「SES 40代 案件」と検索したことが、これまで何度かあります。30代も半ばに差しかかると、この先も客先常駐を続けられるのかが他人事ではなくなってきます。

私自身はまだ40代ではありませんが、SESエンジニアとして5年ほど、客先常駐4社を経験してきて、現場では自分より年上のエンジニアと一緒に働く場面が何度もありました。

今回は「35歳定年説」の真偽を判定するのではなく、自分が実際に見てきた40代エンジニアの配属や扱われ方を、判断材料としてそのままお伝えします。

この記事で分かること

  • 「SES 40代」の年齢別データを探した結果、正直に確認できなかったこと
  • 客先常駐4社で実際に見てきた、40代エンジニアの配属パターン
  • 面談や体制表の中で、年齢がどう扱われていたか
  • 30代のうちに見ておきたい、40代以降を占う3つの観察ポイント
目次
  1. SESで40代は案件が減るのか、まず正直に言えること
  2. 客先常駐4社で見てきた40代エンジニアの配属
  3. 1社目: 新人研修中心で、そもそも観察できていない
  4. 2社目: 残業が多い現場で、年齢による違いは見えなかった
  5. 3社目: 長くいた人だけが知っている情報があった
  6. 4社目(今の現場): 名前が消えた人と、調整役に回る人の両方を見た
  7. 面談や体制表の中で、40代がどう扱われていたか
  8. 35歳定年説を観測範囲から見るとどうなるか
  9. 30代のうちに見ておきたい3つのチェックポイント
  10. まとめ

SESで40代は案件が減るのか、まず正直に言えること

結論40代で案件が減るかを裏付ける年齢別の統計は、私が確認できた範囲では見つかりませんでした。だからこの記事は、自分が見た範囲の観察を書きます。

このテーマを調べるにあたって、最初に年齢別の統計を探しました。厚生労働省の賃金構造基本統計調査には経験年数別の賃金は載っていますが、年齢階級別にソフトウェア技術者の実数まで確認できるデータベースは見つけられませんでした。IT人材白書の年齢構成データについても、原本のPDFを直接確認できなかったため、この記事では使いません。

数字を無理に埋めるより、探した範囲では見つからなかったと正直に書くほうが、このブログのやり方に合っています。年齢別の「案件数」や「単価」を裏付ける公的データは、少なくとも私が確認できた範囲には存在しませんでした。

一方で、確認できたこともあります。@ITの記事が総務省「情報通信白書」を引用して紹介している数字によると、生産年齢人口(15〜64歳)は25年で約1,200万人減っています(出典: @IT「情報通信白書」引用記事)。

1995年約8,716万人
2020年約7,509万人25年で約1,200万人減

生産年齢人口(15〜64歳)の推移。@ITの記事が総務省「情報通信白書」を引用して紹介している数字です。

この数字の読み方

これは業界全体の需給が締まっていく背景を示す数字であって、40代のSESエンジニア個人の案件数を直接示すものではありません。ここは混同しないよう区別しておきます。

制度面では、労働施策総合推進法第9条が、募集・採用について年齢にかかわりなく均等な機会を与えるよう事業主に求めています。ただし例外事由も省令で定められており、この記事ではその中身までは踏み込みません(出典: 厚生労働省)。制度としての建前はありますが、それが現場の配属の実態と一致しているかどうかは別問題です。

だからこの記事は、「35歳定年説はウソ」とも「本当」とも言いません。統計で裏付けられないぶん、自分が実際に見た範囲の観察を、なるべく具体的に書くというのがこの記事の立ち位置です。

「35歳定年説」で検索すると、上位に出てくる記事の多くは、この説を否定した上で転職エージェントへの相談を勧める構成になっています。否定する材料として年齢別の求人統計が引かれていることもありますが、私が探した範囲では、そこまで精度の高い一次情報にはたどり着けませんでした。

客先常駐4社で見てきた40代エンジニアの配属

ここからは実際に見てきたことです。私は二次請け・三次請けの下流の立場で、基本的にはメンバーとして手を動かす役割でした。

4社目では、現場に入って数か月後に自社の役職上の管理職になり、今は手を動かしつつ3〜5名を見ています。ただ、ここで書く観察は、同じチームで働く一メンバーとして目に入った範囲の話が中心です。管理側から見た人事の話は、この記事では扱っていません。

1社目: 新人研修中心で、そもそも観察できていない

1社目は、集合研修と自習期間を合わせて5週間ほどの研修期間があった現場でした。同期は7人で、講師は自社の30代の先輩社員です。

配属後の現場についての記憶はあまり鮮明ではなく、40代の方と一緒に仕事をした場面も特に思い出せません。4社の中で唯一、観察できるサンプルを持てていない現場です。

2社目: 残業が多い現場で、年齢による違いは見えなかった

2社目は三次請けの立場で、月40〜60時間ほど残業する時期がある現場でした。チームには40代くらいに見える協力会社のメンバーが2人ほどいて、担当していたのは私と同じ粒度の実装・単体テストです。

見た目にも作業の割り振り方にも、年齢による違いは感じませんでした。若手も40代も、同じように詳細設計書を渡され、同じように質問票を出し、同じように残業していました。

少なくともこの現場では、年齢で仕事の粒度が変わる場面を見た記憶がありません。単価がいくらだったのかは、自分の分は聞けても、年上の同僚の単価まではさすがに分からず、ここは書けません。

3社目: 長くいた人だけが知っている情報があった

3社目は金融系のWebサイトの案件で、私は前半約1年をデータ移行(旧システムの顧客・契約データの新システムへの移行)、後半約1年半を保守改善(フロント・サーバー側の改修対応、障害調査・不具合修正)で過ごしました。保守改善の時期に、5年以上その現場にいて仕様の経緯に詳しい、40代くらいの協力会社の方がいました。

質問票を出しても「仕様確定済みのため変更不可」という定型の回答しか返ってこない中、この方に直接聞くと、なぜその仕様になっているのかの経緯まで教えてもらえることがありました。正式なドキュメントには残っていない話です。

頼りにされていたのは若さでも肩書きでもなく、その場に長くいたという事実そのものでした。この方がいなければ、仕様の背景を確認する手段はテンプレート回答の質問票しかなかったはずです。

若手が知らない経緯を知っている人として扱われているのを、何度も見ました。

4社目(今の現場): 名前が消えた人と、調整役に回る人の両方を見た

4社目は独自の社内フレームワークを使う現場です。なぜこの構成なのかをプロパー社員に聞いても、返ってくる答えは決まっていました。

私

この構成になった経緯は、ご存じですか?

プロパー社員

自分が来た時にはもうありました。

経緯を知っている人が、もう現場に残っていなかったということです。

参画してしばらくした頃、その現場にいた40代くらいの協力会社のメンバーが、次期フェーズの体制表案が回ってきたとき、名前が載っていないことがありました。理由を尋ねて回るような空気ではなく、いつの間にか別の現場の話をするようになっていた、というだけです。

私の場合

実は私自身も3社目で、提案した内容が課題票に載ったところまでは見届けましたが、次期フェーズが始まる前に契約終了で現場を離れています。年齢に関係なく起き得ることだとは思いますが、40代のその方の退場のしかたが、あとから振り返ると自分の状況と重なって見えました。

一方、今一緒に仕事をしている40代くらいのプロパー社員の方は、実装そのものより、仕様の解釈が割れたときの最終判断や、複数の協力会社をまたぐ調整に時間を使っていることが多いようです。前フェーズの課題管理票が共有フォルダに残っていて経緯もある程度追えるのですが、それでも実際に決めているのはこの方だという場面を何度も見ました。

例えば、仕様書の記述に矛盾があると見える場面で、若手だけで話し合っても結論が出ず、最終的にこの方が判断を下すのを見たことが何度かあります。若手が持ち帰った複数の選択肢から一つを選ぶ、という関わり方です。

私自身は4社目で管理職になった身ですが、こうした判断役がどういう流れで回ってくるのかは、自分の経験からは語れません。ただ、少なくともこの現場では、40代であることが調整役に回る理由の一つになっているように見えます。

3つの現場を並べると、次のようになります。

現場商流の立場40代エンジニアの役割の印象
2社目三次請け若手と同じ粒度の実装・テスト
3社目二次請け経緯を知る”生き字引”的な存在
4社目(今の現場)二次請け名前が消えた人と、判断・調整に回る人の両方

面談や体制表の中で、40代がどう扱われていたか

営業から一度だけ聞いた話

面談そのものに40代のベテランと同席したことはありませんが、ある案件の相談をしていたとき、営業から「客先が比較的若いメンバー構成を希望している」という趣旨のことを言われました。

これが年齢を基準にした選別なのか、単にチームの雰囲気を指した言葉だったのかは、営業自身もそこまで詳しく説明しませんでしたし、私もそれ以上は突っ込んで聞きませんでした。

一度きりの伝聞なので、これをSES業界全体の傾向として書くつもりはありません。ただ、面談の場に着く前に候補の絞り込みがほとんど終わっているという構造そのものは年齢に限った話ではなく、こうした基準が働くとしても、当人の目に触れないところで起きるだろうというのは、この記事を書きながら改めて感じたことです。

体制表について言えば、4社目で見た「名前が静かに消える」というやり方は、年齢を明示した通告ではありませんでした。次期フェーズの体制表が更新されるだけで、そこに至る判断の理由は誰にも説明されません。これは契約終了が会社同士の話し合いで決まるSES共通の構造の延長線上にあり、40代だから特別に不透明だった、とまでは言い切れないというのが正直なところです。

ただ、30代の自分が経験してきた「理由を知らされないまま現場を離れる」という感覚が、40代の同僚にも同じ形で起きているらしいことは、観察していて分かりました。

ポイント: 体制表から名前が消える経験そのものは、年齢を問わずSESという働き方に組み込まれています。

40代になったから特別に不透明な扱いを受けるというより、もともと不透明な仕組みの中に、40代の人もそのまま組み込まれている、と見るほうが実態に近いはずです。

35歳定年説を観測範囲から見るとどうなるか

結論単純な形での「35歳の壁」は確認できませんでした。ただし、40代のいる場所と役割には偏りがありました。

ここまで書いてきた範囲で言えば、私が渡り歩いた4社のうち、40代のエンジニアが一人もいなかった現場はありません。「35歳を過ぎると案件から弾かれる」という単純な形での壁は、少なくとも自分が見てきた範囲では確認できませんでした。

ただし、40代の方を見た場面を思い返すと、役割は次の3つのどれかに寄っていました。

  • 若手と同じ粒度で手を動かし続けている人
  • 特定領域の経緯を知る専門家的な立場になっている人
  • 複数の協力会社をまたぐ調整役に回っている人

その中間、つまり「若手より少し上の実装者」という位置にとどまり続けているケースを、あまり見た記憶がありません。

なぜこの中間の位置にとどまり続ける40代をあまり見なかったのか、確定した理由があるわけではありませんが、自分なりに考えていることがあります。

案件の予算は、若手ほど単価を抑えて数をそろえやすい層と、経験でしか埋まらない専門性や調整力を求める層に、ある程度分かれて組まれているように感じます。

若手と同じ単価で若手と同じ仕事をする40代は、会社の側から見ても案件に乗せる理由が説明しにくい立場になりやすいのではないか、というのが今のところの自分の見立てです。断定はできませんが、少なくとも自分が見てきた配属のされ方とは矛盾しません。

もう一つ、正直に書いておきたいことがあります。40代くらいに見える方とは複数の現場で一緒に働いてきましたが、50代くらいに見える方とは、今のところ一度も一緒に働いた経験がありません。

これが50代になると案件が本当になくなるという意味なのか、単に私が渡り歩いた4社にたまたまいなかっただけなのか、これも判断できるだけの材料を持っていません。

ただ、40代までは複数回見てきたのに50代はゼロという非対称は、書いておく価値があると思っています。

これが40代になると自動的にどこかへ移動させられる、という意味かどうかは分かりません。

見てきた現場4社
観察できた40代10人前後せいぜい10人に届くかどうか
一緒に働いた50代0人

私が観察できたサンプルの規模。統計と呼べる規模ではありません。

もっと多くの現場を見れば、まったく違う傾向が出てくる可能性も十分にあります。もう一つ考えておくべきことがあります。

私の場合

私の同期は7人でしたが、5年経った今、SESの客先常駐を続けているのは半分に届かないくらいだと聞いています(自社の人事から漏れ聞いた話で、正確な数字ではありません)。

辞めていく人の多くは20代のうちに動いているようで、40代まで残っている人自体が、そもそも生き残った側の少数派である可能性があります。

だとすれば、私が現場で見てきた40代の方々は、案件から弾かれなかった人というより、そもそも弾かれる前に別の道を選ばなかった人、という見方もできます。

「SES 40代 きつい」という検索が多い理由も、この不透明さそのものにあると思っています。案件が減るかどうかより先に、判断材料になる情報がほとんど出てきません。

だから不安だけが先に膨らみます。統計がない以上、この記事もその不安を数字で解消することはできません。

できるのは、限られた観測範囲の中で、40代のエンジニアが「同じ粒度の実装者」であり続けているケースより、専門性や調整役という形で役割が変わっているケースのほうを多く見た、という傾向を渡すことだけです。

30代のうちに見ておきたい3つのチェックポイント

自分がこの先40代になったときにどうなるかは、正直まだ分かりません。ただ、ここまでの観察を振り返ると、30代のうちに見ておいたほうがよさそうな点はいくつか見えてきました。

30代のうちに見ておきたい3つのこと

  • 今の現場に、自分にしか分からない経緯があるか 3社目で見た40代の方のように、正式な文書に残らない経緯を知っている立場は、年齢に関係なく頼られていました。ドキュメントに残る情報と、自分の頭にしか残っていない情報のどちらも扱える状態を意識しています
  • 調整や判断を任される場面が、少しずつでも増えているか 今の現場で見ている40代のプロパーの方は、実装より調整に時間を使っています。私自身は4社目で管理職になり3〜5名を見る側にもなりましたが、判断が求められる小さな場面で手を挙げるところから始めています
  • 体制表から名前が消える前提で、記録を自分の側に残しているか 4社目で見たのと同じような消え方は、3社目で私自身にも起きたことです。理由が明かされないまま現場が変わることを前提に、スキルシートに残せる判断の経験を今の現場で積んでおくようにしています

これらは40代になれば自動的に安泰になる、という話ではありません。ただ、今のうちに向き合っておかないと、40代になってから慌てて用意できるものでもなさそうだ、というのが観察してきた実感です。

客先常駐を続ける以外の道も、30代のうちに一度見ておくと気持ちに余裕が出ます。社内SEやITエンジニアの転職を扱う社内SE転職ナビのように、常駐のない求人が中心のサービスもあります。今すぐ動く前提でなくても、どんな求人が出ているかを知っておくだけで、40代の見え方は少し変わります。

単価や給与の面で経験年数がどこまで効くのかについては、単価が上がらない理由を公的統計を含めて整理した記事がありますので、そちらも参考にしてください。

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まとめ

「SESで40代の壁はあるのか」という問いに、この記事は答えを出していません。私自身がまだ40代ではなく、答えを持てる立場にないからです。年齢別の統計も探しましたが信頼できる数字は見つけられず、書けたのは限られた現場で見た限られた人数の観察だけです。

この記事で持ち帰ってほしい3点

  • 客先常駐4社で見た40代は、実装をそのまま続けている人より、経緯を知る専門家か調整役に寄っているケースのほうが多く見えた
  • 体制表から静かに名前が消える出来事は、40代に限らず30代の自分にも同じ形で起きている
  • 統計がない中で自分にできる数少ない判断材料は、今の現場で40代がどう扱われ、名前がどう消えるかを見ておくこと

30代のうちに見ておくべきなのは、40代になった自分の未来予想図ではなく、今の現場にいる40代の人たちが実際にどう扱われているか、その一次情報のほうです。