わりました。

  • 境界線 厚労省の疑義応答集は、作業の順序や方法にまで指示が及ぶと労働者派遣と判断されるとしつつ、新しい設備や仕様についての技術指導、緊急時の安全指示については例外としています
  • 判定はできない 自分の現場がどちらに近いかを、メンバーの立場で判定することはできません。契約書を見られる立場でもなければ、実態を法律の要件に一つずつ照らして検討する材料も持っていないからです
  • 知っておくこと 多重下請けの中では法律上の責任が乗る相手が客先そのものとは限らないこと、準委任という建前が現場で崩れやすい構造にあること

もし今、客先から直接受けている指示に違和感があるなら、まずはこの記事のチェックリストに沿って、指示の出所と内容を自分なりに整理してみてください。

断定はできなくても、グレーな部分をグレーなまま把握しておくことが、次の現場で同じ違和感に出会ったときの判断材料になります。