今の現場(4社目)では、最近はほぼフル在宅で、定時になった瞬間に画面を閉じてそのまま自室にいます。通勤がない分の時間が手元に残るようになってから、「この時間で何かできないか」と考えるようになりました。
パーソル総合研究所の調査でも、正社員の副業実施率は2025年に11.0%と過去最高を更新しており、同じことを考える人は年々増えているようです。
今回は、SES企業に所属し客先常駐で働く自分が実際に副業を検討したときに、自社の就業規則だけでは終わらなかった確認の顛末を、実体験としてお伝えします。
この記事で分かること
- 自社の就業規則を確認するときに見るべきポイント(届出制か許可制か、禁止できる4つの類型)
- SES特有の壁である、客先との準委任契約・NDAが副業にどう影響するか
- ほぼフル在宅で増えた「客先の目が届かない時間」がもたらす影響と、越えてはいけない線
- 副業が伝わる仕組みと、確定申告まわりで実際に意識した金額の目安
- 自分が実際にどこまで踏み出し、何を保留にしたか
目次
客先常駐で副業はバレるのか、まず確認したこと
結論バレるかどうかを心配する前に、自社の就業規則と客先との契約の両方を確認するのが先です。
今の現場は4社目にあたる、二次請けの保守・改修案件です。もともとは週1日の出社という予定でしたが、最近(2026年10月時点)はほぼフル在宅になっています。基本的にフリーアドレスで、出社しても座席がない可能性があるため、出社は控えています。
今の現場での出社頻度(予定と最近の実態)
以前の現場では、3社目はVPNで自宅から接続でき、リモートは週1〜2日ありました。2社目も週1〜2日、1社目は0日です。今の現場ではほぼ毎日在宅になり、通勤がない分の時間をまとまった形で意識するようになって、「この時間で何かできないか」と考えるようになりました。
検索して分かったこと
ネットで「SES 副業」と検索してみると、出てくるのはおすすめの副業ジャンルを紹介する記事や、副業で月何万円稼げるかというランキング系の記事ばかりでした。就業規則の話に触れている記事もありましたが、客先常駐という働き方特有の事情に踏み込んでいるものは見当たりませんでした。
自分が知りたかったのは「何を売るか」ではなく「何を確認すればいいか」だったので、結局は自分で一つずつ確認していくことにしました。
冒頭で触れた11.0%という数字のほかにも、この調査では企業側の副業容認率が64.3%、実際に社外の人材を受け入れる副業受入率が29.1%という数字が示されています(出典: 第四回 副業の実態・意識に関する定量調査|パーソル総合研究所)。ただ、容認率が伸びているからといって、自分の勤め先がどちら側に立っているかは、実際に確認してみないと分かりません。
自社の就業規則を確認する ― 届出制か許可制か
最初に確認したのは、自社の就業規則です。イントラネットに規程集が置かれていたことを思い出し、副業・兼業に関する条文を探しました。
見つかった規定は「事前届出制」で、届出書のフォーマットも同じ場所に置かれていました。業務内容・想定する時間帯・見込みの頻度を書く、そこまで複雑ではない様式です。
副業・兼業の扱いについては、厚生労働省が公表しているモデル就業規則が一つの目安になります。「副業・兼業と労働条件|確かめよう労働条件」で確認できるモデル就業規則第70条には、次のように書かれています。
労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
同じページでは、副業・兼業の促進に関するガイドライン(平成30年1月策定、令和2年9月改定、令和4年7月改定)に基づき、企業は「原則、副業・兼業を認める方向で検討することが適当」とされている、とも説明されています。
一方で、例外的に副業・兼業を禁止・制限できる場合として、次の4類型が示されています。
- 労務提供上の支障がある場合
- 業務上の秘密が漏洩する場合
- 競業により自社の利益が害される場合
- 自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合
自社の就業規則も、この4類型に近い書きぶりでした。原則は認める方向、ただし業務に支障が出る場合や秘密漏洩・競業にあたる場合は制限する、という構成です。ここまでは、事前に調べておけば誰でも確認できる範囲の話でした。
4類型のうち、SESの人が一番引っかかりやすいのは「競業」と「秘密漏洩」だと私は見ています。自社はIT人材を客先に出して稼ぐ会社なので、同じIT分野の副業が「競業」と受け取られるかどうかは、会社ごとに感覚が違うはずです。
私の場合、副業はライティングでSES事業とは重ならないと判断しましたが、これも最終的には自社が決めることです。同じ開発系の副業を考えている人は、届出の前に営業か管理部門に一言聞いておくほうが安全です。
実際に届出書を書きかけてみると、「業務内容」の欄で手が止まりました。何をどこまで書けば「常駐先の業務に関係しない」と言い切れるのか、自分の判断だけでは決めきれなかったからです。
周りに副業をしている人がいるのか、それとなく聞いてみた
届出書を書きかけたまま、同じ部署の先輩に、それとなく副業をしている人がいるかどうか聞いてみたことがあります。返ってきたのは「聞いたことはないが、禁止されているという話も聞いたことがない」という、はっきりしない答えでした。
届出制になっている以上、申請すれば会社としては把握しているはずですが、誰が実際に副業をしているかが周囲に共有されるような文化はありません。
この静けさは、悪いことではないと思います。ただ、自分のように「初めてで勝手が分からない」立場からすると、聞いていいものかどうかを余計に迷わせる原因にもなりました。SESという働き方だと、この先にもう一段、確認すべきことが控えていました。
SESならではの壁 ― 客先との準委任契約とNDA
自社の就業規則さえクリアすれば副業を始められる、という単純な話ではありませんでした。参画時に、常駐先の秘密保持に関する誓約書に署名したことを思い出したからです。
この誓約書は参画時に一度サインしたきりで、3か月ごとの契約更新のたびに書き直すようなものではありません。だからこそ、内容をあらためて意識することがほとんどなく、記憶があいまいになっていました。
自社と客先の間で結ばれているのは準委任契約で、その契約書そのものを自分が見る機会はありません。単価は聞けても契約書は見せてもらえなかった経験がすでにありましたが、それと同じ構造がここにも当てはまります。
自社の届出さえ通しておけば十分だと思っていましたが、客先の契約・誓約の内容は自分では正確に把握していないと気づいたのが、この時点での一番の発見でした。
誓約書の写しをもらうべきか、迷って結局やめた
営業に相談する前、実は総務に「参画時に書いた誓約書の写しをもらえないか」と聞こうとしたことがあります。ただ、まだ副業を始めるかどうかも決めていない段階で、いきなり秘密保持の書類を確認したいと言い出すのは変に勘繰られるのではないかと思い、結局言い出せませんでした。
振り返ると、これは判断ミスに近かったと思っています。誓約書の写しは参画時に一度受け取っているはずのもので、それを確認したいと言うこと自体は不自然な行動ではありません。次に同じような場面があれば、まずは自分の手元にある書類を見直すところから始めるはずです。
そこで、書類を確認する代わりに、届出書を出す前に自社の営業担当にチャットで相談することにしました。
副業を考えているのですが、常駐先との契約的に何か制約はありますか。
確認するので少し待ってほしいです。
どちらも趣旨の再現です。実際に回答が来たのは1週間ほど後で、その趣旨は次の3点にまとめられます。
- 常駐先の業務・保有する情報に関係する内容でなければ問題ない
- 常駐先から支給されている、またはリモート接続に使っているPC・アカウントは一切使わないこと
- 対応する時間は契約上の勤務時間外に限ること
この回答が、客先に直接確認した結果なのか、自社内での判断だけだったのかは、返信の文面からは分かりませんでした。踏み込んで聞き返すこともしませんでした。ただ、営業がすぐに即答できなかったこと自体が、副業の可否が自社の規則だけで完結しない問題だという事実を裏付けているように感じました。
結局、届出書の「業務内容」欄には、常駐先の業務とは無関係なライティング系の作業である旨を書いて提出し、10日ほどで特に追加の質問もなく受理されました。
自社の許可と客先の意向、この二段階を両方クリアして初めてスタート地点に立てるというのが、客先常駐で副業を考えるときの実態だと思います。
ほぼフル在宅で「客先の目が届かない時間」が増えたことの影響
在宅の日、客先から見れば自分が実際に何をしているかは、勤怠システムの入力と成果物でしか判断できません。出社していれば席に座っている姿そのものが管理の一部になりますが、リモートだとその部分がまるごと抜け落ちます。この状態は副業を始めやすくする一方で、別のリスクも生んでいると感じています。
私が最初に決めた線
契約上の勤務時間中は、絶対に副業の作業を混ぜないと決めました。これは就業規則の話というより、準委任契約に基づいて労働力を提供すると約束している時間を、別の目的に使ってしまう問題です。
就業規則に違反するかどうかとは別の次元で、契約不履行に近い話になると自分では整理しています。リモートで目が届きにくくなったからこそ、この線引きだけは意識して守るようにしました。
もう一つ検討段階で考えたのが、副業の形をどうするかです。アルバイトのように雇用契約を伴う副業(いわゆるダブルワーク)にはしませんでした。理由は、労働基準法第38条第1項の解釈に関わります。厚生労働省の通達では、次のように整理されています。
労働基準法…第38条第1項において「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。」と規定され、「事業場を異にする場合」とは事業主を異にする場合をも含む
つまり、雇用契約を伴う副業だと、自社・副業先の双方が労働時間を通算して管理する義務を負うことになります。自分の場合、自社に加えて客先まで絡む常駐という働き方の中で、さらに三者目の管理を発生させるのは現実的ではないと感じました。
そこで選んだのは、業務委託・雑所得にあたる形の副業です。雇用関係がない分、この通算義務の対象からは外れるという理解です。
なお、通算ルールの見直しは国の研究会などで議論されていると報じられていますが、私がこの記事を書いている時点では現行のルールのままだと理解しています。実際に動くときは、厚生労働省の最新の案内を確認してください。
雇用型と非雇用型で、確認すべきポイントがどう変わるかを整理すると、次のようになります。
| 観点 | 雇用型副業(ダブルワーク) | 非雇用型副業(業務委託・雑所得) |
|---|---|---|
| 就業規則上の扱い | 届出・許可の対象になりやすい | 同様に届出対象とされることが多い |
| 労働時間の通算義務 | 労基法38条1項により対象になる | 雇用関係がないため対象外という整理 |
| 客先NDAとの相性 | 稼働時間が明確に分かれ、切り分けやすい | 作業時間が曖昧になりやすく、線引きを自分で管理する必要がある |
| 確定申告の目安 | 本業と合わせた申告が必要になる場合がある(税務署・自治体で確認) | 給与以外の所得の合計が20万円超で申告が必要になる |
どちらが優れているという話ではなく、常駐という立場だと「時間の切り分けを客観的に証明しにくい」という事情があるぶん、非雇用型のほうが自分には向いていると判断しました。
ただし、これは自分のケースでの判断であって、雇用型のほうが向いている人ももちろんいるはずです。
もし勤務時間中に副業をしていたら、どう扱われていたか
仮に、契約時間中に副業の作業をしているのが発覚した場合にどう扱われるかは、自分では試したことがないので分かりません。ただ、厚労省のガイドラインが示す4類型に照らせば、「労務提供上の支障がある場合」に該当する可能性が高く、就業規則上の懲戒の対象になり得ると考えるのが自然です。
加えて、常駐先の契約時間を別の目的に使っていたという事実は、自社と客先の信頼関係そのものを損なう話でもあります。就業規則の話にとどまらず、3か月ごとに来る次の契約更新に響く可能性もゼロではないはずです。
自分がそこまで踏み込まなかったのは、リスクを恐れたというより、そもそも契約時間中に副業をするという発想自体がなかったからですが、結果的にはそれでよかったと思っています。
処分の重さは、就業規則の懲戒規定と問題の程度で決まるはずです。私は自社の規程集で、副業の届出漏れにどんな処分が付くのかまでは確認できていません。「バレたらどうなるか」を知りたい人は、次の2点を先に読んでおくと判断材料になります。
- 自社の懲戒の条文(どの行為がどの処分に当たるか)
- 届出を出さずに始めた場合の扱い
残業が多い月は、副業の時間そのものが残らない
時間の壁も、やってみて分かった現実でした。今の現場は定時で終われる日が多いのですが、繁忙期は定時後も1〜2時間作業が続きます。
2社目のように月40〜60時間の残業があった現場なら、そもそも副業に回す時間と体力は残らなかったと思います。3か月で新規応募を止めたのも、この壁にぶつかったからでした。
副業を考えるなら、自分の現場の残業の多さと繁忙期の時期を先に把握しておくと、無理のない計画が立てられます。
待機期間中の副業は、私は試していない
読者の中には「待機になったら時間ができるから、その間に副業を」と考える人もいると思います。私には待機中に副業をした経験がないので、ここは確認すべき点だけ挙げます。
待機中は客先の拘束時間がない一方、自社との雇用関係は続いています。待機中の給料や休業手当の扱いは会社ごとに違うため、待機中に副業をしてよいか、収入が出た場合にどう扱われるかは自社の規程と営業・管理部門への確認が前提です。待機が明けて次の客先に入るときは、また客先の秘密保持誓約書の確認が必要になります。
副業が伝わる仕組みと、確定申告で意識した金額
副業をしていることが本業の会社に伝わる経路として一般的に説明されているのが、住民税の仕組みです。東京都主税局の説明では、「特別徴収」は事業主が給与から天引きして納める方式で、年4回の納付書で本人が納める「普通徴収」と対比されています。複数の勤務先から給与を受けている場合は、主たる給与の勤務先で特別徴収するとされています(出典: 住民税の特別徴収について|東京都主税局)。
違いを並べると、次のようになります。
| 項目 | 特別徴収 | 普通徴収 |
|---|---|---|
| 納め方 | 事業主が給与から天引きして納める | 年4回の納付書で本人が納める |
| 複数の勤務先がある場合 | 主たる給与の勤務先で特別徴収 | 自治体により選べるかが異なると言われる |
この仕組みのため、副業の所得が加わると、本業の給与から見込まれる額と住民税額が食い違い、経理担当者が気づくことがあると一般に言われています。迷ったら自治体の窓口に確認するのが確実で、特に次の2点は自治体ごとに扱いが違う可能性があります。
- 申告時に納付方法(普通徴収など)を選べるかどうか
- 所得税の申告が不要な20万円以下でも、住民税の申告が必要になるかどうか
私自身はこの経路が実際に起きるのを確かめたわけではなく、住民税の申告の要否も、役所に確認する宿題として残しています。「バレるか」を気にするなら、隠す方法を探すより、会社に届け出たうえで制度どおりに処理するほうが筋が通ります。
自分が実務として意識したのは、確定申告が必要になる金額の目安でした。
給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える人は、確定申告が必要とされています(出典: No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(国税庁))。
実際にクラウドソーシングサイトでSEOライティング系の案件をいくつか受けてみたところ、結果は次のとおりでした。
20万円という基準からは大きく下回っていたため、この副業単体で確定申告が必要になる状況ではありませんでした。金額は正直、拍子抜けするほど小さなものです。ただ、自社の就業規則を確認し、客先の意向を営業経由で確認し、届出を出し、実際に案件を探して受注する、という一連の手順を踏んだこと自体には意味があったと感じています。
3か月続けたところで本業の繁忙期と重なって時間が取れなくなり、いったん新規の応募は止めています。辞めたつもりはなく、保留にしている、というのが正直な現状です。
副業の延長で、いっそ独立したらどうなるかを試算したこともあります。
副業をいきなり始めるのが不安なら、まず外の案件の相場を見るだけでも構いません。フリーランス向けの案件紹介サービス(クラウドワークス テック
など)では、業務委託の案件がどんな条件で出ているかを見られます。ただし、実際に受けるかどうかは、自社の就業規則と客先との契約を確認してからにします。
参画前の面談で確認しておけばよかったこと
今回は今の現場に参画したあとで副業を考え始めましたが、次に現場が変わるときは、面談の段階で確認しておきたいと思っていることがあります。
面談の段階で確かめたいこと
- 常駐先の秘密保持誓約書は、どのタイミングで、どんな内容にサインすることになるか
- 自社の副業に関する届出は、契約更新のたびに出し直す必要があるのか
- 副業の可否について、過去に自社が客先に確認した実例があるか
契約更新は3か月ごとに来ますが、その都度、副業の状況を報告し直す必要があるのかどうかも、実は自分は確認していません。今のところ何も言われていませんが、次の更新のタイミングで一度、営業に聞いておこうと思っています。
面談の場で制度の有無だけを聞いても実態は分からない、というのは以前リモート可否を確認したときにも感じたことで、副業についても同じことが言えそうです。
まとめ ― 客先常駐の副業は、確認する順番が結果を左右する
通勤がない分の時間の使い道として始めた副業は、報酬としては数千円単位のごく小さなものに終わりました。それでも、客先常駐で副業を考える人にとって参考になる部分はあると思っています。
自社の就業規則さえ確認すれば済むという思い込みは、SESという働き方では通用しません。客先との準委任契約・NDAという、もう一段の壁が控えているからです。自分の場合、営業に相談してから回答が来るまで1週間かかりましたが、この確認を飛ばして届出だけ出していたら、後になって「常駐先の業務と無関係と言い切れるのか」を問われたときに答えに詰まっていたはずです。
- 自社の就業規則を見る届出制か許可制かを確認します。
- 禁止事由に当たらないか点検する業務支障・秘密漏洩・競業・信用毀損に該当しそうな内容でないかを、自分なりに確かめます。
- 客先の秘密保持への影響を確認する客先の秘密保持に関わる可能性がゼロではないと感じたら、自社の営業や管理部門を通じて確認を挟みます。
この順番を守れば、少なくとも「知らないうちに契約違反に近いことをしていた」という事態は避けられます。フル在宅に近い働き方は、副業を始めるきっかけを与えてくれる一方で、契約時間中の作業と副業の境界を自分で管理する責任も同時に負わせてきます。
バレるかどうかを心配する前に、そもそも越えてはいけない線がどこにあるのかを、自社と客先の両方に確認しておくこと。それが、客先常駐というちょっとややこしい立場で副業を考えるときの、一番現実的な出発点だと思います。




