「案件が終わったら、次が決まるまでの間、給料はどうなるんだろう」。現場の契約終了が近づくたびに、この不安がよぎるという声をよく聞きます。待機中の給料が「なし」や「6割」と聞いて、身構えている人も多いはずです。

私はSESエンジニアとして5年ほど、4社の客先常駐を経験してきましたが、この「待機」という状態には一度も立ったことがありません。経験がないぶん、体験談ではなく、労働基準法の条文と自分の額面月収に当てはめた数字で確かめることにしました。

先に結論です。自宅で待機させられるなら、会社都合の場合は平均賃金の60%以上の休業手当が必要です。会社に出て自習や社内業務を指示されるなら、休業ではなく通常の勤務として賃金の対象になり得ます。

この記事で分かること

  • 社内待機と自宅待機で、給料の扱いがなぜ変わるのか
  • 待機中の給料なし、60%未満は違法なのか(労働基準法26条の考え方)
  • 休業手当は「月給の60%」ではなく「平均賃金の60%」であること
  • 額面月収30万円(各種手当込み)で試算した休業手当の実額
  • 半日だけの待機、待機が続いた場合の計算の注意点
  • 休業手当にも税金・社会保険料がかかり、手取りはさらに減ること
  • 待機になったときに確認しておきたい点
目次
  1. SESの待機で給料はどうなるか、まず社内待機と自宅待機を分けます
  2. SESの待機で給料なし・60%未満は違法になるのか
  3. 休業手当は「平均賃金の60%」で計算されます
  4. 平均賃金はどう計算するのか
  5. 額面月収30万円を、実際にこの計算式に当てはめてみます
  6. 半日だけの待機の場合はどうなるのか
  7. 待機が続いたり、繰り返したりした場合はどうなるのか
  8. 休業手当にも税金・社会保険料がかかり、手取りはさらに減ります
  9. 満額もらえる場合もある、民法536条2項という選択肢
  10. 私に待機が発生しなかった理由と、運の要素
  11. 待機になったときに確認しておきたいこと
  12. まとめ

SESの待機で給料はどうなるか、まず社内待機と自宅待機を分けます

待機と一口に言っても、実態は大きく2つに分かれます。ここを分けないと、「待機は6割」という話が当てはまる場面とそうでない場面を取り違えます。

  • 自宅待機:自宅にいて、会社から出社や業務の指示がない状態(法的には休業にあたる)
  • 社内待機:自社に出社し、自習・資格の勉強・社内業務などを指示されている状態

結論自宅待機は休業手当(平均賃金の60%以上)、社内待機は指示の内容次第で通常の賃金の対象になり得ます。

違いを決めるのは、働く場所ではなく、使用者の指揮命令下に置かれているかどうかです。厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日策定)は、労働時間を「使用者の指揮命令下に置かれている時間」とし、使用者の明示または黙示の指示により業務に従事する時間は労働時間にあたるとしています。

同ガイドラインは例として、参加が業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習などを行っていた時間、手待時間を挙げています(出典: 厚生労働省 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン)。

自宅待機社内待機
状態出社も業務指示もなく、自宅で次の案件を待つ出社し、自習・社内業務などを指示される
法的な整理休業(労働者は働いていない)指示の内容次第で労働時間になり得る
給料の目安会社都合なら平均賃金の60%以上(休業手当)労働時間にあたれば、通常の賃金が原則
判断の分かれ目会社の責に帰すべき事由があるか会社の指示で学習・業務をしているか

ここで注意したいのは、「自社に来ている時間は必ず通常賃金になる」と断定できるわけではないことです。ガイドラインの考え方に沿えば、会社の指示があって自習や業務をしているなら労働時間と見るのが自然です。ただ、出社そのものは任意で、何をするかも自由という形なら、話は変わり得ます。指示の有無と内容による、というのが正確なところです。

実務で厄介なのは、会社が「自習してください」と言っているだけで、出社は強制していないのか、事実上の強制なのかが曖昧なケースです。曖昧なときは、指示がメールやチャットで残っているかどうかが後で効いてくるはずです。

私自身が社内で自習を指示された時期といえば、1社目の入社直後(集合研修2週間のあとの自習3週間)くらいです。ただ、これは現場に出る前の研修期間で、案件がないための待機ではありません。待機に数えていないので、この記事の「経験がない」という前提は変わりません。

この記事の前提

この記事は「待機になって給料が減った実体験」ではありません。

待機を経験してこなかった側から、制度を条文と数字で確かめておくという記事です。経験していないことを経験したかのように書かないのが、このブログの前提です。なお、SESの待機に特化した行政の解釈や通達はなく、ここで書くのは一般的な休業手当・労働時間の枠組みを当てはめた整理です。

SESの待機で給料なし・60%未満は違法になるのか

結論正社員(無期雇用)が会社都合で待機になり、無給や平均賃金の60%未満なら、労働基準法26条との関係で問題になります。

「待機は給料なし」と言われた、という話は、検索のサジェストにも出てきます。まず条文を確認します。労働基準法26条は次のとおりです。

使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。

出典: 労働基準法 第26条|e-Gov法令検索

ここで押さえたいのは、「使用者の責に帰すべき事由」の範囲が広いことです。神奈川県かながわ労働センターの「労働問題対処ノウハウ集 30 休めと言われた」は、天災事変のような不可抗力を除き、経営不振による休業も休業手当を請求できるケースとして挙げています。根拠は、ノースウエスト航空事件(昭和62年7月17日、最高裁第二小法廷判決)です(出典: かながわ労働センター 労働問題対処ノウハウ集 30 休めと言われた)。

同資料が休業手当を請求できる例として挙げる経営上の事情

  • 仕事がない
  • 製品が売れない
  • 資金調達が困難

厚生労働省のQ&Aも、注文の減少など経営上の理由を含め、不可抗力を主張し得ない一切の場合を含む趣旨だと説明しています(出典: 厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A)。

SESの待機を当てはめると、契約終了で案件がなくなり、次の現場が決まらないための休業は、会社の営業や案件供給の事情による性質が強いと考えられます。ですから、自宅待機で無給だったり60%を切っていたりすれば、26条との関係で相談する材料になります。

ただし、私は断定を避けます。個別の事情次第で結論が変わる点が3つあるからです。

「違法」と言い切る前に見ておきたい点

  • 本当に休業なのか(出社や業務の指示があれば、通常賃金の問題になる)
  • 休業の原因が会社の責に帰すべき事由か(本人の事情による欠勤などは別)
  • 雇用契約の形(正社員なのか、有期・案件単位の契約なのか)

有期・案件単位の契約の場合は、契約期間や更新の有無で扱いが変わり得るので、ここでは一般論を述べるにとどめます。気になる場合は、契約書の条項を確認したうえで、労働基準監督署などの窓口に相談するのが確実です。

もう一つ、待機日に会社が年次有給休暇を一方的に充てさせることは、原則としてできません。年休は労働者が請求する時季に与えるのが原則です(労基法39条5項)。会社が時季を決められるのは、労使協定による計画的付与(同条6項)などに限られます。「待機の間は有給で処理しておくね」と言われた場合は、休業手当の代わりにはならない可能性があるので、ここは確認しておきたい点です。

年休が取りにくい構造そのものについては、別の記事で整理しています。

関連記事SES客先常駐で有給が取れない理由|客先が駄目と言っても取れるのかSESの客先常駐で有給が取れない、取りにくいのはなぜか。申請先の自社と調整先の客先が別になる二重構造、労基法39条での客先の位置…

休業手当は「平均賃金の60%」で計算されます

自宅待機で休業手当の対象になるとして、次は金額です。ここが、実務で一番誤解されやすいところだと思います。休業手当は「月給の60%」ではなく、「平均賃金の60%」です。

平均賃金はどう計算するのか

平均賃金は、算定事由発生日以前3か月間に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数(暦日数)で割った金額です。労働日数ではなく、休日も含めたカレンダー上の日数で割るのがポイントです。

休業手当の場合、算定事由発生日は休業日です。待機が始まる日の直前3か月が算定期間になります(出典: 三重労働局「休業手当の計算について」)。

賃金総額に何を含めるかは、2つに分けて見ます。

  • 含まれるもの:基本給のほか、通勤手当・残業手当・各種手当
  • 含まれないもの:臨時に支払われた賃金、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など。労基法12条4項)

通勤手当や残業手当が算入される点は、大分労働局の資料に整理されています(出典: 大分労働局の資料)。年2回の賞与は、まさに除外される側です。

額面月収30万円を、実際にこの計算式に当てはめてみます

自分は待機を経験していないので、これは仮の計算です。ただ、仮定の数字ではなく、実際に自分が受け取ってきた額面月収30万円を条文の計算式にそのまま当てはめます。月30万円は賞与を除き、残業手当などの各種手当を含んだ額面という前提です。

算定の対象期間は、仮に待機が9月から始まるとして、2026年6月・7月・8月とします。この3か月の暦日数は、30日+31日+31日で92日です。賃金総額は、300,000円×3か月=900,000円になります。

休業手当は、この平均賃金の60%以上です。休業手当は、休業させた所定労働日について支払うもので、所定休日には発生しません(三重労働局)。仮に1か月まるごと待機になり、所定労働日数21日分が対象になったとして計算します。

平均賃金(日額)9,783円900,000円÷92日
休業手当(1日)5,870円9,783円×0.6
休業手当(21日分)123,270円額面30万円の約41.1%

どれも約の値。額面月収30万円(各種手当込み、賞与除く)の場合の試算です。

比較のために単純な計算もしておきます。月給30万円を所定労働日数21日で割ると、300,000円÷21日=約14,286円です。これは「その月の日給換算」という単純化した数字で、実際の賃金計算の方法そのものではありません。それでも、同じ30万円から出発して平均賃金の日額がだいぶ低く出ることは、体感の差として押さえておく価値があります。

通常勤務した場合休業手当のみの場合(試算)
日額の考え方額面30万円÷所定労働日数21日平均賃金(暦日ベース)の60%
日額の目安約14,286円約5,870円
月額の目安(21日分)300,000円約123,270円
額面30万円に対する割合100%約41.1%

「60%」という言葉の印象より、月額の実感ははるかに低く出ます。原因は2つあります。一つは、平均賃金が暦日数で割られるため、単純な「月給÷労働日数」より低く出ること。もう一つは、賞与が算定の基礎から外れるため、年収ベースの感覚とずれることです。

なお、平均賃金には最低保障の規定(12条1項但書)もありますが、月給制の場合は、原則の計算と同じ金額になるのではないかと私は見ています。ただ、この点は確認しきれていないので、実際に計算する場面では会社や労働基準監督署に確かめてください。

ポイント: 「休業手当は月給の60%」というざっくりした理解のまま待機に入ると、振り込まれた額を見て「思っていたより少ない」と感じる可能性が高いです。60%がかかる対象は、暦日ベースで計算された平均賃金です。

半日だけの待機の場合はどうなるのか

待機は、丸1日とは限りません。午前だけ客先に行き、午後は帰宅、といった一部休業の形もあり得ます。この場合、その日について全体として平均賃金の60%に満たなければ、差額を支払う必要があります(出典: 厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A、三重労働局の資料)。

試算に当てはめます。上の例では、平均賃金の60%は約5,870円です。半日働いた分の賃金が日給換算14,286円の半分、約7,143円なら、5,870円を上回るので追加の支払いは生じません。逆に、働いた時間が短く、その日の賃金が5,870円を下回るなら、差額が休業手当として必要になります。

待機が続いたり、繰り返したりした場合はどうなるのか

待機が続くと、平均賃金の算定期間(直前3か月)に、すでに休業した期間が入り込むことがあります。休業期間は賃金が低くなっているため、そのまま計算すると平均賃金が低く出すぎます。

そこで労基法12条3項3号は、算定期間中に使用者の責めに帰すべき事由による休業期間があれば、その日数と賃金を控除して平均賃金を計算するとしています。待機が連続したり、再び待機になったりしたとき、休業手当が雪だるま式に減らないための規定です。

私は待機を経験していないので、会社が実際にこの控除を正しく使っているかまでは分かりません。ただ、制度を知らないまま待機に入ると、会社の計算が正しいのかを判断する手がかりがなくなります。

休業手当にも税金・社会保険料がかかり、手取りはさらに減ります

額面の話をここまで続けましたが、手取りも見ておきます。休業手当は、税金の上では給与所得として扱われます(出典: 国税庁 タックスアンサー No.1905)。

社会保険の上でも、休業手当は報酬等に該当します(出典: 日本年金機構「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」)。

つまり、上の試算で出した約12.3万円は額面で、ここから所得税・社会保険料などが引かれます。保険料率などは確認していないので、具体的な手取り額の計算はしません。ただ、通常の月でも額面30万円から手取りが大きく減る構造を考えると、待機中の手取りはさらに小さくなります。通常月の手取りの内訳は、別の記事に書いています。

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待機が長引くと、家賃や固定費はそのままなのに、入ってくる額は通常の4割程度になります。この差額を何か月耐えられるのかは、待機の不安の中心だと思います。

私なら、待機が始まる前から、固定費の何か月分を手元に残せているかを見ておきます。待機を経験していない立場で言うのはおこがましいのですが、休業手当の額は条文でほぼ決まるので、足りない分は自分の貯蓄でしか埋められません。会社に交渉する前に、まず自分の家計側の「耐えられる月数」を数字にしておくほうが、判断を誤りにくいと考えています。

満額もらえる場合もある、民法536条2項という選択肢

結論会社の責任で働けなくなった場合は、賃金の全額を請求できる余地があります。ただし、多くは交渉や法的手続きが必要になり得ます。

休業手当は「100分の60以上」という最低ラインです。それ以上、つまり満額を受け取れる可能性はないのでしょうか。関係してくるのが民法536条2項です。

条文は、「債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない」と定めています(出典: 民法|e-Gov法令検索)。雇用契約に当てはめると、会社側の責任で働けなくなったとき、労働者は賃金の全額を請求できるという理屈です。同様の整理は、かながわ労働センターの資料にもあります。

同じ条文には続きがあり、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならないとされています。働かずに済んだことで得た利益があれば、その分は会社に返す、という調整です。

位置づけを正確に理解しておく必要があります。2つの規定の性質は、次のように違います。

労働基準法26条(休業手当)民法536条2項
受け取れる額平均賃金の60%以上賃金の全額を請求できる余地
性質強行法規。特約があっても60%を下回ることは許されない任意規定。就業規則や契約の特約によって排除できる
受け取るまで法律上当然に支払われる会社との交渉や、場合によっては民事訴訟が必要になり得る

法律の建てつけは、「最低60%は労基法26条で保障され、それ以上を求めるなら民法536条2項の主張を検討する」という二段構えです。ただ、全額を実際に受け取るまでのハードルは高いと考えておいたほうが、実態に近いと思います。

私に待機が発生しなかった理由と、運の要素

ここで、自分の話に戻ります。契約終了の通知は、だいたい1か月前後前に伝えられてきました。そして次の現場が決まるまで、待機と呼べる空白はほぼなく、給与も通常通り支給されてきました。理由として、自分なりに思い当たる点は3つあります。

待機がほぼ発生しなかった3つの要因

  1. 契約終了の通知が1か月前後前だったこの猶予があったから、自社の営業担当が次の案件を探す時間を確保できていたのだろうと思います。
  2. 所属してきた会社の規模極端に小さくはない中堅規模のSES企業でした。営業担当の手元に一定の引き合いがあり、契約終了に合わせて次の候補を出せていたのではないかと推測しています。
  3. 携わってきた技術領域Javaを中心とした業務システム開発は、流行り廃りの波が比較的緩やかで、引き合いが途切れにくい領域だったのではないかと感じています。

通知の早さについては、契約更新の周期についての記事にも書きました。

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契約終了と現場異動の全体像は、こちらの記事で整理しています。

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ただし、これは社内の事情を把握したうえでの話ではなく、あくまで外側からの見立てです。裏を返せば、3つの条件のどれか一つでも崩れれば、待機は普通に起こり得ます。通知が直前になる、自社の案件ストックが薄い、技術領域の需要が急に細る。こうした状況が重なれば、私にも待機期間が生まれていたはずです。

自分は運が良かった側面が大きい、というのが正直な自己評価です。待機が一度もないので、休業手当の存在を軽く見ていた面があり、今回条文を読み直して、思っていたより実額が小さいことに驚きました。

待機になったときに確認しておきたいこと

最後に、実際に待機になったとき、自分の状況を判断するために確認しておくとよい点を整理します。

待機になったときの確認リスト

  • 自宅待機か社内待機か。出社や自習の指示が、メールやチャットなど記録に残る形であるか
  • 待機の理由が会社都合(案件が見つからないなど)なのか、本人の事情なのか、会社からの説明で確認する
  • 契約書・就業規則に、休業時の賃金の扱いの記載があるか
  • 待機日を年次有給休暇で処理されていないか(会社が一方的に充てるのは原則できない)
  • 支払われる額が、平均賃金(直前3か月の賃金総額÷暦日数)の60%を下回っていないか、自分で概算してみる
  • 半日待機など一部休業の日に、その日の賃金が平均賃金の60%に満たないままになっていないか
  • 賞与が算定の基礎から外れている前提で、想定額と振込額のずれを確認する
  • 納得できなければ、会社の担当者に計算根拠を確認し、解消しない場合は労働基準監督署への相談も選択肢に入れる

会社に計算根拠を確認すること自体は、特別な行動ではありません。平均賃金の計算式は公表されている情報なので、支払われた金額がその式に沿っているかを照らし合わせるだけです。

「法律上こう定められているはずですが」と、条文を挙げて確認できるかどうかで、話の通りやすさは変わってくるはずです。待機中の過ごし方を会社と相談する場合も、先に「これは指示された時間なのか、任意なのか」を確認しておくと、後の揉め事を減らせます。

聞き方は、たとえば「今回の待機は会社都合の休業という扱いでしょうか。その場合の休業手当は、平均賃金のどの期間をもとに計算していますか」くらいで十分です。喧嘩腰にならず、事実と計算の根拠だけを尋ねる形にしておけば、後から労働基準監督署に相談することになっても、やり取りの記録が材料として残ります。

私自身はまだこの確認をする場面に立っていません。ただ、いざ必要になってから条文を探すのでは遅いので、今のうちに平均賃金の計算式と、自宅待機と社内待機の違いだけは頭に入れておくつもりです。

まとめ

私はSESエンジニアとして5年ほど、4社の客先常駐を経験してきましたが、待機という状態に立ったことは一度もありません。通知の早さ、自社の案件ストック、技術領域の需要が揃っていたことが大きかったと考えていますが、運の要素も否定できません。

この記事の要点

  • 待機は自宅待機と社内待機で扱いが違う。自宅待機は休業手当、社内待機は指示の内容次第で通常賃金の対象になり得る
  • 会社都合の自宅待機で給料なし・平均賃金の60%未満なら、労基法26条との関係で問題になる(有期・案件単位の契約は個別事情による)
  • 60%がかかる対象は月給ではなく、直前3か月の賃金総額を暦日数で割った平均賃金。額面30万円(手当込み)の試算で21日分は約123,270円(約41.1%)
  • 休業手当にも税金・社会保険料がかかり、手取りはさらに減る
  • 満額を求める余地として民法536条2項があるが、任意規定で、交渉や法的手続きが必要になり得る

「60%」という言葉の印象より、実際の額はかなり低く出ます。この点は、自分でも今回計算して、初めて数字で確認しました。待機を経験していない立場から言えることは限られていますが、条文と数字だけを頼りに整理できたことは、確かな材料になったと思います。

もし今、待機の不安を抱えている方がいたら、まず自分の契約書と就業規則を確認し、待機の形が自宅なのか社内なのかを整理してください。そのうえで、支払われる額が平均賃金の60%を下回っていないか、この記事の計算式で一度概算してみてください。