現場や契約更新のたびに、請求単価は変わりました。ところが年に2回振り込まれる賞与は、現場が変わっても、基本給の1.5か月分という月数のまま動きませんでした。
SESエンジニアとして5年ほど、4社の客先常駐を経験し、厚生労働省の統計や労働基準法の条文も確認したうえで、今回はSESの賞与が単価に連動しない理由と、情報通信業の相場と比べて自分の賞与がどの水準だったかを、実体験を交えてお伝えします。
この記事で分かること
- SESの請求単価と賞与が、そもそも別々の仕組みで決まっている理由と、賞与の法律上の位置づけ
- 賞与が基本給の3か月分で、算定基礎が基本給だけという実際の仕組み
- 「賞与2か月分」が何の2か月分かで額が変わる理由と、求人票での確認の仕方
- 情報通信業の賞与統計と比べた自分の水準、賞与35万円の手取りの概算
目次
- SESの賞与は単価に連動しない、4社渡り歩いて見えたこと
- 請求単価は「月額固定」、賞与は自社の決算から出るという別回路
- 精算幅はあっても、契約書に賞与という項目はない
- 賞与の支払い義務は、法律ではなく就業規則や契約から生じます
- 賞与の月数は、単価ではなく基本給に連動していました
- 「賞与2か月分」は、何の2か月分かで額が変わります
- 情報通信業の賞与は何ヶ月分が妥当なのか、統計で確認する
- 5つの数字は、母集団がそれぞれ違います
- 統計の月数は「賞与を支給した事業所」の平均です
- 私の月数を、同じ土俵に置いてみる
- 月数も金額も平均に届かなかった理由
- 賞与35万円の手取りは約28.7万円、額面の8割強です
- 入社1年目と退職前後の賞与は、在籍の条件で減ります
- 入社1年目は、算定期間の在籍按分で少なくなりやすいです
- 支給日に在籍していないと、賞与が出ない会社もあります
- 求人票の「賞与あり」を読むときの言葉と、面談で聞くこと
- 賞与が出ない・少ないと感じたときに確認すべきこと
- 賞与だけを理由に転職を考えるべきか
- まとめ
SESの賞与は単価に連動しない、4社渡り歩いて見えたこと
二次請け・三次請けという下流の立場で、業務システムの改修や刷新を渡り歩いてきました。単価は現場や契約更新のたびに変わってきました。
単価が上がらない理由を統計から整理した記事にも書いたとおり、単価は自分の努力より案件の枠と商流の深さで先に決まってしまう部分が大きく、現場ごとにばらつくのは当然といえば当然でした。
一方で、賞与のほうはずいぶん違う動き方をしていました。夏と冬、年2回(7月と12月)に振り込まれる賞与は、年間で基本給の3か月分です。単価が変わっても、この月数は変わりませんでした。
単価と手取りの差を扱った記事に書いたとおり、2社目の時期の単価は年間490万円から530万円でした。賞与は、基本給232,000円の1.5か月分にあたる約35万円が、夏と冬にそれぞれ出ていました。年間では約70万円です。3社目の離任前は、基本給が269,000円まで上がっていて、1回あたり約40万円でした。
単価は現場ごとにばらつくのに、賞与は基本給の月数で一定。単価と賞与がそもそも別の仕組みで決まっていると考えると、つじつまが合います。
請求単価は「月額固定」、賞与は自社の決算から出るという別回路
結論単価は現場ごとの契約で決まり、賞与は会社ごとの規程で決まります。財布としてまったく別の場所から出ているお金だからです。
単価と賞与がどういう経路でお金として動いているのかを、自分なりに整理し直してみました。ここでは契約書の側と、法律の側の2方向から見ていきます。
精算幅はあっても、契約書に賞与という項目はない
SESの客先常駐は準委任契約が中心で、契約書には精算幅と呼ばれる稼働時間の範囲が決められるのが一般的です。この精算幅の中で稼働している限り、請求単価は毎月ほぼ一定です。
契約書のどこにも「業績が良ければ賞与分を上乗せする」といった条項はありません。単価契約そのものに、賞与という概念は最初から組み込まれていないのです。
一方の賞与は、雇用主である自社が、就業規則に基づいて支給するものです。客先から支払われる単価がどれだけ高くても、それが自動的に自分の賞与に上乗せされる仕組みにはなっていません。
| 請求単価 | 賞与 | |
|---|---|---|
| 決まる場所 | 現場ごとの契約 | 会社ごとの規程(私の会社は基本給の3か月分) |
| 支払う側 | 客先 | 雇用主である自社 |
| 契約・規程上の扱い | 月額固定。賞与の上乗せ条項はない | 就業規則に基づいて支給 |
賞与の支払い義務は、法律ではなく就業規則や契約から生じます
「就業規則に基づいて」と書きましたが、そもそも賞与は法律でどう扱われているのか、労働基準法の条文を確認しました。11条は、賃金を、名称が賃金・給料・手当・賞与のどれであっても、労働の対償として使用者が支払うすべてのものと定めています。一方で、賞与を支払うこと自体を義務づける条文は、私が見た限りありませんでした。
支払い義務が生じるのは、就業規則や労働契約で賞与を支給すると定めたときで、その定めに従う形になります。89条は、臨時の賃金などを定める場合に就業規則へ書くよう求める規定で、賞与を必ず出せという条文ではありません。賞与の額も月数も会社の規程次第で、客先の単価が条件に入ってこないのは、規程にそういう項目がないからです。
もう一つ、年2回の賞与のように支給間隔が長いものは、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金として割増賃金の基礎から除かれ(37条5項・施行規則21条)、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金として平均賃金にも算入されません(12条4項)。待機中の休業手当に絡む話は、別の記事に書きました。
賞与の月数は、単価ではなく基本給に連動していました
結論賞与の月数は基本給の1.5か月×2回で一定でした。額は、基本給が昇給するのに合わせて増えていました。
自分の賞与を振り返ると、単価が変わっても、月数は同じでした。動いたのは、かける対象である基本給のほうです。
| 時期 | 基本給(月額) | 賞与1回あたり(1.5か月分) | 年間 |
|---|---|---|---|
| 2社目(2022年4月以降) | 232,000円 | 約35万円 | 約70万円 |
| 3社目の離任前(2025年4月以降) | 269,000円 | 約40万円 | 約80万円 |
単価の変動は現場と自社の契約の話で、賞与の変動は基本給と自社の規程の話です。この2つの物差しは、そもそも交わる場所を持っていなかったのだと思います。
なお、同じ基本給の昇給が、月給と賞与の両方に効く点は、昇給額を扱った記事に書きました。
「賞与2か月分」は、何の2か月分かで額が変わります
賞与の月数は、何を基準にしているかで額が変わります。会社の規程や求人票の「○か月分」は、同じ月数でも、基本給だけを基準にする場合と、手当や固定残業代まで含めた額面を基準にする場合があります。月収が同じ30万円で、どちらも「夏冬各2か月分」と書かれていても、次のような差が出ます。
| 仮の例 | A社 | B社 |
|---|---|---|
| 額面月収 | 30万円 | 30万円 |
| 内訳 | 基本給20万円+手当5万円+固定残業代5万円 | 手当・固定残業代を含めて30万円 |
| 賞与の算定基礎 | 基本給(20万円) | 額面(30万円) |
| 求人票の表記 | 夏冬各2か月分 | 夏冬各2か月分 |
| 年間の賞与 | 80万円 | 120万円 |
上の表は説明のための仮の例で、実在の会社ではありません。同じ「2か月分」でも、年間で40万円の差になります。月数だけを見比べても、この差は見えません。
私の場合、賞与の算定基礎は基本給だけで、手当や残業代は含まれません。2社目の額面月収は残業代を含めて平均約30万円でしたが、基本給は約23万円です。同じ「年3か月分」でも、額面で割り戻すと約2.3か月分に下がります。
賞与の月数を人と比べるときは、まず何の何か月分なのかをそろえる必要があります。
情報通信業の賞与は何ヶ月分が妥当なのか、統計で確認する
結論基本給の3か月分は、額面で割り戻すと2.3か月前後で、統計の平均よりやや少ない水準でした。金額も、平均には届いていませんでした。
自分の賞与の月数や金額が、業界全体で見てどのくらいの位置にあるのかも確認しておきたく、公的な統計を調べてみました。
執筆時点(2026年10月)で、厚生労働省の毎月勤労統計調査の最新は、令和7年夏季と令和7年年末の賞与です。令和8年夏季分は2026年11月6日に公表される予定で、この記事には入っていません。経団連と労務行政研究所は、2026年夏の数字まで出ています。
| 集計元 | 母集団 | 情報通信業の賞与 |
|---|---|---|
| 厚生労働省 毎月勤労統計調査(令和7年夏季) | 全国・事業所規模5人以上 | 788,065円(前年比+6.5%)、1.34か月 |
| 厚生労働省 毎月勤労統計調査(令和7年年末) | 全国・事業所規模5人以上 | 746,758円(前年比+5.6%)、1.35か月 |
| 東京都 毎月勤労統計調査地方調査(令和7年夏季) | 東京都内・事業所規模30人以上 | 841,722円(前年比+4.5%)、1.48か月(分母は所定内給与) |
| 経団連 大手企業の妥結結果(2026年夏季・最終集計) | 従業員500人以上の大手、情報通信は4社のみ | 882,669円(前年比-0.18%) |
| 労務行政研究所(2026年夏季) | 東証プライム上場・労働組合あり | 情報・通信は集計1社のため非公表(全産業は881,915円、2.52か月) |
(出典: 令和7年9月分結果速報等|厚生労働省、出典: 令和8年2月分結果速報等|厚生労働省、出典: 令和7年夏季賞与 特別集計|東京都、出典: 2026年夏季賞与・一時金 大手企業業種別妥結結果|日本経済団体連合会、出典: 東証プライム上場企業の2026年夏季賞与・一時金の妥結水準調査|労務行政研究所)
5つの数字は、母集団がそれぞれ違います
東京都の841,722円・1.48か月は全国の数字ではなく、東京都内の事業所の値です。全国・5人以上の数字は、表の上2行にあたります。
経団連の集計は従業員500人以上の大手が対象で、情報通信業は4社しか含まれていません。労務行政研究所は労働組合のある東証プライム上場企業だけで、情報・通信は1社の集計のため非公表です。二次請け・三次請けが中心のSES企業とは規模がかなり離れているので、この2つは参考程度に見ています。
統計の「事業所規模」は会社単位ではないので、そのまま当てはめることはできませんが、土俵として一番近いのは全国・5人以上の厚労省の数字だと考えました。
統計の月数は「賞与を支給した事業所」の平均です
厚労省の月数は、賞与を支給した事業所ごとに、きまって支給する給与に対する賞与の割合を出し、その平均を取ったものです。情報通信業で賞与を支給した事業所の割合は、令和7年夏季が75.4%、年末が80.4%で、夏は4事業所に1つ近くが賞与を支給していません。支給していない事業所は平均に入らないので、賞与が出るかどうかの差は、月数の比較には映っていません。
分母の「きまって支給する給与」には、基本給や諸手当に加えて、残業代も含まれます。基本給だけを分母にすれば月数はもっと大きく出ます。夏の1.34か月と年末の1.35か月を足した2.69か月も、それぞれ支給した事業所の平均を足しただけの目安です。
私の月数を、同じ土俵に置いてみる
私の賞与は基本給の3か月分ですが、統計の分母は残業代を含む「きまって支給する給与」です。同じ土俵に置くには、私の賞与も、額面月収(残業代・手当を含む)で割り戻す必要があります。
分母の定義をそろえて並べると、私の賞与の月数は統計よりやや少ない水準でした。
額面で割り戻すと月数が下がるのは、額面に賞与の対象外である手当と残業代が含まれるためです。3社目の離任前は、基本給269,000円に対して職能手当等・家族手当・住宅手当と残業代が上乗せされて額面が約39.4万円になるので、割ると約2.0か月まで下がります。
東京都の1.48か月が私の1.5か月に近く見えるのは偶然です。東京都の分母は残業代を含まない所定内給与なので、基準が違う数字を並べて同じとは言えません。
月数も金額も平均に届かなかった理由
金額のほうは、さらに差がつきました。2社目の時期の私の夏の賞与は約35万円で、厚労省の情報通信業の788,065円(夏)、746,758円(年末)とは大きく離れています。平均額を月数で割る雑な逆算ですが、情報通信業の「きまって支給する給与」は50万円台半ばから後半に見え、私の額面約30万円とは倍近い開きがあります。管理職や年齢の高い層も含む平均なので、目安です。
月数という倍率が統計並みでも、その倍率をかけるベースの給与水準そのものが低ければ、支給額は低いところに落ち着きます。私の場合は、月数も額面ベースでは統計に届かず、給与水準の低さが重なっていました。賞与が少なく感じる原因は、賞与の仕組みよりも、基本給という算定基礎と給与水準の側にあるというのが、数字を並べてみての実感です。
給与水準に差がつく理由は、この統計だけでは分かりません。企業規模が小さいほど年間賞与が薄くなる傾向は単価が上がらない理由の記事でも確認しましたが、二次請け・三次請けを担うSES企業は、商流が深く利益率が薄くなりやすい分、賞与や給与に回す原資そのものを確保しにくい、という構造が関係している可能性があります。ただし、統計で裏付けた話ではありません。
賞与35万円の手取りは約28.7万円、額面の8割強です
2社目の時期の賞与(1回あたり約35万円)が出たとして、手元にいくら残るかを概算してみました。賞与からは、月給と同じように社会保険料と所得税が引かれます。
この概算の前提
賞与35万円、東京都の協会けんぽ、40歳未満、扶養0人、前月の社会保険料控除後の給与が26万円未満、という前提の概算です。2026年4月分から始まった子ども・子育て支援金は、賞与への適用を公式ページで確認できていないため、この概算には含めていません。
(出典: 標準賞与額の上限など|日本年金機構、出典: 令和8年度の保険料額表|協会けんぽ、出典: No.2523 賞与に対する源泉徴収|国税庁、出典: 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和8年分)|国税庁)
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 賞与(額面) | 350,000円 | |
| 健康保険料(本人分) | 350,000円×4.925% | 17,237円 |
| 厚生年金保険料(本人分) | 350,000円×9.15% | 32,025円 |
| 雇用保険料(本人分) | 350,000円×0.5% | 1,750円 |
| 所得税 | (350,000円−社会保険料等51,012円)×4.084% | 約12,200円 |
| 手取り | 約286,800円 |
保険料率は、健康保険9.85%と厚生年金18.3%の半分が本人負担です。標準賞与額の上限(厚生年金は1回150万円、健康保険は年度累計573万円)には届きません。
所得税の率は、前月の社会保険料控除後の給与と扶養人数で決まります。扶養0人の場合、前月の給与が26万円未満なら4.084%、26万円以上30.9万円未満なら6.126%、30.9万円以上34.2万円未満なら8.168%の区分です(令和8年分の算出率の表)。2社目の額面約30万円の月給は、社会保険料を引くと約25.6万円なので、4.084%の区分でした。
3社目の離任前は、額面が約39.4万円、社会保険料を引いた前月の給与が約33.9万円で、8.168%の区分です。賞与約40万円で計算すると、手取りは約31.4万円で、額面の約78%になります。給与が上がると、賞与の手取りの割合は少し下がります。
賞与の手取りが額面の約82%と、月給より多く残りやすいのは、住民税が賞与から引かれないためです。
入社1年目と退職前後の賞与は、在籍の条件で減ります
賞与の月数は、規程どおりの水準が1年目から出るとは限りません。入社したばかりの時期や退職を考える時期は、在籍の条件で賞与が変わりやすい場面です。
入社1年目は、算定期間の在籍按分で少なくなりやすいです
賞与の規程には、算定の対象になる期間を決めて、その期間の在籍に応じて按分する書き方があります。会社によって期間の区切り方は違います。
求人票の年収例に賞与込みの数字があっても、1年目は満額に届かないことを前提にしておいたほうがいいと思います。
待機期間中の賞与の扱いは、規程次第です。私は待機を経験していないので、実際の運用は書けません。賞与の算定対象にその期間が含まれるかどうかは、事前に規程で確認するしかありません。
支給日に在籍していないと、賞与が出ない会社もあります
もう一つは、退職時期との関係です。賞与の支給日に在籍していることを条件にする定めは、就業規則にあれば有効と解されている、と中小機構のJ-Net21のQ&Aに書かれています。最高裁の昭和57年の判例(大和銀行事件)がよく引かれる論点です。
支給日の直前に退職日を設定してしまうと、算定期間を満額働いていても賞与が出ないことになりえます。退職を考えるなら、日付を決める前に、賃金規程の支給日在籍の条件を読んでおきます。
(出典: 賞与の支給日在籍要件について|J-Net21(中小機構))
求人票の「賞与あり」を読むときの言葉と、面談で聞くこと
賞与は単価と別回路で動く以上、求人票の「賞与あり」は賞与の水準を保証する一文ではありません。表記ごとに、私はこう読んでいます。
| 求人票の表記 | 私の読み方 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 賞与年2回 | 支給の機会が年2回ある、というだけで、月数や額は分からない | 直近の月数の実績 |
| 賞与実績○か月 | 何の○か月か(基本給か額面か)で額が変わる | 算定基礎と、全員の平均か最高額か |
| 業績賞与 | 会社の業績や評価で変わる。月数が固定されているとは限らない | 支給しなかった年や、減った年があるか |
| 決算賞与 | 決算期の業績次第で出る臨時的な賞与。定期の賞与とは別枠のことがある | 定期の賞与に上乗せか、代わりか |
| 寸志 | 少額の支給で、月数で語れないことが多い | 金額の目安 |
| 年俸制に含む | 賞与分があらかじめ年俸に入っていて、別に出ないことがある | 月給の内訳と、別途出る額 |
求人票には、分母が基本給なのか額面なのかまで書かれていないことが多いので、面接や面談で確認します。聞き方の例を並べておきます。
面接・面談で賞与について聞くこと
- 「賞与の月数は、基本給の何か月分でしょうか。手当や固定残業代は含まれますか」 分母がそろわないと、月数を他の会社と比べられません
- 「直近2年の支給実績を、月数で教えてもらえますか。人によって幅はありますか」 最高額ではなく、標準的な人の水準を知るのが目的です
- 「算定期間と支給日在籍の条件はありますか。入社1年目はどう扱われますか」 最初の1年の額が変わります
- 「賞与は就業規則や賃金規程に定められていますか」 規程があれば、条件を文面で確認できます
賞与が出ない・少ないと感じたときに確認すべきこと
ここまでの整理を踏まえて、入社後に賞与について不満や疑問を感じたときに確認しておくとよいと思う点をまとめます。
賞与に疑問を感じたときの確認項目
- 就業規則や賃金規程の賞与の条項を、一度読んでみる 算定基礎、算定期間、支給日在籍の条件、評価との関係が書かれているかを見ます。書かれていないことは、聞く相手も根拠も曖昧になります
- 算定基礎が基本給なのか額面なのかを確認する 基本給だけが基礎なら、基本給の昇給が賞与にも効きます。手当や残業代が増えても、賞与は増えません
- 単価の推移と賞与の推移を、別々に記録しておく 同じ表で管理しようとすると混同しやすいので、契約更新のたびに単価(分かる範囲で)と賞与の月数を別の欄に書き残しておくと、両者が連動しているのかどうかが後から見えやすくなります
- 転職を検討するときは、月給と賞与を合わせた年収ベースで比較する 月給だけを見て決めると、賞与の月数や有無を見落としたまま判断してしまうことがあります。額面だけでなく、手取りの概算も見ておきます
賞与だけを理由に転職を考えるべきか
賞与が少ないと感じたとき、それだけを理由に転職するべきかどうかは、自分の中でも答えが割れます。賞与の額は、算定基礎である基本給と、会社ごとの月数の掛け算で決まります。単価が高い現場に移ったかどうかは、そこに入ってきません。
月数だけで会社を選ぶのも危うい、というのがここまでの整理でした。会社を移るなら、賞与の有無より、算定基礎が何で、何を基準に金額が決まるのかを確認するほうが、判断の材料になります。
単価が上がれば賞与も増えると期待して転職すると、また同じ壁にぶつかる可能性があります。
動くと決めていなくても、外の求人で賞与の月数や算定基礎がどう書かれているかを見ておくと、自社の水準を比べる材料になります。IT職種特化の転職エージェント(@PRO人
など)なら、求人の条件を確認できます。
まとめ
SESの賞与が単価に連動しないのは、会社が意図的に隠しているからではなく、単価契約と賞与制度がそもそも別の回路で動いているからでした。請求単価は客先との月額固定の契約で決まり、賞与は自社の規程で決まります。
- 賞与は労働基準法が支払いを義務づけているものではなく、就業規則や契約の定めで決まる。会社ごとに条件が違うので、規程の確認が出発点になる
- 私の賞与は、年2回(7月・12月)で年間基本給の3か月分。算定基礎は基本給だけで、単価が変わっても月数は変わらず、基本給の昇給に合わせて額が増えた
- 額面(手当・残業代を含む)で割り戻した月数は、2社目で約2.3か月、3社目の離任前で約2.0か月。全国・5人以上の情報通信業(夏1.34か月、年末1.35か月)より少なく、金額も平均に届かなかった
- 「○か月分」は何の○か月分かで額が変わる。1年目は在籍按分で少なく、退職時期は支給日在籍の条件に左右される
もし今、単価は上がっているはずなのに賞与が変わらないと感じているなら、疑うべきは賞与の計算式そのものより、算定基礎が何か(基本給なのか額面なのか)と、その基礎となる給与水準がどこにあるかです。単価と賞与を同じ物差しで見比べるのをやめて、それぞれ別の仕組みとして確認し直すところから、次の一手が見えてくるはずです。




