同じ現場に2年を過ぎたころ、「派遣は3年で出されるらしい」という話を耳にして、自分もいつか出されるのかと不安になったことがあります。
SESエンジニアとして5年ほど、4社の客先常駐を経験してきましたが、3年という数字は現場で本当によく一人歩きします。
今回は、SESに3年ルールがあるのかどうかを、派遣の抵触日との違いを整理しながら、営業に確認した実体験を交えてお伝えします。
この記事で分かること
- 準委任のSESに、派遣の3年ルールが適用されない理由
- 派遣の期間制限(事業所単位・個人単位)、抵触日、無期転換の5年ルールの違い
- 派遣契約で常駐している場合と、SES企業の正社員(無期雇用)の場合で何が変わるか
- 現場で聞く「3年で入れ替え」が、法律ではなく運用の話である理由
- 同じ現場に3年以上いる場合の注意点と、状況別のチェックリスト
目次
- SESに3年ルールはある?準委任の客先常駐には適用されません
- 派遣の「3年ルール」とは?事業所単位・個人単位・抵触日
- 事業所単位の期間制限
- 個人単位の期間制限
- 抵触日とは何か
- 期間制限が適用されない例外
- 準委任のSESが3年ルールの対象にならない理由
- 「指揮命令するかどうか」が分かれ目です
- 契約書が準委任でも、実態が派遣なら話が変わります
- 3年いても、客先の社員になるわけではありません
- 派遣の例外とSES企業の正社員(無期雇用)の関係
- 無期雇用なら、派遣で出ていても期間制限の例外です
- 自分が無期か有期かは、労働条件通知書で確認できます
- 無期転換の「5年ルール」とは別の話です
- 3つのルールを同じ軸で並べます
- 現場が変わっても、5年のカウントは雇用主ごとです
- 派遣契約で常駐している場合は、抵触日が来ます
- 自分が派遣契約かどうかの見分け方
- 抵触日が近づくと、現場で何が起きるか
- 現場で聞く「3年で入れ替え」は、法律ではなく運用の話です
- 私は、3年を超えた現場がまだありません
- 「3年」が運用として出てくる3つの理由
- 同じ現場に長くいる場合の注意点
- 指揮命令が混ざりやすくなる
- 上限がないことは、保証があることではありません
- 知識と立場が、その現場に偏っていく
- 私がいた現場の場合:2年1か月で営業に確認した話
- 昼休みに聞いた「抵触日」
- 営業に確認して分かったこと
- 5年以上いる方にも聞いてみました
- 結果として、3年には届きませんでした
- 「法的にいられるか」と「長くいて得か」は別の話です
- 2つの問いを並べて比べる
- 私の判断軸:担当範囲が動いているか
- 営業に確認するときの聞き方:法律の話だけで終わらせない
- まとめ:状況別チェックリストと私の結論
SESに3年ルールはある?準委任の客先常駐には適用されません
最初に結論を示し、そのあとで「当てはまらなくなる場合」を確認します。
結論契約が準委任として運用されているSESには、派遣の3年ルールは適用されません。3年という期間制限は労働者派遣のルールで、準委任は労働者派遣ではないからです。
「SES 3年ルール」と検索する人が知りたいことは、たいてい二つだと思います。同じ現場に3年以上いられるのか、そして、3年で現場を出されるのか、です。
前者は、法律上の上限はありません。後者は、3年という数字を理由に出される仕組みはありませんが、3年を待たずに終わることも、3年を超えて続くこともあります。決めているのは会社同士の契約更新です。
ただし、この結論には前提があります。当てはまらなくなるのは、次の2つの場合です。
- 契約そのものが労働者派遣の場合 派遣契約で客先に出ているなら、期間制限と抵触日が存在します
- 契約書は準委任でも、実態が派遣に近い場合 客先が個人に直接指揮命令をしている状態では、派遣のルールが論点になり得ます
この記事では、派遣の3年ルールの中身を確認し、準委任がなぜ対象外なのか、派遣契約だった場合に何が起きるのかを順に見ていきます。そのうえで、私が2年を過ぎた現場で営業に確認した話と、同じ現場に長くいるときの判断軸をまとめます。
派遣の「3年ルール」とは?事業所単位・個人単位・抵触日
まず、派遣の3年ルールそのものを確認します。ここを曖昧にしたままだと、SESとの違いも見えてこないからです。
事業所単位の期間制限
派遣先の事業所が派遣労働者を受け入れられる期間には、上限があります。
同一の事業所が労働者派遣を受け入れる期間(派遣可能期間)は、原則として3年が限度です
数えているのは「その事業所が派遣という形で人を受け入れ続けている期間」です。派遣される人が誰かではなく、受け入れる側の事業所に対する上限、という立て付けになっています。
3年を超えて受け入れたい場合の延長手続き(過半数労働組合などから意見を聞く手続き)は、契約更新の記事で触れたとおりです。ここでは深入りしません。
個人単位の期間制限
もう一つが、派遣される本人に対する上限です。
宮城労働局のページには、同一の派遣労働者の派遣を、派遣先の事業所の同一組織単位で受け入れできるのは3年が限度、と書かれています(出典: 派遣労働者の受け入れルールの具体的内容(派遣先)|宮城労働局)。
ここで数えるのは「同じ人を、同じ組織単位に」派遣し続けた期間です。組織単位は部署のような単位だと私は理解していますが、細かな区切り方までは確認できていません。
事業所単位は受け入れる側の上限、個人単位は働く本人の上限です。現場でよく耳にする「3年で出される」は、多くの場合この個人単位の話を指していると私は見ています。
抵触日とは何か
「抵触日」は、一般に、期間制限に抵触することになる最初の日のことだと説明されます。この日を過ぎて同じ形で受け入れを続けると、違法派遣の論点になります。
派遣で働く人は、この日を目安に契約の終わりや部署の移動が決まっていくようです。同じフロアの派遣の方が抵触日で別の部署へ移った話は、後ほど私の現場の例として書きます。
期間制限が適用されない例外
派遣の期間制限にはいくつかの例外があります。厚生労働省のQ&Aに載っている範囲を、要旨でまとめます。
期間制限の例外(要旨)
- 派遣元事業主に無期雇用される派遣労働者
- 60歳以上の派遣労働者
- 終期が明確な有期プロジェクト業務
- 日数限定業務(1か月の勤務日数が通常の労働者の半分以下かつ10日以下)
- 産前産後・育児・介護休業中の労働者の代替
出典は先ほどの厚生労働省Q&Aです。この中で、SESエンジニアに関係が深いのは一番上の「無期雇用」です。理由は、後で整理します。
なお、期間制限を超えて受け入れた場合などの違法派遣があったときは、派遣先が本人に直接雇用の申込みを行ったものとみなされる、とも書かれています(宮城労働局のページ)。この「みなし」は、SESの3年ルールを調べる人がよく誤解する部分でもあるので、このあとの節で扱います。
準委任のSESが3年ルールの対象にならない理由
ここからは、SESの準委任がなぜ派遣の期間制限と関係しないのかを、派遣と請負の違いから確認します。
結論期間制限は労働者派遣のルールで、客先が指揮命令をしない準委任は、労働者派遣にあたらないからです。
「指揮命令するかどうか」が分かれ目です
労働者派遣と請負・準委任を分けるのは、客先が働く人に指揮命令をするかどうかです。
長野労働局の説明では、請負は「注文主と労働者との間に指揮命令関係を生じないという点」が派遣と異なる、とされています(出典: 派遣と請負の関係|長野労働局)。準委任も、雇用主である自社が自社のメンバーを指揮命令する点は同じです。
派遣の期間制限は、派遣先が指揮命令をする関係に対して課されるルールです。指揮命令関係がない準委任は、そもそも派遣ではないので、この期間制限の対象にならない、という論理になります。
| 準委任(SESの客先常駐) | 労働者派遣 | |
|---|---|---|
| 指揮命令をする人 | 雇用主(自社)。客先は直接しない建前 | 派遣先 |
| 3年の期間制限 | 対象外(労働者派遣ではないため) | 事業所単位・個人単位ともにあり(例外あり) |
| 本人に届く書面 | 労働条件通知書 | 労働条件通知書に加え、就業条件明示書が届くのが一般的 |
| 超えたときの論点 | 派遣の期間制限としては生じない | 違法派遣、直接雇用の申込みみなし |
契約の種類そのものの違いは、準委任と請負・派遣の違いを扱った記事で整理しています。
確認できていないこと
「請負・準委任には期間制限がない」と、公的機関のページが直接そう書いている文言は、私は確認できていません。ここまで書いてきたのは、派遣の期間制限の説明と、指揮命令の有無で派遣と請負が分かれるという説明を組み合わせて導いた理解です。
ご自身の契約について確実に知りたい場合は、自社の営業や労働局の相談窓口に確認するのが確実です。
契約書が準委任でも、実態が派遣なら話が変わります
ただし、契約書の名前が準委任であっても、実態で判断されるのが偽装請負の考え方です。
長野労働局のページでは、偽装請負を「書類上、形式的には請負(委託)契約ですが、注文主と労働者との間に指揮命令関係が生じており、実態としては労働者派遣であるもの」と説明しています。
客先から作業の順序まで直接指示される状態が続いているなら、「準委任だから3年ルールは関係ない」と言い切れなくなる可能性があります。指揮命令の境界線と、みなし制度の仕組みは、偽装請負の記事で厚生労働省の疑義応答集まで確認しました。
3年いても、客先の社員になるわけではありません
宮城労働局のページにある「直接雇用の申込みとみなされる」という記述は、期間制限を超えるなどの違法派遣があったときの話です。
準委任のSESで3年いたからといって、客先が自動的に雇用の申込みをしたことになる、という話ではありません。そもそも客先と私の間には雇用関係がなく、期間の数字で何かが切り替わる仕組みもないからです。
現場に長くいて客先に移る人は実際にいますが、それは本人と客先が普通の採用として話をまとめたケースです。私の同期のその後は、客先への転籍・転職の実態を扱った記事に書きました。
派遣の例外とSES企業の正社員(無期雇用)の関係
3年ルールの例外に「無期雇用の派遣労働者」があることは、すでに書きました。SES企業の正社員の多くは、この条件に当たります。
無期雇用なら、派遣で出ていても期間制限の例外です
厚生労働省のQ&Aには、期間制限の例外として「派遣元事業主に無期雇用される派遣労働者」が挙げられています。
SES企業の正社員は、雇用契約に期間の定めがない、つまり無期雇用であることが多いはずです。そうであれば、仮に派遣契約で客先に出ていたとしても、派遣の期間制限の例外に当たります。
整理すると、「準委任だから対象外」と「派遣でも無期雇用だから例外」という、2つの別々の理由で、SES企業の正社員は派遣の3年ルールの外にいる、ということになります。
私の雇用は無期で、これまで有期契約を更新してきた経験はありません。そのため、3年を超えても期間制限で出される、という発想自体が当てはまりません。
自分が無期か有期かは、労働条件通知書で確認できます
自分の雇用契約が無期なのか有期なのかは、入社時に受け取る労働条件通知書の「契約期間」の欄で確認できます。正社員という呼び名だけでは、無期かどうかは分かりません。
契約社員として雇用されている場合は、有期のことがあります。その場合は次の節で扱う無期転換の話が関係してきます。
自分の雇用が無期かどうかの確かめ方
- 労働条件通知書の「契約期間」の欄に、期間の定めがあるか
- 期間の定めがある場合、更新の有無と回数の上限が書かれているか
- 通知書の発行元が、自分の雇用主(SES企業)になっているか
- 「派遣」という言葉や、就業条件明示書が手元に届いていないか
契約書類の見方は、個別契約書の記事で、労働条件通知書と就業条件明示書の違いまで整理しました。
無期転換の「5年ルール」とは別の話です
3年ルールと混同されやすいのが、無期転換ルールの「5年」です。数字が似ていても、数えているものがまったく違います。
3つのルールを同じ軸で並べます
埼玉労働局のページには、無期転換ルールが次のように書かれています。「同一の使用者との間で、有期労働契約が通算で5年を超えて繰り返し更新された場合に、労働者の申込みにより、無期労働契約に転換します。」(出典: 無期転換ルールと特例について|埼玉労働局)
数えているのは、現場ではなく、自分と雇用主との有期の雇用契約です。派遣の2つの期間制限と並べると、違いがはっきりします。
| 事業所単位の期間制限 | 個人単位の期間制限 | 無期転換ルール(5年) | |
|---|---|---|---|
| 何のルールか | 派遣の受け入れに関するルール | 派遣の受け入れに関するルール | 有期の雇用契約に関するルール |
| 数えるもの | 事業所が派遣を受け入れる期間 | 同一の派遣労働者を同一の組織単位に派遣する期間 | 同一の使用者との有期労働契約の通算期間 |
| 上限 | 原則3年 | 3年 | 通算5年を超えて更新された場合 |
| 超えたとき | 違法派遣になり、直接雇用の申込みみなしの対象 | 同左 | 本人の申込みにより無期労働契約に転換 |
| 準委任で出ている無期雇用のSES社員 | 対象外 | 対象外 | すでに無期なので関係なし |
| 準委任で出ている有期雇用のSES社員 | 対象外 | 対象外 | 対象になり得る |
似た年数でも、数える対象が違います
この表の読み方
表は2つの資料をまとめたものです。派遣の期間制限と「みなし」の記述は宮城労働局のページ、無期転換は埼玉労働局のページに基づいています。
無期転換の細かな要件や特例は、ここでは取り上げていません。有期で働いている方は、労働局の案内を直接確認してください。
現場が変わっても、5年のカウントは雇用主ごとです
有期雇用のSESエンジニアが何度も現場を変わると、3年ルールの感覚で「現場が変わるたびにリセットされる」と考えてしまいがちです。
しかし無期転換のカウントは、現場ではなく同一の使用者との雇用契約で数えます。現場が3つ変わっても、雇用主が同じで有期契約の更新が続いているなら、通算は積み上がっていく、という読み方になります。
私は無期なのでこの話は当てはまりませんが、有期で働く人にとっては、現場の長さより雇用主との契約の年数のほうが意味を持つ場面があります。
派遣契約で常駐している場合は、抵触日が来ます
ここまでは、準委任で出ているSESの話でした。契約が実際に派遣である場合は、抵触日が存在します。
結論派遣契約で常駐していて、かつ有期雇用なら、抵触日の対象になります。ただし無期雇用の派遣労働者など、期間制限の例外もあります。
自分が派遣契約かどうかの見分け方
SESと派遣は、客先に常駐するという外見が同じなので、見分けにくくなります。私が手がかりにしているのは、手元に届く書面です。
準委任なら、手元に届くのは労働条件通知書です。派遣なら、これに加えて就業条件明示書が届くのが一般的で、派遣先や就業内容などが書かれます。私は入社以来、就業条件明示書を受け取ったことが一度もありません。
「準委任のはずなのに就業条件明示書が届いた」「自社の担当から『抵触日』という言葉が出た」という場合は、契約の形を確認するきっかけになります。違法と決めつける話ではなく、まずは自社の営業や人事に聞いてみる材料です。
抵触日が近づくと、現場で何が起きるか
私は派遣で働いたことがなく、同じフロアの派遣の方を見て知った範囲の話です。抵触日が近づくと、現場では次のような動きになるようです。
- 同じ組織単位での派遣が終わり、別の部署に移る
- 派遣元が別の人を送り込んで交代する
- 契約そのものを終了する
どれになるかは、派遣元と派遣先、そして本人の雇用の形(有期か無期か)で変わります。派遣で働いている方は、手元の就業条件明示書と、派遣元の担当への確認が一番確実です。
現場で聞く「3年で入れ替え」は、法律ではなく運用の話です
「3年で入れ替え」という言葉は、法律のルールとは別の次元で現場に存在します。
準委任のSESには3年の上限がないのに、3年前後で現場を離れる人が多いのはなぜか。私の経験と、営業から聞いた範囲で整理します。
私は、3年を超えた現場がまだありません
先に、私自身の限界を書いておきます。私が在籍した現場は、1社目が約4か月、2社目が約1年半、3社目が約2年半、今いる4社目が約10か月です。3年に届いた現場は一つもありません。
これまでに契約が終わった現場は、いずれもプロジェクトの区切りでした。3年という数字が理由で終わった経験は一度もありません。
3年を超えて同じ現場にいる人は、周りには何人もいました。その人たちの話は、自分の経験ではなく見聞きしたものとして扱います。
「3年」が運用として出てくる3つの理由
3年前後で入れ替えの話が出る背景について、私が聞いた範囲と、自分が現場で見た範囲を整理します。確認した事実ではなく、あくまで私の見立てです。
「3年」が目安として語られる理由(私が見聞きした範囲)
- プロジェクトのフェーズが数年単位で区切られる私の離任はいずれもプロジェクトの区切りでした。区切りで体制を見直すのは、ごく自然なことです。
- 客先の側に、同じ会社に長く依存したくない事情がある営業から「3年を目安に見直す客先もある」という話を聞いたことがあります。客先の内規なのか慣習なのかは、営業も詳しく把握していませんでした。
- 派遣の3年が、別の言葉に混ざって広まる同じフロアで派遣の方が抵触日で動くと、「3年で入れ替え」という言葉だけが独り歩きします。私が不安になった経緯も、まさにこれでした。
3つ目は、法律の数字が現場の目安のように使われてしまう例です。数字が同じでも、根拠が違えば、適用される範囲も、守られる保証も違います。
「3年と言われた」という話を聞いたときは、その3年が法律なのか、客先の運用なのか、自社の方針なのかを切り分けて聞くことをおすすめします。
同じ現場に長くいる場合の注意点
3年ルールがないということは、同じ現場に長くいることを妨げるものがない、ということです。だからこそ、長くいる場合に気をつけたい点があります。
指揮命令が混ざりやすくなる
在籍が長くなると、客先にとって私は「いつもの人」になります。顔と名前が一致し、頼みやすい相手になるほど、依頼が個人に直接届きやすくなるのは自然な成り行きです。
ただし、準委任の建前では客先は個人に直接指揮命令をしない前提なので、長く同じ人がいるほど、その境界が曖昧になりやすいと考えています。
長くいる現場では、指示がどこから来ているかを時々振り返るようにしています。判断の物差しは偽装請負の記事に書いたとおりです。
上限がないことは、保証があることではありません
派遣には3年という上限がありますが、準委任のSESには上限がありません。ただしこれは、3年いられる保証があるという意味ではありません。
契約は3か月ごとの更新で、更新するかどうかは会社同士が決めます。3年ルールの外にいることと、契約が続くことは、別の話です。
私の3社目も、3年に届く前に契約が終了しました。契約終了の仕組みや、その間の待機・給与については、契約終了で現場が変わったときの記事にまとめています。
知識と立場が、その現場に偏っていく
長くいると、その現場の業務知識が深まります。一方で、その知識は現場の外では使えないものが多く、環境が変わった瞬間に使えなくなります。
3社目でも、同じ現場に5年以上いる協力会社の方は、仕様の経緯に詳しい方でした。その方は現場では頼りにされていましたが、同時に、その現場でしか通用しない知識が積み上がっているようにも見えました。
私の3社目は、担当が依頼ごとに割り振られ、特定の画面や領域に固定されませんでした。それでも、長くいるほど現場の知識は積み上がります。その知識が現場の外でどこまで通用するのかは、意識して見ておく必要があると考えています。
私の場合(長さと待遇の関係)
2022〜2025年の4回の昇給は、2022年4月が+6,000円くらい、2023年4月と2024年4月が+13,000円くらい、2025年4月が+11,000円くらいでした。現場に長くいたことが、そのまま昇給額に反映された、とは言い切れません。
昇給の推移は、2022〜2025年の4回の昇給(基本給226,000円から269,000円、+43,000円)を並べ直した記事に書いています。長さは、評価や待遇と自動では結びつきません。
担当範囲と成長の関係については、スキルが身につかない理由を扱った記事で整理しています。
私がいた現場の場合:2年1か月で営業に確認した話
ここからは、3社目の現場で「3年」に不安を覚えた経緯と、営業に確認した結果を書きます。
昼休みに聞いた「抵触日」
2025年5月、3社目に入場して2年1か月が経ったころです。昼休みに、5年以上その現場にいる協力会社の方と、休憩スペースでコンビニの弁当を食べていました。
その日の話題が、向かいの島の派遣社員の方でした。
向かいの島の派遣の方、7月末で3年なんだって。8月からは別の部署に移るらしい
3年で、ですか
抵触日ってやつ。派遣は3年までだから。うちは関係ないはずだけど
関係ない、と言い切れる根拠は、自分は持っていない
私が3社目に入ったのは2023年4月です。単純に数えると、3年に届くのは2026年4月。残りは11か月ありました。
それまでは「3か月更新の先のことは考えても仕方がない」と割り切っていたのですが、3年という具体的な数字を聞いた途端に、その割り切りが揺らぎました。
営業に確認して分かったこと
5月末の月次報告のチャットで、営業に聞いてみました。確認した流れは次のとおりです。
- 営業にチャットで聞く月に1回の報告のついでに、「派遣の3年ルールの対象になるのか」と質問しました。
- 入社時の労働条件通知書を見直す契約期間の欄は「期間の定めなし」でした。有期契約を更新しているわけではありません。
- 就業条件明示書を受け取った記憶を確かめる入社以来、一度も受け取っていません。手元にあるのは労働条件通知書だけです。
- 個別契約書の文言は、確認できなかった会社間の書面なので、私の立場では見られません。ここは営業の説明を信じるしかありませんでした。
営業の返信は、その日のうちに来ました。やり取りの要点は次のとおりです。
派遣の3年ルールというのがあると聞きました。自分の契約は対象になりますか
準委任でお出ししているので、派遣の期間制限の対象ではありません。契約は3か月更新で、期間の上限は特に決まっていません
3年いても問題ないということですか
法律上は問題ありません。ただ、いつまで続くかはフェーズ次第なので、先のことは私にも分かりません
「法律上は問題ない」と「先のことは分からない」が、同じ返信に並んでいました。営業が言っているのは、3年ルールの心配は要らないが、続く保証もない、ということです。
5年以上いる方にも聞いてみました
後日、昼休みに協力会社の方にも聞きました。その方の会社は、3か月ごとに更新して、5年と少し同じ現場にいるそうです。
3年目の更新のとき、一度だけ客先から「体制を見直したい」と言われたことがあるとのことでした。結局は更新されたそうで、その時の理由は、本人も詳しくは聞かされていないと話していました。
3年という数字は、法律の上限ではなく、見直しを考える一つの目安として客先の内部で意識されることはあるのかもしれません。ただしこれは、私が又聞きした範囲の話で、確認できた事実ではありません。
結果として、3年には届きませんでした
私の3社目は、その5か月後の秋に契約終了になりました。在籍は約2年半です。
3年ルールの心配は、的外れでした
離任の理由は3年ルールではありません。次のフェーズに向けた体制の見直しで、会社同士の判断でした。3年ルールを心配していた私が、実際に動かされたのは3か月ごとの更新の判断だった、ということです。
あのとき不安になったことは、無駄ではなかったと思います。ただ、心配すべきだったのは3年の数字ではなく、次の更新の判断のほうでした。不安をそのまま放置せず、営業に一度確認できたのは収穫でした。
「法的にいられるか」と「長くいて得か」は別の話です
ここまでの話を整理すると、2つの別々の問いに分けられます。この2つを混ぜると、判断を誤ります。
2つの問いを並べて比べる
法的にいられるかは、契約の形と雇用の形で決まります。長くいて得かは、自分にとっての中身で決まります。
| 法的にいられるか | 長くいて得か | |
|---|---|---|
| 何で決まるか | 契約の形(準委任か派遣か)、雇用の形(無期か有期か) | 担当範囲の広がり、学べること、待遇への反映 |
| 準委任・無期雇用のSES社員の場合 | 3年ルールの対象外。上限はない | 現場ごとに違う。長さだけでは決まらない |
| 3年という数字の意味 | 派遣のルールの数字 | 目安にならない(現場の運用次第) |
| 誰が決めるか | 法律と、会社間の契約 | 自分の見立てと、営業との相談 |
法律上いられることは、長くいて得をすることを意味しません。上限がないのは自由ではありますが、その自由を使う判断は、自分でする必要があります。
私の判断軸:担当範囲が動いているか
3社目の2年半を振り返ると、後から効いてくるのは3年ルールの有無よりも、現場でどんな経験を積めたかだと感じています。
私が今、同じ現場に長くいるかどうかを判断するときに見ているのは、年数ではなく担当範囲の動きです。3年いても範囲が広がっていないなら、そこにいる意味を営業と話してみる価値があります。
反対に、4年目、5年目でも担当範囲や経験の幅が広がっているなら、長くいることは強みになります。数字で区切るのではなく、中身で区切るのが、私の今の結論です。
担当範囲が広がっていないと感じたときは、営業への相談とは別に、社外の求人で自分の経験がどう見られるかを確かめる方法もあります。IT職種に特化した転職エージェント(@PRO人
など)に相談すれば、今の経験年数や担当範囲でどんな求人が出ているかを具体的に聞けます。20代で経験年数がまだ浅いなら、第二新卒向けのIT就職サポート(ウズウズIT
など)で、29歳まで・関東関西東海の範囲で相談する方法もあります。
営業に確認するときの聞き方:法律の話だけで終わらせない
3年ルールが気になったとき、一番手早い確認先は自社の営業です。ただ、私が最初にした質問には反省点があります。
私が聞いたのは「3年ルールの対象になるか」だけでした。返ってきたのは法律の答えで、知りたかった「この現場にいつまでいるのか」には近づいていません。法律の確認と、現場の見通しの確認は、別の質問として分けて聞くべきでした。
営業に確認するときの3つの質問
- 自分の契約は準委任か、派遣か 3年ルールの対象かどうかは、これで決まります。書面の名前も一緒に聞く
- 自分の雇用は無期か、有期か 有期なら、5年の無期転換の話が関わってくる
- 次のフェーズの体制や予算の見通しはどうか 現場にいつまでいるかは、ここで決まる。分からなくても、いつ分かるかは聞ける
営業が答えられない質問があっても、それは営業が悪いわけではありません。更新の判断は客先と元請けの側にあり、営業は結果を受け取る立場です。聞くことで、自分が何を知らされていないのかが見えるだけでも、次の動き方が変わります。
私はこの確認以降、更新の連絡が来る前月に「次フェーズの体制の見通し」を一言聞くようにしています。分かる範囲の答えでも、何も聞かないよりは、更新の連絡を受けたときの驚きが小さくなると感じています。
まとめ:状況別チェックリストと私の結論
SESに3年ルールはあるのか。準委任として運用されている限り、派遣の3年ルールは適用されません。同じ現場に3年以上いることは、法律上は妨げられていません。
その一方で、3年を超えて続く保証もありません。契約は3か月ごとの更新で、更新の可否は会社同士が決めるものです。
状況別の確認チェックリスト
- 準委任で出ている場合 3年ルールは対象外。手元の書面が労働条件通知書で、就業条件明示書が届いていないかを確認する
- 無期雇用のSES社員の場合 仮に派遣でも期間制限の例外。労働条件通知書の契約期間の欄で期間の定めがないことを確認する
- 有期雇用の場合 3年ルールとは別に、同じ雇用主との有期契約の通算5年に注意する。細かな要件は労働局の案内で確認する
- 派遣契約で出ている場合 抵触日がある。就業条件明示書の記載と、派遣元の担当への確認で、抵触日後の扱いを早めに聞く
- 「3年で入れ替え」と言われた場合 その3年が、法律・客先の運用・自社の方針のどれなのかを切り分けて聞く
- 客先から作業の順序を直接指示されている場合 指示の出所を記録し、偽装請負の判断基準に照らして整理する
3年という数字に不安を覚えたら、まず自分の契約と雇用の形を確かめてください。確かめれば、多くの場合は3年ルールの心配は不要だと分かります。
心配すべきなのは、3年の数字ではなく、次の更新の判断と、その現場で自分の担当範囲が動いているかどうかです。法律で守られていることと、自分のキャリアに得かどうかは、別々に考える。これが、2年半の現場で3年ルールを心配した私が、今の現場で持っている判断軸です。




