「優良なSES企業の見分け方」を調べると、ホワイトな会社の条件が10個ほど並んだ記事に行き当たります。ただ、そのうち求人票で分かるものと、入社しないと分からないものが分けて書かれていることは、あまりありません。

私は2021年4月に新卒で入社した1社に、今も在籍しています。客先は4社経験しましたが、応募や選考に進んだ経験はなく、他社の内情を語る立場ではありません。

そこで今回は、求人票と面談で確かめられる項目を7つに絞り、その物差しで自社を採点した結果をお伝えします。カジュアル面談を2社受けただけの検討の経緯は、自社開発への転職を検討した記事に書きました。

この記事で分かること

  • 「優良」「ホワイト」を、書面や回答で確かめられる7項目に落とす考え方
  • 求人票で確かめる2項目(変更の範囲・固定残業代)と、2024年4月から変わった明示ルール
  • 面談で聞く3項目と、曖昧な答えの読み方
  • 賃金規程・就業規則の読む順番、しょくばらぼと離職率の使い方
  • 現役SESエンジニアが自社を7項目で採点した結果と、入社前に確かめられなかったもの
  • マージン率・商流・単価のように確認できないものは、何を見て判断するか
目次
  1. SESの会社の見分け方は、求人票と面談で確かめる「項目」に落とせます
  2. 「優良」「ホワイト」の中身は、人によって違います
  3. 確かめる7項目と、確かめる場所
  4. 求人票で確かめる2項目:変更の範囲と固定残業代
  5. 項目1:就業場所・業務の「変更の範囲」が書かれているか
  6. 項目2:固定残業代の有無と、ある場合の3点が読み取れるか
  7. 虚偽の募集と、募集情報を残しておくこと
  8. 面談で確かめる3項目:待機中の給与・案件の決まり方・評価
  9. 待機中の給与は「実績」ではなく「約束」を聞きます
  10. 案件の決まり方は「誰が」「何件の中から」を聞きます
  11. 評価と昇給は「基準」と「目安」を聞きます
  12. 規程・書面で確かめる項目:賃金規程と労働条件通知書を読む順番
  13. 就業規則を入社前に見せてもらえるのかは、法的な義務ではありません
  14. 賃金規程は、章の順に読みます
  15. 読んで初めて知ったこと
  16. 公的データで調べられること:しょくばらぼと離職率の読み方
  17. しょくばらぼで、企業の残業時間や有給取得率を調べる
  18. 青少年雇用情報は、新卒向けの仕組みです
  19. 離職率の数字は、会社の見分けには使えません
  20. 7項目で自社を採点した結果:入社前に確かめたものは0でした
  21. 採点表
  22. 採点して分かったこと
  23. 確認できないこと(マージン率・商流・単価)は、何を見て判断するか
  24. 入社前に聞けない項目を、外部の窓口で確かめる方法
  25. 確認する順番と、まとめ

SESの会社の見分け方は、求人票と面談で確かめる「項目」に落とせます

「優良」「ホワイト」という言い方をいったん外し、どの場面で何が確かめられるのかを整理します。先に7項目の一覧を示し、各項目は次の章から順に見ていきます。

「優良」「ホワイト」の中身は、人によって違います

結論見分けられるのは、書面と回答で確かめられる項目だけです。会社全体の良し悪しは、その結果を自分の優先順位に当てはめて決めることになります。

私が4社で見た範囲でも、残業が少ない現場と、仕事の幅が広がる現場は別でした。2社目は月40〜60時間の残業がありましたが、設計から単体テストまで担当する工程は広めでした。3社目は残業が落ち着いていた一方で、2年半のあいだ、担当は依頼ごとに変わり、データ移行から保守改善へと広がっていきました。

残業の少なさをホワイトと呼ぶ人もいれば、担当範囲の広さを優良と呼ぶ人もいます。物差しが人ごとに違う以上、会社にレッテルを貼るより、書面や回答で確かめられる項目に分けたほうが、自分で使えます。

そのため、この記事では「ホワイト」「ブラック」という言い方を使いません。使うのは「確認できる」「確認できない」という区別だけです。

確かめる7項目と、確かめる場所

7項目は、法令や公的資料に根拠があり、書面か回答で確かめられるものだけに絞りました。商流・単価・マージン率は、開示を求められる仕組みがないため入れていません。これは後半の章で扱います。

#項目確かめる場所何を見るか
1就業場所・業務の「変更の範囲」求人票範囲が書かれているか、広さはどうか
2固定残業代の有無と3点求人票・労働条件通知書有無、基本給の額、時間数と金額、超過分の追加払い
3待機中の給与の扱い面談・就業規則実績ではなく、約束として答えられるか
4案件の決まり方面談誰が決めるか、何件の候補から選ぶか
5評価・昇給の決まり方面談・賃金規程評価の項目、昇給額の目安
6賞与・手当・退職金の根拠賃金規程・就業規則条文として書かれているか
7募集時の条件と入社後の書面の一致募集情報・労働条件通知書変わった点が説明されているか

1と2は求人票の段階で、3〜5は面談で、6と7は内定後から入社直後の書面で確かめます。順番にも意味があるので、最後の章で並べ直します。

求人票で確かめる2項目:変更の範囲と固定残業代

求人票で確かめるのは、書き方が定められている2つの項目です。何が書かれていれば足りるのか、足りないときに何を聞くのかを見ていきます。

項目1:就業場所・業務の「変更の範囲」が書かれているか

2024年4月1日施行の改正職業安定法施行規則で、求人企業が募集時に明示する労働条件に3つの事項が追加されました。従事すべき業務の変更の範囲、就業場所の変更の範囲、有期労働契約を更新する場合の基準です(出典: 企業から受ける労働条件明示のルールが変わります(求職者向けリーフレット)|厚生労働省)。

「変更の範囲」とは、雇入れ直後にとどまらず、将来の配置転換など今後の見込みも含めた、契約期間中の範囲のことです。同じ資料には、次の記載例が載っています。

(雇入れ直後)大阪支社 (変更の範囲)本社および全国の支社、営業所

就業場所の記載例(厚生労働省リーフレットより)|出典: 厚生労働省 求職者向けリーフレット

SESの求人でこの欄をどう読むか。ここからは私の解釈です。常駐先が変わる働き方である以上、就業場所の変更の範囲が特定の事業所だけに限られる書き方は、しにくいはずです。

ただし、常駐先の変更が「就業場所の変更の範囲」にどう当たるのかについて、公式の見解は確認できていません。「当たるはず」というのは、私の読みです。

書かれ方ごとの読み方と、面談で聞くことを表にまとめます。

書かれ方私の読み方面談で聞くこと
地域や事業所が具体的範囲を約束している書き方「常駐先は、この範囲に収まりますか」
「会社の定める事業所」など広い配置は会社が決める前提「今の常駐先は、どのエリアに分かれていますか」
「詳細は面談時」認められているが、原則は最初の接触まで「面談の時点で、全項目を教えてもらえますか」
記載がない変更が想定されない職種なら不要とされている「変更の範囲は、どう定められていますか」

「詳細は面談時にお伝えします」という書き方は、求人広告のスペースが足りないなどのやむを得ない場合に認められています。その場合でも、原則として面接などで最初に接触する時点までに、全ての労働条件を明示することになっています(出典: 改正職業安定法施行規則Q&A(労働条件明示等)|厚生労働省)。

書かれていても、分からないこと

「変更の範囲」は、募集の時点で想定され得る範囲で足りるとされています。有期契約の場合は、その契約期間中の範囲で、更新後は含まれません。

つまり、この欄から分かるのは会社が想定している範囲までで、実際の常駐先の一覧ではありません。商流や単価、常駐先名は、リーフレットの例示一覧に含まれていませんでした。条文全体までは確認できていません。

私の場合

私の入社は2021年4月で、この改正の約3年前です。入社前に見た募集情報に変更の範囲が書かれていたのかどうかは、覚えていません。

この欄を初めて見たのは、4社目に参画したときの労働条件通知書でした。就業場所は「会社の定める事業所」、業務は「会社の定める業務」という広い書き方で、常駐先は会社が決めるという前提を、書面で確認した形になりました。

労基法側の改正(労働契約を結ぶ時の明示)と、通知書の読み方は別の記事に書きました。この記事は、求人の段階に絞っています。

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項目2:固定残業代の有無と、ある場合の3点が読み取れるか

最初に確かめるのは、固定残業代があるのかどうかです。あるなら、その時間数も確かめます。求人票に書かれていなければ面談で聞き、内定後は労働条件通知書で、有無と時間数が書かれているかを見ます。

固定残業代を採用する求人では、次の3点を明示するよう、若者雇用促進法に基づく指針で求められています。固定残業代を除いた基本給の額、固定残業代の時間数と金額の計算方法、超過分は割増賃金を追加で支払う旨の3つです(出典: 固定残業代の求人票表記に関する資料(2022年9月)|厚生労働省)。

3点が欠けている求人は、面談で聞く項目が増えるだけです。欠けていること自体を、私は不誠実の証拠だとは読みません。

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私の自社には、固定残業手当(みなし残業)がありません。残業は実際の時間に応じて、手当として支払われています。ただ、この事実を入社前に確かめたわけではなく、総額の月給だけを見ていました。

基本給の額を確かめる理由は、月給の総額が同じでも、基本給が低いほど土台が小さくなるからです。私の自社では、賞与の算定が基本給のみで、手当や残業代は含まれませんでした。

支給総額(3社目の離任前)約394,000円求人票に載る数字は、ふつうこの総額に近い形
うち基本給269,000円賞与の算定の土台になる
うち残業手当(実費)約50,000円約20時間分。固定残業手当の行はなし

私の明細(3社目の離任前・2025年)の内訳です。残りは職能手当等が約15,000円、家族手当が20,000円、住宅手当が40,000円でした。これらの手当は、賞与の算定には含まれません。

同じ支給総額の求人が2つ並んでいても、基本給と手当の内訳が違えば、賞与の月数を基本給で数えるのか額面で数えるのかで、年収が変わります。入社前に内訳と賞与の算定基礎を聞いていなかったことは、私の後悔の一つです。

虚偽の募集と、募集情報を残しておくこと

職業安定法5条の4は、募集情報について虚偽の表示や誤解を生じさせる表示をしてはならないこと、募集情報を正確かつ最新の内容に保つことを定めています。65条9号は、虚偽の広告をなし、または虚偽の条件を提示して労働者の募集を行った場合を、6か月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金の対象としています(出典: 職業安定法|e-Gov法令検索)。

求人票と実際が違うと感じたとき、感覚の話にしないための材料が、募集情報の保存です。日付の分かる形で残しておくと、後から「何が、どう変わったのか」を、書面で並べられます。

私は、入社前に見た募集情報を残していませんでした。この点は採点の章で、そのまま減点として出てきます。

面談で確かめる3項目:待機中の給与・案件の決まり方・評価

求人票に書かれにくい3つは、面談で聞きます。ここでの面談は、客先との案件面談ではなく、入社前に自社と行う面談のことです。

先に、聞くことと、答えの読み方を表にします。

聞くこと具体的な答えの例曖昧な答えの読み方
待機が発生したとき、給与はどうなるか「就業規則の第○条で、平均賃金の○%を支給します」「ほとんど待機はありません」は実績の話で、約束ではない
案件はどう決まるか。断れるか「候補を2〜3件示し、面談後に意向を確認します」「希望は聞きます」は、断れるかどうかの答えになっていない
評価は何を基準に、誰が決めるか「評価項目は○つ。昇給額の目安は賃金規程の別紙にあります」「頑張りを見て判断します」は、基準が言葉になっていない

待機中の給与は「実績」ではなく「約束」を聞きます

私は待機を一度も経験しておらず、契約終了のたびに給与は通常どおり支給されてきました。ただ、それは結果であって、会社が約束したことではありません。

今回、この記事を書くにあたって、人事に就業規則のどこに定めがあるのかを聞いてみました。

私

待機期間が発生した場合の賃金の扱いは、就業規則のどこに定められていますか。

人事

休業の項に、会社の都合で休業とする場合は法令に従って手当を支給する旨があります。待機がどの扱いになるかは、状況に応じて個別に判断します。

私

約束として確認できたのは、法令どおり、というところまでか。

回答から分かったのは、実績と約束は別のものだということです。「待機はほとんどない」は実績の説明にすぎません。聞くべきなのは、待機が発生したときの扱いが、書面のどこに書かれているかです。

休業手当は、平均賃金の6割以上を支払うよう労働基準法26条が定めています。自分の額面で計算するとどうなるかは、待機中の給料を試算した記事に書きました。

案件の決まり方は「誰が」「何件の中から」を聞きます

案件の決まり方は、「案件選択制」「希望を聞きます」という言葉だけでは判断できません。聞くのは、誰が決めるのか、何件の候補から選ぶのか、断った場合にどうなるのかの3点です。

私の場合は、営業が窓口でした。契約終了が決まった直後に「次はJavaかTypeScriptがいい」と伝えると、4社目はその条件の案件でした。ただ、希望が効いたのか、たまたま合っていただけなのかは、今も判別できません。

案件を選べるかどうかは、候補の件数で決まります。案件選択制を掲げていても、会社が示す候補が1件なら、実質的には会社が決めているのと変わりません。面談という場の仕組みは、案件は選べるのかを整理した記事にまとめました。

評価と昇給は「基準」と「目安」を聞きます

私の評価シートは5段階で、これまで真ん中の3のままです。評価面談は半年に1回、30分ほどで、客先の評価は営業の「特に問題ないと聞いています」という一言で届きます。

評価の基準そのものより、昇給額の目安を聞くほうが、答えは具体的になります。私の自社では、賃金規程の別紙に、評価ランク別の昇給額の目安が載っていました。実績は、2022〜2025年の4回の昇給で基本給が226,000円から269,000円(計43,000円の増額)でした。年ごとには、2022年が6,000円、2023・2024年が13,000円ほど、2025年が11,000円ほどです。

この別紙を読んだのは、入社から数年たってからでした。4回分の昇給通知を並べて確かめた経緯は、昇給の決まり方の記事に書いています。

面談で聞くことの一覧

  • 待機中の賃金の扱いは、就業規則のどこに書かれているか
  • 案件は何件の候補から決まるか。断った場合、次の候補はいつ出るか
  • 客先での評価は、誰が、どのように把握して自社に届くか
  • 昇給額の目安は、規程や別紙に載っているか
  • 賞与の月数は、基本給と額面のどちらで数えるか
  • 配属後に質問できる相手(メンター・先輩)は決まっているか

聞いたあとは、答えの具体さを見ます。数字や条文名が返ってくれば、確認できた項目です。「そのあたりは状況によります」とだけ返ってくれば、確認できなかった項目として残し、後で書面を見せてもらう段取りに回します。

規程・書面で確かめる項目:賃金規程と労働条件通知書を読む順番

賃金規程や就業規則は、入社前から見られるとは限りません。見られるときの読む順番と、私が読んで初めて知ったことを書きます。

就業規則を入社前に見せてもらえるのかは、法的な義務ではありません

労働基準法106条が定める就業規則の周知義務の対象は「労働者」です。入社前の求職者に見せる義務は、条文からは読み取れません。

したがって、「入社前に規程を見せてもらえるか」は、法的な義務ではなく、会社の姿勢を確かめる材料です。ここは私の解釈で、公的な見解ではありません。

頼み方は、内定後に「賃金規程と就業規則を確認したい」と伝えるだけで足ります。すぐに出てくる会社も、入社後の開示になる会社もあるはずで、どちらであっても、返事の速さと説明の丁寧さが、確認できる情報の一つになります。

賃金規程は、章の順に読みます

私の自社の賃金規程は、A4で24ページほどでした。数十ページあっても、読む順番を決めておけば、確認する箇所は絞れます。

  1. 目次で章を探す私の自社は、基本給・諸手当・割増賃金・賞与の4章でした。
  2. 基本給の章で昇給の条文と別紙を読む「業績等を勘案して行う」の中身が、別紙の目安表にあることがあります。
  3. 諸手当の章で、資格手当や通勤手当の条件を読む金額の上限や、支給の形態(一時金か毎月か)を確かめます。
  4. 割増賃金の章で、固定残業手当の有無と時間数を読むある場合は超過分の支払いが書かれているかを、ない場合は残業が実費で支払われると読めるかを見ます。
  5. 賞与の章で、算定基礎と支給日在籍の条件を読む基本給か額面か、算定期間はいつかを見ます。

資格取得の支援や退職金は、賃金規程ではなく、別の規程や就業規則の本則にあることがあります。私の自社では、受験料補助は「資格取得支援規程」、退職金の有無は就業規則の本則に書かれていました。

読んで初めて知ったこと

私の場合

基本情報技術者の資格手当は、合格した月の翌々月に一時金2万円が出る仕組みでした。受験料の補助は「受験前の事前申請」が要件で、独学で黙々と受験していた私は、対象外でした。受験料を自費で払ったあとで、制度の存在を知りました。

退職金は、就業規則の本則に「当社は退職金制度を設けない」という趣旨の一文があり、制度がないことが書面で確認できました。

資格手当の読み方と、受験料補助の事前申請の落とし穴は、資格手当の記事に詳しく書いています。

退職金がないことは、求人票や面談では確かめていませんでした。就業規則の条文と人事の回答で確かめた経緯は、退職金の記事にまとめました。

公的データで調べられること:しょくばらぼと離職率の読み方

会社の外から調べられるものとして、公的な仕組みが2つあります。何が調べられて、何は調べられないのかを、分けて書きます。

しょくばらぼで、企業の残業時間や有給取得率を調べる

厚生労働省の職場情報総合サイト「しょくばらぼ」では、企業が公開した職場情報を、企業単位で見られます。残業時間や有給取得率などが、その対象です。トップページには、152,380件(2026年10月1日時点)と表示されています(出典: しょくばらぼ|厚生労働省)。

ただし、掲載は企業の任意です。SES企業がどれだけ載っているのかは、私は調べていません。見つからないことは、それだけでは判断材料になりません。

見つかった場合は、面談で聞く前の下調べに使えます。数字が出ていれば、「この残業時間は、常駐先を含めた平均ですか」のように、聞き方を具体的にできます。

青少年雇用情報は、新卒向けの仕組みです

もう一つが、若者雇用促進法にもとづく青少年雇用情報です。新卒者等の募集を行う企業は、応募者等から求めがあった場合、「募集・採用の状況」「職業能力の開発・向上」「雇用管理の状況」の3類型について、それぞれ1つ以上の情報提供が義務とされています(出典: 青少年雇用情報シートのリーフレット|厚生労働省 栃木労働局)。

項目には、平均勤続年数、研修の有無と内容、前年度の月平均所定外労働時間、有給休暇の平均取得日数などが含まれます。この資料は新卒向けの求人を対象にしたもので、中途採用に同じ仕組みがあるかどうかは、確認した資料の範囲では分かりませんでした。

私は新卒入社なので、本来はこの制度で情報を求められた立場でした。ただ、当時は制度の存在を知らず、求めていません。

離職率の数字は、会社の見分けには使えません

離職率は、会社選びの定番の指標です。厚生労働省の雇用動向調査(令和7年)では、産業計の離職率が13.7%、情報通信業が10.4%でした(出典: 令和7年雇用動向調査結果の概況|厚生労働省)。

産業計の離職率13.7%入職率は14.7%
情報通信業の離職率10.4%入職率は13.6%

令和7(2025)年の雇用動向調査より。

この数字で言えないこと

情報通信業には、SES以外の事業所も含まれています。SES単体の離職率は、確認できる統計を見つけられませんでした。

だから、この数字を「SESの離職率」として使うことはできません。会社を見分けるなら、募集している企業の過去3年の離職者数と平均勤続年数を、面談で直接聞くほうが確かです。

同じ調査には、転職入職者の賃金変動も載っています。前職と比べて「増加」が40.8%、「減少」が31.0%、「変わらない」が25.5%でした。会社を変えれば賃金が上がるとは限らないことが、数字からも分かります。産業別やSES別の内訳までは、確認していません。

7項目で自社を採点した結果:入社前に確かめたものは0でした

ここまでの7項目を、自社に当てはめて採点します。採点の基準は、会社の良し悪しではなく、書面で確認できたかどうかです。

基準は次の3つです。○は書面で確認できたもの、△は一部だけ、または実績や口頭でしか確認できないもの、×は確認できていないものです。

採点表

「入社前」の列は、入社前に書面や回答で確かめたかどうかを書いています。「入社後」の列は、規程・明細・通知書・人事への確認で分かったことです。

#項目入社前入社後に分かったこと採点
1変更の範囲確かめていない(改正の約3年前の入社で、記載の有無は不明)4社目参画時の通知書に「会社の定める事業所」「会社の定める業務」と記載○
2固定残業代の有無と3点確かめていない(総額の月給しか見ていなかった)明細に固定残業手当の行はなく、残業は実費の手当として支給(離任前は約20時間で約50,000円)。基本給は269,000円○
3待機中の給与聞いていない待機は未経験で給与は通常どおり。就業規則に休業の定めはあるが、待機の扱いは個別判断との回答△
4案件の決まり方聞いていない営業が窓口。希望は伝えられるが、断れるか・候補が何件かは書面にない△
5評価・昇給聞いていない賃金規程の別紙にランク別の昇給目安。評価の中身は営業の伝聞止まり△
6賞与・手当・退職金「賞与年2回」とだけ聞いた(月数・算定基礎は聞いていない)賞与は年2回で年3か月分、算定基礎は基本給のみ。資格手当は規程にあり一時金2万円。退職金は制度なし△
7募集時と入社後の書面の一致募集情報を残していない照合できない×
入社前に確かめた項目0/7書面や回答で確かめたもの
○(書面で確認できた)2項目
△(一部・口頭のみ)4項目
×(確認できていない)1項目

自社を7項目で採点した結果です。

採点して分かったこと

採点して一番はっきりしたのは、入社前に確かめた項目が7つのうち0だったことです。入社前に見えていたのは「賞与年2回」という一言だけで、理由は単純に、何を聞けばいいのかを知らなかったからです。

新卒で比較対象もなく、求人票の「社会保険完備」「賞与あり」を、そのまま読んで終わっていました。○が2つ、△が4つ、×が1つという内訳を、私は悪い結果だとは思っていません。

採点の内訳

  • ○の2つ どちらも入社後に書面を見て分かったことで、入社前に確かめる機会はあったのに、使っていませんでした
  • △の4つ 確かめようと思えば確かめられた項目です。待機の扱いは人事に聞けば答えが返ってきましたし、昇給の目安は規程の別紙にありました
  • ×の1つ 自分で作った穴です。募集情報を残していなかったので、入社前の条件と入社後の書面が一致しているかを、今は確かめようがありません

確認できないこと(マージン率・商流・単価)は、何を見て判断するか

7項目に入れなかった3つがあります。マージン率、商流、単価です。これらは、確認できない項目として、はっきり切り分けます。

SESには、派遣のようなマージン率の情報提供義務がありません。私の自社のホームページにも、数字は載っていません。同じフロアにいた派遣契約の人は、自社のサイトでマージン率を見られたと話していました。

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商流も、求人票の明示事項には含まれていません。何次請けの案件なのかは、入場するまで分からないことが多く、調べ方は別の記事に書きました。

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単価と個別契約書は、会社同士の取引条件です。私の場合、単価は現場のリーダーや営業の裁量で教えてもらえましたが、書面で開示される約束があったわけではありません。聞けるかどうかは担当者次第なので、入社前に確かめられる項目には入れていません。確認できないものを、確認できないまま、判断に使える材料へ置き換えます。

確認できない項目を、置き換えて見る3つの材料

  1. 精算幅の下限を営業に聞く単価を教えてもらえなくても、精算幅の下限は「140時間からです」と答えてもらえました。時間の枠が分かれば、残業の発生の仕方を見通せます。
  2. 明細の構成から還元の形を見る単価は分からなくても、基本給と手当の内訳、固定残業手当の有無、賞与の月数と算定基礎は書面で見えます。会社が何を固定で払い、何を変動にしているかが出ます。
  3. 規程の閲覧を頼んだときの反応を見るマージン率を公開していなくても、規程を頼んだときの返事の速さや、面談での回答の具体さに、会社の姿勢は出ます。

マージン率が分からないことは、会社が悪いという意味ではありません。数字が1つ見えない代わりに、ほかの項目を重ねて見るほうが、判断としては確かです。

入社前に聞けない項目を、外部の窓口で確かめる方法

面談で聞いても答えが曖昧だった項目は、第三者を挟んで確かめる方法もあります。私自身は転職エージェントを利用した経験がないので、使い勝手や優劣は書けません。

IT職種に特化した転職エージェント(@PRO人など)は、求人の条件を、第三者の立場から確認してもらえる窓口の一つです。この記事の7項目を、聞いてみる項目の目安として使えます。

このほかに、私が把握している範囲の窓口を、対象の条件つきで並べます。

サービス対象と条件確かめる窓口としての使いどころ
社内SE転職ナビエンジニア経験者向け。勤務地は関東・関西・北海道で、45歳以上は対象外社内SEの求人で、常駐の有無を確かめる
ウズウズIT18〜29歳が対象。勤務地は関東・関西・東海が前提29歳以下で、これまでの経験がどう見られるかを聞く
ユニゾンキャリアエンジニア実務経験1年以上で、20〜39歳が対象。勤務地は一都三県・大阪府経験者向けに、現場の条件や常駐の有無を聞く

どのサービスも、聞けることには限りがあります。窓口に聞く前に、7項目のうち、自分が書面で確認できたものと、できていないものを分けておくと、質問が具体的になります。

確認する順番と、まとめ

7項目には、確かめる順番があります。先に募集情報を残し、面談で聞き、内定後に規程を確認し、入社後に書面を照合する流れです。

  1. 求人票項目1・2を読む。募集情報を日付つきで保存する
  2. 面談項目3〜5を聞く。「詳細は面談時」を確認する
  3. 内定後項目6。賃金規程・就業規則の閲覧を頼む
  4. 入社後項目7。通知書と初回の明細を、保存した募集情報と照合する
項目を確かめる順番です。後ろの段ほど、書面でしか確かめられません。

私の採点で×が付いたのは、この流れの1段目を飛ばしたからです。募集情報を残さなかったことが、最後の照合を不可能にしました。

持ち帰る確認リスト

  • 募集情報は、日付が分かる形で保存したか
  • 変更の範囲と、固定残業代の有無(ある場合は3点)は読み取れたか
  • 待機・案件・評価について、条文名や数字で答えが返ってきたか
  • 内定後に、賃金規程と就業規則の閲覧を頼めたか
  • 入社後、通知書と明細を、保存した募集情報と並べたか

「優良」「ホワイト」と呼べる会社が存在するかどうかは、私には分かりません。ただ、聞いたことに書面や数字で答えてくれる会社かどうかは、入社前に見分けられます。

  • 見分けられるのは、書面と回答で確かめられる項目だけです レッテルを貼るより、7項目を埋めるほうが、自分の判断に使えます
  • 求人票では変更の範囲と、固定残業代の有無を読みます 2024年4月の改正で、変更の範囲は募集時の明示事項になりました
  • 面談では、実績ではなく約束を聞きます 待機・案件・評価は、条文名や数字で返ってくるかを見ます
  • 私の自社は、入社前に確かめた項目が7つ中0でした 入社後に読んで分かったことが、ほとんどです
  • マージン率・商流・単価は、確認できません 精算幅や明細の構成など、代わりの材料で判断します

いま在籍している会社なら、今日からでも、賃金規程と労働条件通知書で2〜3項目は埋められます。これから会社を選ぶなら、先に募集情報を保存して、面談で3項目を聞いてみてください。

採点表の空欄が、そのまま、入社後に自分が一番困りやすい箇所を示します。私の場合は、昇給の目安と、受験料補助の事前申請でした。