上司から見積もり単価を聞かされたとき、自分の会社が三次請けだということも同時に知りました。元請け、その下に一社、そして自社という並びを聞いて、真っ先に頭をよぎったのが「これは二重派遣というやつではないか」という疑いです。

SESエンジニアとして5年ほど、二次請け・三次請けの現場を渡り歩いてきましたが、この疑いを自分できちんと確かめたことはありませんでした。

今回は、職業安定法が定める二重派遣の要件を確認したうえで、自分の三次請け案件がどこに当てはまり、どこには当てはまらないと考えられるかを検証します。

この記事で分かること

  • 職業安定法が禁止している「労働者供給」と、二重派遣という言葉の関係
  • 三次請けという商流の深さ自体は、なぜそれだけで違法にならないのか
  • 自分の案件(単価60万円・指示元が元請け)を要件に照らして検証した結果
  • 二重派遣と偽装請負、それぞれどの論点で確認すべきかの整理
  • 契約書を見られない立場でも、確認・記録できること
目次
  1. SESの二重派遣とは何か、まず職業安定法の定義を確認します
  2. 労働者供給の禁止と、二重派遣という言葉の位置づけ
  3. 中間搾取の禁止(労基法6条)とは論点が別です
  4. 罰則は誰に科されるのか
  5. 二重派遣と多重下請けは何が違うのか
  6. 契約の連鎖と労働者供給の連鎖は別物です
  7. 偽装請負との論点の違い
  8. 労働者供給と判定された場合、現場にいる自分に何が起きるか
  9. 自分の三次請け案件を、この物差しに当ててみます
  10. 商流を書き出してみると
  11. 要件1: 雇用主がどこかはっきりしているか
  12. 要件2: 指揮命令は契約上の相手と一致しているか
  13. 要件3: 供給契約と呼べる取り決めがあるかは、見えません
  14. 二重派遣に該当しない適法なケースとの比較
  15. 単価と月収の差は、それ自体が違法性の証拠になるのか
  16. 二重派遣を疑ったときに、現場のメンバーができること
  17. まとめ

SESの二重派遣とは何か、まず職業安定法の定義を確認します

結論二重派遣は条文にある言葉ではなく、職業安定法が禁止する「労働者供給」の中でよく見られる形の通称です。

先に、この記事の射程を決めておきます。以前、指揮命令の実態を扱った記事で書いたのは、37号告示という基準に基づいて「指示が誰から来ているか、その中身は何か」という実態を判定する話でした。

関連記事SESの偽装請負と指揮命令の境界線|3つの現場の指示で検証SESの客先常駐で偽装請負を疑う指示を何度も受けてきました。厚労省の疑義応答集が示す指揮命令の判断基準に、3つの現場で受けた指示…

今回はその手前にある、もう一つの論点を扱います。そもそも誰が誰に労働者を供給する契約になっているのか、という契約主体の連鎖です。同じ多重下請けの構造を、指揮命令とは別の切り口から見ていきます。

二重派遣という言葉自体は、条文に出てくるわけではありません。職業安定法が禁止しているのは、あくまで「労働者供給」という行為です。二重派遣は、その労働者供給の中でもよく見られる形の通称だと理解しておくのが正確だと思います。

労働者供給の禁止と、二重派遣という言葉の位置づけ

労働者供給がどう定義されているかは、職業安定法第4条第8項にあります。

「労働者供給」とは、供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させることをいい、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第二条第一号に規定する労働者派遣に該当するものを含まないものとする

職業安定法 第4条第8項(条文)|出典: 職業安定法|e-Gov法令検索

読み下すと、「ある契約に基づいて、労働者を自分ではない誰かの指揮命令の下で働かせること」が労働者供給にあたり、ただし適法な労働者派遣にあたるものは除く、という構成です。

そして第44条が、この労働者供給を行うことと、労働者供給によって供給された労働者を自分の指揮命令下で働かせることの両方を禁止しています。

何人も、次条に規定する場合を除くほか、労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない

職業安定法 第44条(条文)|出典: 職業安定法 第44条|労働新聞社

一般に二重派遣と呼ばれているのは、労働者の雇用主から労働者派遣を受けた会社が、その労働者をさらに別の会社に回し、その別の会社が指揮命令をする、という形です。労働者を受け入れた会社は、あくまで派遣先であって雇用主でも許可を持つ派遣元でもないので、その先へ労働者を回す行為が労働者供給にあたる、という理屈になります。私が検索した限り、上位に出てくる解説記事もおおむねこの説明で一致していました。

具体的にイメージすると分かりやすくなります。仮にA社の社員がB社に派遣され、B社がその社員を自社の業務に使わず、さらにC社の現場へ送り込んで、C社の担当者が日々の指示を出す。この場合、B社とC社の間に何らかの取り決めがあれば、それがまさに供給契約にあたり得ます。

B社が労働者派遣の許可を持っていたとしても、その許可は自社の社員を派遣するためのものであって、他社の社員を又貸しする権限までは含んでいません。

中間搾取の禁止(労基法6条)とは論点が別です

労働者供給と混同されやすい規定に、労働基準法第6条があります。

何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない

労働基準法 第6条(条文)|出典: 労働基準法|e-Gov法令検索

条文だけを見ると、他人の就業に介入して利益を得るという部分が、多重下請けでマージンを何段も重ねて取っている構造そのものに見えなくもありません。ただ、法律に基づいて許される紹介・あっせん・請負の仕組みを通じた取引は、この条文がそのまま適用される場面とは違うと整理されています。

単価と給与の差、つまりどれだけマージンが積み上がっているかという話は、単価と月収の差を書いた記事で扱った内容に近く、この記事ではこれ以上深入りしません。

関連記事SESの単価490万円で手取りはいくら?額面月収30万・手取り23万の内訳SESの2社目で聞いていた年間単価490万円(更新後530万円)に対し、額面月収は平均30万円、手取りは約23万円。単価と月収の…

あくまで、労働者供給の禁止(職安法44条)と中間搾取の排除(労基法6条)は、似ているようで別の条文・別の論点だという点だけ押さえておきます。

罰則は誰に科されるのか

罰則についても確認しておきます。職業安定法第64条により、違反した場合は1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金が科されるとされています。

号数は確認しきれていません

号数までは情報源によって表記が割れていたため、ここでは範囲にとどめておきます。

条文の書きぶりを見ると、規制の対象は「事業を行う」側と「指揮命令下に働かせる」側です。労働者供給事業を行った会社、そして供給された労働者を受け入れて働かせた会社の双方が対象になり得る、という整理になります。

供給された側の労働者本人が、この条文によって処罰される立場ではない、という読み方になるはずです。この点は、自分の状況を心配している人にとって、まず押さえておきたいところだと思います。

二重派遣と多重下請けは何が違うのか

結論商流の段数が多いこと自体は、二重派遣ではありません。分かれ目は、指揮命令が誰から誰へ、どんな契約に基づいて届いているかです。

ここが一番混同されやすいところです。三次請けという商流の深さそのものは、二重派遣の話とは直接関係ありません。

商流が何次請けかという話も、単価と月収の差の話も、どちらも「業務を再委託する契約が何段重なっているか」という話です。準委任契約や請負契約という形で、業務の範囲や成果物を次の会社に委託していく連鎖は、それ自体は適法な多重下請けです。

段数が多いほど中抜きの回数が増え、手元に残る額面が薄くなるという問題はありますが、これは違法性の話ではなく、マージン率の開示義務がSESにはないという別の論点で扱うべき話だと考えています。

契約の連鎖と労働者供給の連鎖は別物です

多重下請けと二重派遣を分けているのは、各社が自社の社員をどう扱っているかという一点です。準委任・請負の連鎖で、各社がそれぞれ自社の社員を雇用し続け、建前としては自社の管理下に置いたまま次の会社の現場へ送り出しているなら、それは業務の再委託であって、労働者供給とは性質が違います。

労働者供給に近づくのは、労働者本人が自分の雇用主でも契約の直接の相手でもない会社の指揮命令下に置かれ、しかもそれが何らかの契約や取り決めに基づいている場合です。つまり、商流を何社挟んでいるかという横の広がりと、指揮命令が誰から誰へ届いているかという縦の関係は、別の軸として見る必要があります。

三次請けであることだけを理由に「自分は二重派遣の被害者だ」と考えるのは、正確ではないというのが、条文を読んだうえでの私の理解です。

元請けから連絡を受けること自体は問題ではありません

二次請けや元請けの担当者から何かしら説明や連絡を受けること自体が、即座に労働者供給を意味するわけではありません。成果物の仕様に関するやり取りや、進捗確認の連絡は、業務委託契約の履行に必要な範囲であれば通常の業務連絡です。問題になり得るのは、その関わり方が日々の作業配分・指揮命令にまで及び、しかも自社を介さない形で常態化している場合だと考えています。

試しに、自分の商流を少し変形させて、二次請けの実態ごとに考えてみます。

二次請けの実態二次請けと自社の間にあるもの
実務上ほとんど機能しておらず、自社の社員である私を名義だけ通して元請けの現場に押し込んでいるだけ「業務を委託する契約」ではなく「人を融通する取り決め」に近いものがあると疑う余地が出てくる
仕様のすり合わせや要員の調整といった役割を実際に果たしている指示の一部が元請けから直接届いていても、それだけで供給契約があるとは言えない

商流図を描くときに見るべきなのは、箱の数ではなく、それぞれの箱が実際に何をしているかだと、この記事を書きながら気づきました。

偽装請負との論点の違い

指揮命令の実態そのもの、つまり客先や元請けから受けた指示が業務指導なのか作業指示なのかという判定は、37号告示に基づく偽装請負の論点です。この記事ではそこには深入りせず、指揮命令を扱った記事に譲ります。今回扱うのは、その指揮命令が「誰と誰の間の、どういう契約に基づいて」発生しているのか、という一段手前の話です。

偽装請負の判定は当事者が2社(自社と客先、あるいは自社と元請け)の場合でも成立しますが、二重派遣・労働者供給の話は、間に少なくとも3社が関わる構造を前提にしています。この違いを意識しておくと、自分の状況がどちらの論点に近いのかを整理しやすくなります。

労働者供給と判定された場合、現場にいる自分に何が起きるか

ここでもう一つ、調べていて気になったことがあります。仮に自分の現場が労働者供給にあたると判断された場合、現場で働いている自分自身に何が起きるのか、という点です。

条文を読む限り、処分の対象になるのは労働者供給事業を行った会社と、供給された労働者を受け入れて働かせた会社です。労働者本人が処罰されるわけではないことは、先ほど書いたとおりです。

ただし、実務上の影響がまったくないとは思えません。違法な労働者供給と判断されれば、その契約自体を解消するか、組み直す必要が出てくるはずです。

契約終了で現場が変わってきた経験をこれまで何度も書いてきましたが、契約が終わる理由が業績なのか契約更新なのか、それとも法令違反の是正なのかが違うだけで、現場のメンバーから見える形はよく似ています。

急に契約が終わり、次の現場を探すことになる、という点では変わりません。

つまり、労働者供給の是正は労働者を守るための制度のはずなのに、実際に現場にいる本人からすると、契約終了による異動と同じような形で影響が及ぶ可能性があります。

この点は、検索した範囲の解説記事ではあまり触れられていませんでしたが、現場のメンバーとしては知っておいた方がいい視点だと思っています。

自分の三次請け案件を、この物差しに当ててみます

ここからは、実際に自分が経験した三次請け案件を、ここまで確認してきた要件に照らして検証します。繰り返しになりますが、これは判定ではなく、自分の記憶と知っている事実を整理する作業です。

契約書を見られる立場ではないので、確定できないところは確定できないとはっきり書きます。

商流を書き出してみると

以前、納期が一方的に決まっていた件で書いたとおり、この案件での自社の位置は、客先から見て元請け、その下に中間の一社を挟んだ三次請けでした。並べると、客先(発注者)、元請け、二次請け、自社、そして私、という五段の並びです。

発注者、元請け、二次請け、自社、私の五段の並び。会社どうしは隣り合う相手と業務委託の契約でつながり、自社と私は雇用契約でつながる

契約でつながっているのは、隣り合う相手だけです。

元請けから請求される単価60万円/月
私の月収(額面)30万円/月

この数字は、単価と月収の差を書いた記事のとおりです。

単価を知ったのも、上司から一度聞かされただけで、会社間の契約書そのものを見たことは一度もありません。

私の場合

単価を聞かされた当時は「二重派遣ではないか」と思っただけで、それ以上調べることはしませんでした。職業安定法の条文を実際に読んだのは、この記事を書くために調べ直した今回が初めてです。

何年も気になりながら放置していた疑問を、ようやく物差しに照らせたという感覚に近いです。

要件1: 雇用主がどこかはっきりしているか

給与を払っているのは自社です。雇用契約も自社との間にあります。この点はぶれておらず、毎月の給与明細も自社の名前で発行されていました。

二重派遣の典型的な被害イメージとしてよく語られるのは、労働者本人が「自分は結局どこの会社の人間なのか」が分からなくなるような状態です。自分のケースは、少なくともこの点では当てはまりません。

雇用主が誰かという一番の土台は、最後まではっきりしていました。

要件2: 指揮命令は契約上の相手と一致しているか

ここが、自分の中で一番引っかかった点です。指揮命令を扱った記事にも書きましたが、この現場の朝会では、自社のリーダーを介さず、間に立つ元請けの担当者が各自の名前を呼んで、その日の工数と締め切りを直接割り振ることがありました。

自社が契約を結んでいる直接の相手は、商流の並びからすると二次請けのはずです。ところが、日々の指示は二次請けを飛び越えて、さらに上の元請けから届いていました。

契約上の直接の相手と、実際に指示を出している相手が一致していなかったというのが、振り返って気づいた事実です。

この飛び越えの構造は、労働者供給の定義にある「他人の指揮命令を受けて労働に従事させる」という部分に、まったく触れる余地がないとは言い切れないと感じています。

私の三次請けの現場

  1. 客先(発注者)案件を発注する側
  2. 元請け朝会で私に直接、その日の工数と締め切りを割り振る
  3. 二次請け自社が契約を結んでいる直接の相手
  4. 自社(三次請け)=私雇用主。給与明細も自社の名前で発行
契約上の直接の相手は二次請けですが、日々の指示は二次請けを飛び越えて元請けから届いていました。

要件3: 供給契約と呼べる取り決めがあるかは、見えません

条文の要件には、「供給契約に基づいて」という一節があります。ここが、自分の立場では一番確認しようがない部分です。

自社が二次請けとどういう契約を結んでいるのか、準委任なのか請負なのか、あるいは実質的に労働者派遣に近い取り決めが交わされているのか、私が確認する手段はありません。

SESの客先常駐で一般的に使われているのは準委任契約が中心だとされているので、恐らくそうした業務委託の形を取っていると考えていますが、これはあくまで推測です。

以前何次請けか調べる記事で書いたとおり、契約の中身を客先や元請けに直接尋ねるのは避けた方がいい、という学びが自分の中にあったので、今回も誰かに聞いて確かめるという選択肢は取りませんでした。

3つの要件を並べると、雇用主がはっきりしているという点では典型的な二重派遣の被害イメージとは違う一方、指揮命令が契約上の相手を飛び越えて届いていたという点は、条文の要件に触れる可能性を完全には否定できません。

ただし、その指示が「供給契約」と呼べる何らかの取り決めに基づくものなのかどうかは、契約書を見られない自分の立場では判定できない、というのが正直な結論です。

二重派遣に該当しない適法なケースとの比較

ここまでの整理を、表にまとめておきます。あくまで一般的な傾向としての整理で、個別の契約の適法性を判定するものではありません。

観点多重下請け(適法な業務委託の連鎖)二重派遣(違法な労働者供給)
雇用主各社が自社の社員として雇用し続ける雇用主が誰か曖昧になりやすい
指揮命令建前上、各社が自社の社員を自社の管理下に置く契約関係のない会社が直接指揮命令する
契約の性質業務の範囲・成果物を再委託する契約労働者そのものを他社の指揮命令下に置く契約
何次請けとの関係商流の段数が多いこと自体は違法性と無関係段数ではなく、指揮命令と供給契約の有無で決まる
よくある問題中抜きの多さ、単価と給与の差(合法)職業安定法44条違反(違法)

私が経験した案件は、雇用主・指揮命令・契約の性質という3つの観点のうち、雇用主については左側(適法な多重下請け)に近く、指揮命令については左右のどちらとも言い切れない中間的な形をしていた、というのが今回の検証結果です。

単価と月収の差は、それ自体が違法性の証拠になるのか

結論差額が大きいことと、違法であることは別の話です。この差額の大きさだけで、労働者供給かどうかは判定できません。

検証を進めながら、もう一つ気になったことがありました。単価60万円に対して月収が額面30万円という、ちょうど半分になる差額そのものが、何か違法性の証拠になるのではないかという疑問です。

結論から言うと、この差額の大きさだけを根拠に、労働者供給かどうかを判定することはできないというのが、条文を読んだ上での理解です。職業安定法44条が禁止しているのは「労働者供給」という行為であって、中抜きの割合の大小ではありません。

ケース判断
マージンが薄くても、指揮命令が契約相手を飛び越えている労働者供給に触れ得る
マージンが厚くても、各社が自社の社員として雇用し続け、指揮命令も契約の連鎖どおりに届いている適法な多重下請け

私の場合

とはいえ、実感としてこの整理に納得しきれない部分も残ります。元請けから二次請け、二次請けから自社へと契約が渡るたびに、それぞれの会社が何らかの業務(仕様調整、要員管理、請求書の取りまとめなど)を担っているなら、マージンにはその分の対価という説明がつきます。

ただ、私には二次請けと自社がそれぞれいくら取っているのかを知る手段がありません。合計で単価の半分が中抜きされているという事実は分かっていても、その内訳がどちらの会社にどれだけ配分され、その配分にどんな業務の対価が含まれているのかまでは、契約書を見られない立場では確認できません。

私の理解では、単価と月収の差は「労働者供給かどうか」を直接判定する材料ではなく、「多重下請けの中抜きがどれだけ重なっているか」という、単価と月収の差を書いた記事で扱った別の論点の材料です。ただし、その中抜きの大きさに見合うだけの実質的な業務をその会社が担っているのかどうかは、また別に検証してみる価値があるように思います。

少なくとも今回、二重派遣という切り口で条文を読み直したことで、差額が大きいことと違法であることは別の話だという当たり前の整理を、自分の中でようやく言葉にできました。

二重派遣を疑ったときに、現場のメンバーができること

判定できない以上、現場のメンバーにできることは限られています。それでも、まったく手も足も出ないわけではないと考えています。

二重派遣を疑ったときの4つの動き方

  • 指示の出所を記録する 誰から、いつ、どういう内容の指示を受けたかを簡単にメモしておく。指揮命令のチェックリストと合わせて使うと、指揮命令の実態と契約の連鎖の両面から状況を整理できます
  • 自分の雇用主が変わっていないかを確認する 給与明細や雇用契約書の発行元が、参画当初から変わっていないかを見る。ここが揺らいでいる場合は、より注意して状況を見る必要があります
  • 契約形態を自社の営業や人事に聞いてみる 答えが返ってくるとは限りませんが、聞くこと自体にリスクはありません。準委任か請負か、派遣契約が含まれているかは、自分では判定できない部分です
  • 労働局の需給調整事業に関する窓口に相談する 都道府県労働局には、労働者派遣・職業紹介・労働者供給に関する相談窓口があります。判定を求めるのではなく、状況を話して助言をもらうところから始められます

なお、違法な労働者派遣・労働者供給を受け入れていた場合に、受け入れた側が労働者に直接雇用を申し込んだものとみなす労働契約申込みみなし制度という仕組みもあります。

この制度の要件や、多重下請けの中では申込みの主体が最終的な発注者と一致しないことがある、という点は、指揮命令を扱った記事で詳しく書きました。この記事では重複を避けるため、制度があるということだけ触れておきます。

まとめ

二重派遣に該当するかどうかは、三次請けという商流の深さそのものでは決まりません。私の案件を検証した結果と、同じ違和感を抱いたときの動き方を、要点だけ並べます。

  • 分かれ目は商流の深さではなく契約主体の連鎖 誰が誰に労働者を供給する契約になっているのか、そして実際の指揮命令がその契約の相手と一致しているのかで決まります
  • 私の案件の検証結果 雇用主がはっきりしているという点では典型的な二重派遣の被害イメージとは異なる一方、指揮命令が契約上の直接の相手を飛び越えて元請けから届いていた点は、条文の要件に触れる可能性を完全には否定できません。供給契約と呼べる取り決めがあるかどうかは、契約書を見られない立場では確認できず、最終的な判定はできません
  • 同じ違和感を抱いたときの動き方 まず自分の雇用主が誰かを確認し、次に指示がどこから来ているかを記録し、それでも不安が残るなら労働局の窓口に話してみることを勧めます

商流の段数に驚くことと、それが違法かどうかを判断することは、別の作業だと知っておくだけでも、状況の見え方はだいぶ変わるはずです。私自身、何年も抱えていた疑問をようやく自分の言葉で整理できました。

同じ立場の誰かにとって、この検証の手順そのものが判断材料になれば十分だと思っています。